48.母との約束
5000PV達成!!
ありがたやありがたや
「…………はッ!!」
勢い良く起き上がる憂。どうやら気を失っていたようで記憶が曖昧だ。それに体の節々が痛い。
「ここは……俺の部屋?」
『そうだ。お前は天使が消えた途端に気を失ったのだ』
「て、天使ぃ!?」
どうやら天使との戦いは夢では無く現実だったらしい。しかし、だとしたら何故自分はここにいるのだろうか。あの時自分はあの天使の目の前で気を失ったはず。
(どうやって俺はベットの上.....?)
いくら考えても答えが出ない。仕方がないのでひとまず一階に降りると、そこにはいつも通りに朝食を作る母がいた。
「おはよう憂。あら、パジャマで降りて来るなんて珍しいわね」
「おはよ。ねぇ母さん、昨日俺がどうやって帰って来たか覚えてる?」
「変な事聞くわね。別に普段通りだったわよ?」
母の記憶が操られているのか、自分が忘れてしまったのか。とにかく周りと記憶の誤差が生じているのは確かだ。そう考える憂だが、何も知らない亜梨実はその姿を不思議そうに見つめる。
「全く、寝ぼけてるのかしら。早く着替えてきなさい。遅刻するわよ?」
「はいは……遅刻?」
その言葉に、ある疑問が浮かぶ。それは「天使の破壊行動による近隣住民の対応」だ。正確に言えば"休校か、否か"。
(遅刻って、今日学校あんのか? あの辺結構ボロボロになってたろ)
「母さん、昨日大きな事故みたいなの起きなかったっけ?」
「? さぁ、起きてないと思うけど」
「......」
流石にあれだけの破壊音で気付いていないのは無理があるが、前にも似たような反応をされた時があった。夏休み前にあった陰陽師戦である。
(そう言えば、この前戦った時もこんな反応だったし……今回も陰陽師が動いてんのか?)
そんなことを考えている内に制服に着替え終わった憂は再びダイニングへと戻る。すると亜梨実は懐から"あるモノ"を取り出した。
「そう言えば。憂に____手紙が来ているわよ」
あの時と同じ白い手紙に憂は"カランカラン"と箸を落とす。
「えっ」
「どうしたの、そんなに驚いて」
「いや、何でも…………」
鼓動が煩い。
(そんなまさか……ありえないッ)
その手紙には[瀬流 憂 へ]としか書いておらず、送り主が書かれていない。これではまるで"差出人不明の脅迫文"じゃないか。
だがそれだけは絶対にありえない。出珠が死んだ今、脅迫文が送られる事は"絶対にありえない"のだ。
恐る恐る封を開けると、中には一枚の紙が入っている。憂は手を震わせながらその紙を広げた。
[学校に 登校せよ]
「......ッ!!!! 母さん!!!!」
もしかして既に母は敵の魔の手にかかってしまったのかもしれない。そう思ったら居ても立っても居られず、慌てて駆け寄る憂。幸いにも可笑しな点は見受けられずホッとするが、息子の奇怪な行動に亜梨実は困惑していた。
「ちょっと。どうしたの急に」
「あ、いやその……」
PIPIPIPIPIPIPIPI
その時、ケイタイが鳴り出した。
「で、電話に出なきゃ!!」
「う、憂?」
画面を見ると[杉江]と表示されており、話を誤魔化すのには丁度良いと電話に出た。
「もしも」
『今すぐ学校来て!!』
「うるさッ」
杉江の大声に驚いたが、この慌て様に「異常が起きている」と察した憂はすぐさま本題に入った。
「いったい何が」
『学校が…………占拠されてる』
「はぁ!?」
予想だにしない爆弾発言にこちらも大声を出す憂。「いったいどう言う事だ」と今すぐ聞き直したかったが…………それは出来なかった。
「憂……」
母が心配そうにこちらを見ている。
自分の渡した手紙を見てから憂の様子が可笑しいと心配していたのだ。
「……杉江、後で掛け直す」
『えっ!? ちょっ』
杉江の話よりも母との会話が最優先だと考え、電話を切る憂。その様子を亜梨実は心配そうに見つめていた。
「……良いの? 切っちゃって」
「後で掛け直すし大丈夫だよ、母さん」
「憂。何か大変な事に巻き込まれてるんじゃないの……」
心配をかけまい笑ってみるが、それだけでは亜梨実の不安を解消しきれなかった。そしてついに不安に耐えきれず憂を抱きしめた。
「か、母さん何し」
「嫌よ!! 憂まで死んでしまったら私は、私は」
今まで見た事ない母の行為に驚く憂であったが、亜梨実が泣いていたのを見て何も言えなくなってしまった。
しかし、慰めている時間は無い。こんなにも自分を大切に思ってくれる母を守る為に、送り主の指示に従うしかないからだ。
「ごめん……どうしても行かなくちゃいけないんだ」
「お願い……ちゃんと帰って来て」
亜梨実に謝る憂だが、そこに罪悪感は無い。むしろ「説得が面倒」とまで考えていた。実の母にそんな事を考える自分が嫌になる。
「……分かった、約束する」
だからこそ憂は亜梨実と約束をする。
今日この時まで生きてきたのは、この"何でもない日常"を取り戻す為なのだから。
「どうしても行くのね……お父さんとそっくり」
「えっ」
「ほら、シャキッとしなさい!! 早く行かなくちゃいけないんでしょ?」
「わ、分かってるって」
突然元気になった母に憂は戸惑ったが、すぐさま玄関に向かい靴を履く。
「憂」
「何、母さん」
「いってらっしゃい」
「……あぁ、行ってきます」
決着をつけるべく、憂はその扉を開いた。
(これ母をメインヒロインにした方が良かったんじゃね?って書き終えてから思った作者であった。。。)
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