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45.突然の来襲

文学カテゴリって作者読みが多くて伸びにくいのか……

ガンバゥしかねぇな(歯食いしばり)

「すまん、昨日は悪かった」


 次の日。朝一に登校した憂は柚子に昨日の出来事について謝罪した。


「良いよ、気にしないで」

「そっか、ありがとう」


 毛嫌いする事無く、憂に笑い掛かる柚子。許して貰った事に安心し、改めて柚子の優しさを感じた瞬間であった。


『何故謝る? 憂』

(形だけでも謝らないと怪しまれるだろ……それに母さんが言ってたしな)

『ふん、母離れの出来ないガキめ』


 そんな感動的シーンにも茶々を入れるアガレス。罪悪感が無いにも関わらずに謝るその行為が不思議で仕方なかったのだ。


「そう言えば冬木……さんはどこに居る?」

「あぁ、冬木さんは今日休みだって。体が弱いから仕方ないね」

「……そっか」


 柚子はそう言うが、恐らく「お願い」が無しになったのが響いているのだろう。

 今思えば冬木の"病弱設定"も、自分が異形型だとバレないようにする為の作戦だったのかもしれない。


「…………」


~~~

「悪魔の力をただの人間に防げると思って?」

~~~


 ふと、杉江から言われた台詞を思い出す。

 柚子は「瀬流 憂は殺人鬼である」と噂されていた時から色々と助けてくれた恩人…………だが、もしもそれが魔眼の力によるものだとしたら。


(いや、それは無いな)

「? どうしたの憂」

「あぁ、一時限目は何かなって」

「一時間目はね____」


 こうして、憂と柚子はホームルームが始まるまで会話したのだった。




~~~~~




「悪いな、昨日はまともに話せなくて」

「……はぁ」


 放課後。生徒会室にて昨日の出来事について謝罪をすると、杉江は呆れ気味に溜め息をついた。


「もう良いわ。昨日みたいに暴れなければ私は気にしないから」

「分かった」

「それで、今日は謝りに来ただけなのかしら?」

「あぁ、これについて教えて欲しくてな」


 そう言って憂は左手に【黒鱗】を出し、杉江に見せつける。


「【黒鱗】って言うらしい。今日はコレの使い方をマスターしたくてな」

「ふーん。それにしても身体に出来るタイプの魔具なのね」

「珍しいのか?」

「そうね、形があるのが普通よ」


 杉江の【全知の書】()、プリン君の【獣の牙】(大鎌)のように形が在る魔具はある程度予想出来るのだが、【黒鱗】の能力とは.....これ如何に。


「そもそも魔具ってどう使うんだ?」

「魔具は魔眼の補助に使う事が多いわ。基本的に効果は魔眼と同じよ。それと、魔具は()()()()()()()から」

「は? 壊れないって」

「"悪魔の道具"を人間が壊せると思って? まぁ瀬流君の場合関係ないかもしれないけど」


 杉江から教えられた新常識に憂は驚き嘆いた。【黒鱗】は左手の甲にしかない為、杉江の言う通りほぼ意味を成さないだろう。


「うぅ、まぁそればっかり気にしててもしかたないか。それじゃあさっそく魔具(コレ)の練習したいんだけど大丈夫か?」

「えぇ。丁度今旧校舎が立ち入り禁止で誰も居ないからそこに行きましょう」




~~~~~




「すっかり遅くなっちゃったな」

『相変わらず戦いのセンスが皆無だな』


 練習は日が暮れるまで続き、辺りは既に暗くなっていた。

 帰り道に人影は無く、憂はアガレスと話し合いながら歩いていた……が。


「うるせ……ってあれ、誰か居る」


 先程まで気配を感じなかったにも関わらず、憂の目の前は一人の女性が立っていた。


 腰元まで伸びた金の髪に瑠璃色の瞳、透き通るような白い肌を飾る純白の衣装。まるで精密に作られた人形のような絶世の美女がそこに存在していた。


「…………みつけた」

「えっ」


 当然、心当たりは無い憂。突然の出会いに同じ人間とは思えない存在感、目の前の女を魔眼使いなのかと警戒を強める憂。



 そして、女はゆっくりと口を開いた。






()()()()


 女の両目が"金色"に染まる。



「なッ、く!!」


 憂が驚いた束の間、女を中心に爆風が発生する。砂や塵を巻き込み、堪らず顔を覆い隠す憂。やがて爆風が収まると先程までいた女の姿は消えていた。


「あぁ?! 何処に消えッ?!」


 左右に首を振るが女はどこにも…………いや違う、()()


「う、"浮いてる"、だとッ……!!」


 見上げるとそこには先程の女が空に浮かんでいた。

 しかし、その姿は大きく変化していた。特に女の背後には夥しい数の刃が孔雀の尻尾のように展開していたのである。


 憂は今までに様々な魔眼使いに出会って来た。

 殺人鬼、キメラ、腹が無い少女。

 出会って来た全ての魔眼使いが心的障害(トラウマ)になる相手だった。


 だが、彼女は別格だ。

 今まで出会って来たどの魔眼使いよりも神々しく、恐ろしい。


 女は憂を見下ろし、宣告する。


「私は神に仕えし《七大天使》が一人 《ミカエル》」


 虚空から白金に輝く大剣を取り出し、矛先を向けた。


「神に仇なす大罪人よ____排除する」




悪魔が居るんだもの、天使だって居る()

ミカエルが憂を襲った理由はまた後日。

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