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49.害虫達の行進曲

祝!! 10万字達成!!

ここまで書いてこれたのは、いつも見てくれる皆様のお陰です。

本当にありがとうございます。これからもヨロシクですm(_ _)m

『急に切るなんて酷くないかしら』


 家から出た後すぐさま電話を掛けたのだが、不貞腐れているのか声色がやや不機嫌な杉江。


「はいはい。それで、何で学校が占拠されてんだ?」

『単純な話よ__』


~~~

「あ、俺虎達と用があるんだった。先に校門に行っていてくれ」

~~~


『害虫は"一人じゃなかった"』


 灯央を呼び出したのは一人ではなく()()、洗脳の魔眼使いはもう一人居た。


『まさか二人も居たなんて……お父さんは嫌いじゃないけど、本当に使い勝手が悪いわね』

「お父さん?」

『こっちの話。でも一応害虫とは別の犯行って可能性もあるわ。突然の事だから全部は調べられなかったけど』

「……いや、今日家に脅迫文を送られたから可能性は高いと思う」


 そう杉江は言うが今朝の手紙のタイミング的に、出珠の仲間で間違いないだろう。


『良く送られるわね』

「まだ二通目だ!! ったく......それでそいつの名前は?」

『害虫の名前は(面田(めんだ) 柴雨(しう))、出珠と同じクラスの男子生徒ね』

「…………」


 出珠の名前を聞いて顔をしかめる憂。しかしそこにあるのは罪悪感ではない、"怒り"だ。


「ところで杉江は今どこに居るんだ?」

『正門よ』

「OK、今行く」


 数分後、杉江の居る正門に辿り着いた。


「遅かったわね」

「はぁはぁ、うるせぇ......で、やつはどこに」

「にぃぃぃぃ」

「に?」


 校舎から聞こえる謎の声に思わず振り向いた憂。すると、そこには異常な光景が広がっていた。


「にぃぃぃぃ」

「でぇぇぇ」

「でぇぇ……にぃぃ」


 そこに居たのは正気を失った大勢の生徒達。己の血で染めた直定規のような刃を持ちながらゾンビのように徘徊していたのだ。


「うわ、B級映画みたいになってんじゃん」

「私が登校した時には既にこのあり様よ」


 確実に魔眼使いの仕業だが、いったい何の為にこんな事をしたのか。そう考えている内に、憂はゾンビたちの"ある共通点"に気付く。


「なぁ、もしかしてアイツら2D(にぃぃでぃぃ)って言ってる?」

「二年Dクラス、瀬流君の教室だったかしら」


 手紙には[学校に 登校せよ]と書いてあったが、まさか「2Dに来い」と言っているのだろうか。だとしても怪しすぎだ。


「どう考えても罠だよなぁ。ところで冬木は? あいつに食わせちまえば」

「冬木さんは貴方が首を絞めた次の日から連絡が取れないわ」

「あっそ……で、どうする? 流石にこの数を相手にすんのは面倒だぞ」


 正門は絞められており、生徒達は学校の敷地から出て来ていない。恐らく、開けた瞬間に憂達に襲い掛かるのだろう。魔眼使いの支配下にある以上、下手な真似は出来ない。


「私に良い考えがあるわ」


 不敵に笑みを浮かべる杉江。

 対し憂は嫌な予感がした。


「お前の考え......上手くいった時あったか?」

「失礼な男ね。それじゃ瀬流君、"私を背負いなさい"」

「......はい?」


 冗談かと思ったが、杉江はいたって真剣だ。


「私の魔眼で生徒達の動きを止めるから、その内に走り抜けなさい」

「背負う意味は?」

「その方が小回りが利くでしょう?」

「……ま、それがベストか。ほら、乗れよ」


 しゃがんだ憂の背に杉江が乗り込む。女らしい触感やら匂いが憂の五感を擽るが、今はそれ所ではない。


「魔眼起動」


 杉江の魔眼が発動した瞬間、範囲5m内の生徒全員が頭部から血を噴き出し地面に倒れ込んだ。害虫の命令を掻き消す為に、膨大な情報量が脳に送り込まれたのだ。


「今よ」

「おう」


 杉江を背負いつつ正門を開け学校に侵入する憂。当然、それに気が付いた生徒らが襲いに来るが、杉江の魔眼によって無力化される。


「でぇぇぇぇ!!!!」

「にぃぃぃぃ!!!!」

「にしてもすげぇ人数だな。もしかして生徒全員操られてんのか?」

「……ごふっ!!」

「杉江? っておい!!」


 振り返ると杉江は目、鼻、口、耳と至る所から血を流していた。


 精神型の魔眼は他者の精神に強い影響を与えるが、その分自分にも負荷が掛かる。

 害虫探しから大人数の魔眼行使と、杉江にはかなりの負荷が掛かっていたのだ。


 しかし、それでも歯を食いしばり杉江は魔眼を使い続ける。


「私の事は良いから......早く走りなさい」

「.....分かった」


 罪悪感が無いから、はたまた杉江を信頼しているからなのか。理由は分からなかったが、憂は杉江の言う事に素直に従った。


「私の"居場所"を滅茶苦茶にした害虫は、絶対に許さない……!!」


 意識が朦朧としているのだろうか、普段は冷静な杉江はその荒ぶる感情を露わにしている。

 そんな杉江に憂はそれ以上語りかける事は無く、ただひたすら進み続けた。


「はぁはぁ」

「はぁ……はぁ……」


 正門を開けて数分、ようやくニ年Dクラスがある三階に辿り着く。正門からここまで移動して来た二人は既に疲れ気味だ。憂は息を切らせ、杉江は目が充血し顔色も悪い。これ以上杉江と行動するのは不可能だろう。


 憂は適当な教室に入り、杉江を椅子に座らせる。3階には生徒の姿が無く、ここが送り主の目的地なのは間違いないだろう。


「お前はここで休んでろ」

「えぇ……気を付けてね」

「あぁ、行ってくる」


 決着はもうすぐだ。




因みにDクラスのDはdaemon(悪魔)がDです、しょうもないね。


おまけ(設定説明)

悪魔の力を人間の身で行使する為、当然それぞれにデメリットがあります。


具現型→使い手の肉体に負荷

精神型→使い手の脳・精神に負荷

異形型→使い手の人外化


にしてもフォラス使い勝手悪すぎる。


感想☆ブクマお待ちしてます。

Twitter→@iu_331

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