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36.傀儡卿

Ⅳ章もあと少しです。

 アガレスの助言、それは"魔眼の使い方"。憂は先の陰陽師(尾木)の炎が全身から出していた事を思い出し、自らも右腕から衝撃波を出すイメージで(くう)を殴ってみたのである…………その結果。


「いっでぇぇぇぇ!!!! うッ、おえぇぇ……!!」

『加減もせず使うからだ愚か者』


 強烈な一撃を出した代償として右腕を折ってしまったが、とはいえ腕一本でこの破壊力ならお釣りはいくらでも出る......はず。


「何、今のは……ッ」 


 一方、衝撃波をもろに喰らった須藤は熊の腕をおしゃかにしたものの、クッション代わりしたお陰で何とか致命傷には至らずにいた。

 だが、当の本人はそれ所ではなかった。


「あの衝撃波……まさか、そんな、いいえ。ありえないわ……ッ!!」



 須藤は憂が放った衝撃波()()()()に恐れを抱いていた。いくら口で否定しようとも、疑問は確信に変わり表情はますます焦燥する。


 そして、須藤は零れるように"ある言葉"を呟いた。



「…………ONE」



「は? 何言って」

「ッ!!!!」


 意味不明の言葉に戸惑う憂であったが、須藤は目も暮れずにこの場からすぐさま立ち去る。その時のスピードは凄まじく、あっと言う間に姿が見えなくなってしまうのであった。


「え、えぇ……」




~~~~~




「まさか、すぐにイベントへ駆けつける為に付けた脚が役に立つとはね……」


 憂から逃走した須藤は()()()()()()()()()()猛スピードで道路を駆けていく。


(あの様子じゃまだ第一契約だけみたいだったけど、やっぱり戦いに戻る? ……いいえ、それだとあまりにも被害がデカすぎるわ)

「とにかく、一旦帰って情報整理を__」

「__それはぁ困りますねぇ?」


 突然、須藤の目の前に現れた謎の男……死神が着るような黒いボロ布を身に纏い、50cmはありそうな刃付きの直定規を素手で持った謎の男は()()()()()()()()()で走っている須藤の目の前に現れた。


「ッ!?」


 男は間髪入れずに手に持つ長刀を大きく振り回す。須藤は咄嗟に右腕を構えるも、既に先の戦いで熊腕はボロボロ。襲い来る勢いと怪力に耐える事が出来ず、無残にも切り落とされてしまった。


「うぐぅうッ!!」

「ぉゃぁ? 狙ぃが外れてしまぃましたかぁ」


 ぐちゃぐちゃになった右腕の断面を押さえこみ、痛みを必死に堪える須藤。対し男は白々しくも惚けるような仕草をしていた。


(あのスピードに怪力......異形型ね)


 細長い身体付き、とても自分に追いついたり腕を切り落とせたり出来るような人間には見えない。皮肉にも相手は自分と同じ異形型と見て間違いないだろう。


「KILLERの仲間……って訳じゃなさそうね。貴方、何者?」

「何者ぉ、と呼ばれる程ぉ大した人間ではありませぇん。私はぁ唯の信者ですよぉ? まぁ、身内からはぁ(傀儡卿)、なんてぇ呼ばれてますけどねぇ」

「魔眼使いの教徒......もしかして《異界の扉》の信者さんかしら?」

「おやぁ? ご存知でしたかぁ」

「えぇ、陰陽寮(こっち)じゃ有名な魔眼テロ組織ですもの」



 異界の扉__”とある存在”を神として祀っている新興宗教団体だ。

 信者の数は少ないものの、特徴として"幹部以上の信者が全員魔眼使い"という陰陽寮に匹敵する戦力を保持しており、過去に陰陽寮と揉め合いを起こしたこともある非常に危険なテロ集団だ。



「テロ組織だなんてぇ褒めなぃでくださぃよぉ。それでぇ、そろそろ治りましたかぁ? 貴方の魔眼はぁこういうの得意でしょぅ? ()() ()()()()()()

「……成程ね、KILLERの情報を誰が改竄したかと思えば、凄い所が出て来たわね」


 鴉目による「KILLERと組んでいる二人はどちらも精神型」と言う虚偽の報告。何者かがKILLER討伐の妨害を企てている事は知っていたが、まさか敵対組織にここまで入られていたとは流石に想像もしていなかった。


「? ぁぁ、()()ですかぁ。依り代はぁまだまだ成長期ぃですからぁ、殺されてはぁ困るのですよぉ」

「異界の扉に衝撃波、やっぱりそうなのね……!!」


 疑問が確信に変わる。須藤はこの情報を絶対に伝える為、命を懸ける覚悟を決めた。


「それじゃあ隊長に報告しないといけないから......そこ、どいてくれる?」

「そぅしたぃのは山々なんですがぁ、我々の邪魔をしたぃのならぁ…………死んでくれませんかぁ?」


 両目を見開き、狂気に満ちた笑みを浮かべる傀儡卿__その瞳からは一切の光を感じない。


「お生憎様、デアちゃんの握手会に行くまで死ねないのよ!!」


 そう言って須藤は全身を覆っていた布を全て脱ぎ去ると、そこから現れたのは"人間の頭"、"熊の腕"、"亀の胴"、"カンガルーの脚"、"鰐の尾"が組み合った化け物だった。


 須藤の契約悪魔は《マルバス》、【身体を改造する】魔眼は「自分以外の生物を移植する事を可能」にする。

 幾度も"動物の強力なパーツ"を自身に移植し強化して来た結果、全てのパーツが従来の動物よりも巨大で歪なキメラ人間となってしまったのである。


「この姿を人に見せるのは久し振りね」

「ぉぉ!! これはこれはぁ、とても殺しがいがありますねぇ……ッ!!」


 そんな化け物を相手にしても傀儡卿は"笑う"、ただそれだけだった。




女の子の脱衣シーンだぞ喜べよ。

つか短期間で新キャラ&新組織出すぎやろ()


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