50.面田 柴雨
やっとこさ50話です。これからもよろしくです。
改稿:話数調整の為、割り込み投稿をしました。お手数をお掛けして申し訳ございません。
「ここか……」
そう言って"2年D組"の表礼を睨み付ける憂。思えばこの教室から全てが始まった。
魔眼使いになるキッカケとなった遊びの約束、灯央の異変に気付いていれば今も何気ない日常を送っていたかもしれない。
そんな因縁の地が送り主との決戦の場になるとは随分と皮肉なモノだった。
「お待ちしていましたよぉ。瀬流 憂くぅん」
扉を勢い良く開けると、そこに立って居たのは黒いボロ布を纏った仮面の男。杉江が魔眼で調べた際に出て来た仮面の男もコイツで間違いないだろう。
「その喋り方……灯央を操っていたのはお前か」
「ぇえ、そうですよぉ。陰陽師のぉ面田 柴雨と言ぃますぅ。以後ぉ、ぉ見知りぉきをぉ」
神経を逆撫でするような気持ち悪い声で話しかける男。その特徴的な話し方を他でもない憂が忘れている訳が無かった。
「陰陽師……いや、そんな事はどうでも良い。何で灯央や母さんを、僕を巻き込んだ......!!」
「虎くんからぁ聞ぃてぃませんでしたかぁ? 楽しぃからですよぉ」
「てめぇ……!!」
「それにねぇ、憂くぅん。貴方の契約悪魔はぁたぁいへん危険なのですよぉ?」
「......アガレスの事か。そもそも何でお前らはコイツを召喚しようとした」
のらりくらりとふざける態度に怒りを膨らます憂であったが、アガレスの話題に変わり少し冷静さを取り戻す。魔眼使いになってしまった原因であるアガレスの召喚を何故面田達が行ったのか、生贄にされた以上気にはなっていた。
「ぁはは!! 我が神は至高なる存在ぃ!! この世に居る事自体に意味があるのですぅ!!!! 愚か者共は指定災害種"ONE"などとほざいていますが、ぁ奴らは何も理解していない!! 我が神のぉ!! 本当の素晴らしさをぉ!!!!!!」
「ONE……」
ONE、それは面田と同じ陰陽師である須藤が言っていた言葉だ。とは言え、"至高なる存在"と言われても巻き込まれる身としては堪ったものではない。
(お前、そんな風に言われてん?)
『人間が勝手に付けた名など俺が知るものか』
(だろうな)
一応本人確認もしてみるが、予想通りの回答に溜め息も出ない。最後に、憂は面田に"一つ"の質問をする。
「そんなくだらない事で灯央を殺したのか......?」
「…………く だ ら な い ?」
その時、面田の表情が初めて憤怒に歪んだ。
「我が神とぉそこらに居る凡夫をぉ比べるとはぁ…………おこがましいにも程があるぞ小僧ッ!!!!」
"プツン"、とまたあの時と同じように、頭の中で何かが切れる音がした。
「そうかよ......じゃあ死ねェ!!!!」
~~~~~
「行ってしまったわね」
憂を見送った後、杉江は壁に寄りかかり休息を取っていた。魔眼の使い過ぎで、先程から頭痛が酷かったからだ。
しかし、そこに待ったの声が掛かる。
『誰か居るね』
「ッ!!」
その言葉にすぐさま辺りを警戒する杉江。だがその場に自分以外の人の気配は感じない。
(魔眼は......今は使えないわね)
『いや、その必要はなさそうだ。もう死んでいるからね』
「死んでる......?」
『そこのロッカーだね』
フォラスが差すロッカーとは掃除用具入れのことだろう。杉江はゆっくりと近づき、緊張した顔付きで取っ手に手を掛ける。
「これは……」
開かれたロッカーの中には頭を抱えた首の無い体が仕舞われていた。血の渇き具合的に、死んでからそう時間は経っていない。
そして、杉江はその顔を知っていた。
「何故、貴方がここに居るの…………"面田"」
殺されていたのは魔具で見たはずの面田その人であった。
「面田は害虫じゃなかったの!! じゃあ、今生徒達を操っているのは......」
『調べ方を間違えたね、藍』
「ッ!!」
全知の書で調べた項目は「最後に灯央と出珠と一緒だった人物」。 "害虫の正体"と調べるよりも範囲が絞られている分、素早く判別する事が可能であったのだ。だが、まさかそれが仇になるとは思いもしていなかった。
「……瀬流君」
己の失敗に今更気付いた杉江は、ただこの場所で待つ事しか出来なかった。
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