53.化け物の力
日刊25位!!
これからも頑張ります(∂ω∂)
「吹っ飛べェェェェ!!!!」
先に攻撃を仕掛けたのは憂。衝撃波を発生させる行動に柚子はすぎさま廊下に避難した。その判断が正しい事は言わずとも分かるだろう。
津波のように襲い来る衝撃波が壁に当たると"ドガァァァァン!!!!!!"と大きな音を鳴らし、教室どころか校舎ごと大穴を開けてしまったのだ。
(何て威力、これが憂の魔眼なのか……!!)
「巻き込まれていたら無事ではすまなかった」と目の前で起きた一瞬の出来事に冷や汗を流す。だが、攻撃はこれだけでは終わらかった。
『気を抜くな、次が来るぞ』
「……ッ!!」
警告を聞き振り返った次の瞬間、目の前の壁全てが瓦礫となって襲い掛かって来た。衝撃波に押されているせいで瓦礫一つ一つが致命傷になりかねない。
「くッ、ぐォオ......!!!!」
一面広がる瓦礫の波に柚子は回避する事を諦め、魔体化で耐えようとしていた。頭を防ぐ両腕は憂の黒鱗とは違い、青い蛇のような艶やかな鱗で覆われている。
「柚ぅぅう子ぅぅううう!!!!!!」
"ドゴォォォンドゴゴドドゴォォォォォン!!!!"と鳴り止まない轟音。それもそのはず、憂は目の前の壁どころか、この校舎全体に衝撃波を放ち続けていたのだ。
周りの被害を考えない場合、瓦礫を増やせば増やす程波の威力は上がり続ける。アガレスの魔眼は室内戦闘と非常に相性が良いと言えるだろう。
「くそッ!! 憂の奴、校舎ごと壊す気か!!」
『反撃の時は必ず来る。その時に、"我が銃"で奴を撃て』
アンドロマリウスの言う通り。波が止まない今こちらから攻撃するのはおろか、まともに動く事さえ出来ない。全ての壁が破壊され、お互いの姿が見えた瞬間こそ反撃の時だ。
「ッ!!」
「……ッ」
そして、その時が訪れた。
隔てていた壁が破壊され、視線が合う二人。
柚子は歯を食いしばり、憂は憎悪に満ちている。
「死ねェ!!!!」
憂は右を強く握り大きく振りかぶった。
柚子もまた銃を取り出し両手に構える……が。
「……撃てないッ」
柚子には"友達を殺す覚悟"が足らなかった。
その隙を憂は見逃さなかった。直接ぶち込まれた衝撃波は柚子の身体を壊しながら最奥の壁までを吹き飛ばした。
「ぐはァァ!!!!」
魔体で衝撃を抑えようにも一度壊された内臓にはあまりにも無意味だった。
内外共にボロボロになる柚子、その一方で憂は自分にある違和感を感じていた。
(不思議だ……自分を化け物だと受け入れた瞬間、魔眼が手足みたいに使えるようになった)
適当に身体を動かすが、特に痛みは感じない。何発も魔眼を行使しているにも関わらず、憂は骨折どころか筋肉痛さえ起こしていなかったのである。
「プリン君のように脳内麻薬が放出されているのだろうか」。そんな疑問を抱いていると、何処かご機嫌なアガレスが答えを出した。
『それは憂、お前が受け入れたからだ。魔眼の、悪魔の力を』
「悪魔の力……」
「化け物である事を受け入れる」、それは憂にとって「魔眼使いであることを受け入れる」という事と同じ。嚙み合わなかった歯車がカチリと嵌ったように、アガレスの力が憂にようやく馴染み始めたのだ。
しかし、そんな事はどうでも良い。
「考えるのは後だ。今は柚子を殺さねぇと」
『そうだな、相棒』
止めを指すべく、柚子に近づく憂。
対して吹き飛ばされてから一歩も動こうとしない柚子。
『柚子!! 何故反撃をしない!!』
アンドロマリウスは怒り、困惑していた。今まで幾人もの悪を殺して来た柚子が「何もしなかった」事は今まで一度も無かったからだ。
「やっぱり、俺には憂を殺せない…………」
自分の不甲斐なさに苦虫を嚙み潰したような顔をする柚子。そんな「憂を殺す」使命から逃げる姿に、アンドロマリウスの非難は更にエスカレートしていく。
『粛清対象だぞ!! "偶然知り合っただけの人間"に、どうしてそこまで悩む必要があるッ!!』
「……偶然、か」
「偶然」、その言葉に柚子は憂と初めて出会った頃を思い出した。
人によって大切なモノは違いますからね。
おまけ(設定説明)
一応の説明なんですが、「陰陽師が魔眼使いを殺す理由」は大きく分けて2つあります。
1つは「魔眼使いは事件を起こすから」。これは舞楽くんとかプリンくんとかを見てれば分かりますね。
2つは「魔眼を陰陽寮で管理する為」。魔眼使いを倒せるのは魔眼使いだけ、要するに戦力強化です。
そしてこれには憂くんみたいな巻き込まれた人でも対象者になります。一般人が持つより訓練を受けたプロが持つ方が信頼出来ますからね。
まとめると「魔眼使いを殺すとうまあじがある」ということです。




