38.討伐戦の後日談
前話で傀儡卿が魔体を使ったシーンがありましたが、"実はアレは壊死した腕だった"と加筆しました。
理由は"説明不足"です。矛盾しちゃうからね。
KILLER討伐戦から一週間が経過した。
陰陽師との戦闘後、憂達はプリン君を回収ながら杉江の知り合いの病院へと駆け込んだ。憂は右腕、杉江は頭をかなり疲労していたが、一番酷い状態であったのは当然プリン君だった。
手足は完全に燃え尽きており、残った頭や胴も火傷がかなり酷く肌が爛れている。何とか一命だけはとりとめたものの未だ意識は戻っておらず、特別治療室にて今もなお治療を続けていた。正直、生きている方が可笑しかった。
因みにテレビの報道によると、あれだけ暴れていたのに人的被害は出なかったらしい。陰陽師達が人払いでもしていたのだろうか。だが以前として道路は崩れ建物は半壊したまま。魔眼使い同士の戦いが周りに多大なる被害を生み出す事の証明であった。
「グラシャラボラス、【殺意を高める】魔眼……ねぇ」
「何つーか、そのままだな」
院内を歩き回れる程に回復した憂と杉江。二人は現状確認の一環として以前から検討していたプリン君の契約悪魔について調べていた。
「つまりプリン君の強さは"素の強さ"ってことになるのか」
「いいえ、そうとも言い切れないわ」
「え、そうか?」
精神型と判明した今、あの怪力は素の力だと思っていた憂であったが、どうやら違うらしい。
「例えば......アドレナリンは知っているわよね?」
「あー確か興奮したときに出るやつだったけか」
「えぇ。激しい運動を可能にしたり、痛覚を麻痺させたりさせる"脳内麻薬"。あれ程殺意が強いなら常時アドレナリンが放出されていても不思議じゃないわ」
実際、杉江の推測は当たっていた。グラシャラボラスと契約した人間は皆強い殺意に飲まれ痛みによる恐怖が消える為、契約前以上の身体能力を発揮していたのだ。
「常時ハイ状態による肉体の限界突破......流石は悪魔の力って感じだな」
「それにしても、ここで戦力が欠けるのは手痛いわね......」
「まぁ、僕的には爆弾が消えて少し安心だけどな」
「最低ね」
「しょうがないじゃん!! 心的外傷なんだよ!!」
~~~~~
怒り心頭に発している幼女が事後作業をしている御井の前に仁王立ちしている。
「お前がその体でいるのは珍しいな」
「好きでいる訳じゃないわよ~!! も~!!」
その幼女、実は先の戦いで傀儡卿に殺された須藤本人であった。
須藤が第三契約時に結んだ肉体的制約は【成長維持】、すなわち契約年齢の肉体を維持する事。
ではあの不審者は誰なのか……その正体は人造人間:キメラフォーム。魔眼で作成した身体を「もう一つの心臓」の力を持つマルバスの魔具【宝石の心臓】で動かす須藤の代理人である。
そう、須藤は"そもそもKILLER討伐戦に参加していなかった"のだ。
「その姿と他の奴らが帰らない辺り、今回のKILLERは強かったみたいだな」
「私はKILLERと戦ってないわ」
「何......?」
「そもそもこの討伐戦自体竜君の独断専行だし......」
「何だ、お前が纏めたんじゃなかったのか」
「無茶言わないでよ。アリスちゃん達と私は部隊が違うから責任を問わないで頂戴」
陰陽寮には三つの部隊が存在する。
魔眼使いが起こした事件を報告する現世監視部隊《鴉目》。
悪魔関連を討伐・封印する魔眼戦闘部隊《祓い目》。
人払いの札や魂の研究をしている技術開発部隊《歯車目》。
アリスと尾木は祓い目、須藤は歯車目所属である。因みに須藤のキメラフォームも歯車目の協力によって作成されていた。
「それは分かっている。それで、お前は誰と戦ったんだ?」
「......ONEと異界の扉幹部」
「それ、は……」
ONE、その言葉に絶句する御井____すると次の瞬間。
「あら、副隊長さん。久し振りね」
「久しぶりです。須藤さん、御井さん」
"ガチャリ"と扉が開きとある人物が部屋に入り込んだ。
「久しぶりだな____廷出」
やっとⅣ章が終わりました!長かった!
明日はⅤ章までの箸休めを一話投稿します。
本編とは直接関係ありませんが、よろしければ読んでみてくださいm(_ _)m
感想ブクマで作者のモチベが上昇します。
Twitter→@iu_331




