if.夏祭り
箸休め回です。
テキトーに書いた()のでながら読みで大丈夫です。
盆が終わり、夏休みも後半。
憂は夏休みの間ずっと灯央の家で遊んでおり、今日も遊ぶつもりであった。
「じゃあ灯央の家に行って来るわ」
「いってらっしゃい、気を付けてね」
「はいはい」
家から出て十数分、ようやく灯央の家に着くと憂はタイムを鳴らした。
「よ、憂」
「は、早くクーラーを……」
「そんなんになるならもうチャリ乗れよ」
「そんなもん、無い……」
炎天下の中歩いて来た憂は死にかけである。
そんな憂を呆れた目で見ながら、灯央は部屋に案内した。灯央の部屋はクーラーが効いており、夏のオアシスとなっている。
「涼しーーー!!」
「やぁ、憂。待ってたよ」
「おう、待たせたな」
部屋には漫画を読んでいる柚子がくつろいでいた。
憂、灯央、柚子の性格はバラバラだが、席が近かったこともあり三人は意気投合。それ以来三人で遊ぶことが多かったのだ。
「今日は格ゲーやるか」
「俺弱いんだよねー」
「嘘つけェ!! 二人纏めて10連勝したバケモンが!!」
「強さは柚子、僕、灯央の順だよな」
「あぁ? 舐めやがって……憂、決闘だ!!」
「望むところよ」
そして三人は一緒に遊び始めた。
憂が運ゲーで負けたり、灯央が調子に乗って負けたり、柚子が二人をゲームでボコボコにしたり…………
三人は時間を忘れて遊びつくしたのだった。
「ねぇ憂、灯央」
「ん? なんだ柚子」
「今日、本栖神社でお祭りがあるんだって。皆で行かない?」
本栖神社、本栖区唯一の神社である。
本栖神社では毎年夏に小規模だが祭りを開催しているのだ。
「祭り……もうそんな時期か」
「覚えてなかったのか?」
「行く奴居なかったからな」
「憂……」
「憐れむな」
「ははは。それじゃ皆で行こうよ」
「そうだな、憂の為にも」
「だから憐れむなって」
~~~~~
「あれ、冬木さんじゃね?」
「あぁ、本当だ」
本栖神社に着くと、入口で受付をしている冬木の姿が見えた。
「冬木さん、こんばんは」
「あ!! 廷出君に古出君、瀬流君まで。こんばんは」
「こんばんはー」
「こんばんは冬木さん!! ここで何してるんですか?」
「地域ボランティアでお祭りのお手伝いをしてるの」
よく見ると冬木の居るテントには実行委員会と書かれてあり、他の学生も手伝っている。
するとそこへ杉江がコンビニ袋片手に現れた。
「冬木ちゃん、差し入れよ」
「杉江先輩!! わぁ、ありがとうございます!!」
冬木は水色、杉江は黒色の浴衣を着ており、並び立つ二人はとても似合っている。
「冬木さんは地域ボランティアって言ってましたけど杉江先輩もですか?」
「えぇ、各学校の代表者が祭りを手伝う決まりになっているわ。彼みたいにね」
「……あ、初めまして。本栖中の三須 るるです」
「あ、倶鳥那高の瀬流 憂、です」
明るい髪色をしており、好少年といった印象を受けた。
憂達は冬木達と別れ、会場を進んで行く。
会場には屋台が並んでおり、人々で賑わっている。
「デアちゃんのプロマイドがぁぁぁ!!!!」
「イミッちお金使い過ぎだよ~~あ、当たった」
「あぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「俺様に勝てると思ってんのかァ!? 三下がよォォォ!!!!」
「ほざけ、俺に勝てる奴など居ない」
くじ引き屋で号泣している幼女とそれを宥める女子高生、金魚すくいで決闘している男二人、と言った感じに様々な人々が祭りを楽しんでいた。
「キャラが濃いなぁ」
「あはは……」
「そこのお三方ぁ、占いしていきませんかぁ?」
突然声を掛けられた憂達は、声のする方向に振り向く。
そこには人形を沢山並べた見るからに怪しい屋台が開いていた。
店主は憂達を見て、これでもかってくらい口角を上げている。
「何だ、あれ」
「……何か嫌な予感がする」
「えぇ、面白そうじゃんか。やってみようぜ」
「ちょッ、灯央!!」
憂と柚子は怪しんだものの、灯央が先に行ってしまった為、仕方なく三人とも占うことにした。
「なぁ、どう占うんだ?」
「それはですねぇ、この人形でぇ占いますぅ」
「人形? そんなので」
「占いましたぁ」
「って、早!!」
最初に、灯央が占われる。
「貴方はぁ、すぐに終わりますぅ。でもぉ、心にづぅうっと残り続けますぅ」
「? どういうこと意味だ?」
「それでは貴方ぁ」
「って、無視かよ!!」
次に、柚子が占われる。
「…………」
「貴方はぁ、素晴らしいものをぉ作りましたぁ。そしてぇ、壊すのもぉ貴方ですぅ」
「……やっぱり良く分からないや」
最後に、憂が占われる。
「何とぉ!! 貴方は素晴らしぃ!!」
「え」
「貴方の大切が消えるときぃ、貴方は特別になることでしょぅ!!!!」
「は、はぁ」
意味の分からない占いに困惑する三人。
しかし占い師の男は満足したのか大笑いをし、最後にこう告げた。
「それではぁ、またぁ、会いましょぅ」
「……ッ!? な、なんだ!!!!」
別れを告げた瞬間、震度5はある大地震が本栖神社を襲う。
そして、"ピキピキッ"と地割れが憂の足元に発生した。
予測出来る訳が無く、憂はそのまま地割れに落ちていく。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「憂ぃ!!」
「憂!!」
灯央と柚子が必死に声を掛けるが、声と姿は闇の中に消え、自身の感覚さえも消えていった…………
~~~~~
「あああ…………ゆ、め?」
ゆっくりと辺りを見渡すと、そこは自分の部屋。ようやく自分が夢を見ていた事に気付いたのだ。
『今度はどんな悪夢を見たんだ?』
「よく覚えてないけど……気持ちの良い……悪夢だったよ」
『変な奴め、さっさと寝ろ』
「ふぁあ。言われなくても寝るよ……」
瞳を閉じ、もう一度眠りについた。
ついに、運命の二学期が始まる。




