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35.思い付かないなら

このまま行くと10万字超えそうだし応募してみようかな

「え、じょ、冗談.....だよね?」


 その言葉をすぐに信じる事が出来なかったアリス。しかし目線を下げれば"人間のモノ"ではない魔体の腕によって貫かれている。

 ある一説によると、尾木の契約悪魔アイムは人型らしいのだが、貫いた腕の見た目は豹の脚(獣の体)。己の心臓を貫いた腕そのものが「自分は尾木ではない」と語っていたのだ。


「あ、はは……やっちゃ、った…………」


 あまりにも間抜けな自分の過ちに、血を吐きながら笑みを浮かべるアリス。そして目から光が消え、だらりと腕が垂れた。


「......貴方、誰」

「あぁ、ご心配なさらず。私は敵ではありません」


 そうは言うが、一連の流れを見せられた杉江に「警戒するな」と言う方が無理な話である。こちらは先程の攻撃で既に満身創痍、もし連戦にでもなれば今度は確実に__死ぬ。


(とにかく、正体だけでも.....!?)


 しかしそう考えた直後、尾木の()()()()()()()()()()。髪や瞳、肌の色から骨格に至るまで、尾木の姿形が数秒もしない内に七三分けの男性に、別人に変わってしまったのだ。


「改めまして、私は(雨来(うぐる) 出雄(でお))と申します。少し、お話を宜しいでしょうか?」



~~~~~




 最強格の魔眼使い、異形型を相手にしていた憂は必死に生き残る術を探していた。

 理想は「相手に戦わず逃げる」だが、そんな方法がすぐに思いつく訳も無い。そこで憂が捻りだした作戦が......


「思い付かないなら聞けばいい!!」

『結局最後は人任せ、いや悪魔任せか』

「御託はいいから早く教えてくれぇ!! 死ぬ!! じぬぅ!!」


 と言う訳で恥を捨てアガレスに尋ねる憂。その余りにも情けない姿には流石のアガレスも呆れ気味......しかし契約が効いたのか、アガレスは憂に一つだけ助言を与えた。


『はぁ……お前はアイツの炎を見て何も思わなかったのか?』

「はぁぁ!?!? 何もって、そんな場合じゃ!!」

「おしゃべりは楽しいかしら!!」

「がはぁァ!!!!」


 アガレスの言葉一つ一つに翻弄されるが、その隙を見逃してくれる程敵も甘くは無い。須藤の熊のような腕に薙ぎ払われ憂の体は簡単に吹き飛んでいく。


「くっそ痛ぇ……」

『悪魔の力......確かに性質の優劣はあるが、それ以上に”重要な点”がある』

「勿体ぶらず早くい__ぐふッ!!」


 憂に考える隙も与えず、更に追撃を加える須藤。転ぶ度に血が流れ、痛みが憂の思考回路を妨害している。ついでに須藤は須藤で何かを考えていた。


「決めたわ。さっさと貴方を殺してデアちゃんのイベントに行く……KILLERなんて知ったこっちゃないわ!!」

「ちなみに、今行くってのは……?」

「んーそれもアリだけど、私も一応陰陽師の端くれなのよねー。貴方を殺してから行った方が面倒事が減るわ」

「へっ、そうかよ……!!」


 会話を伸ばし少しでも時間を稼ごうとする憂。だが、タイムリミットは刻一刻と迫っている。


(それで!! 重要な点って何なんだよ!!)

『全く、落ち着きの無い奴め___だ』

『因みに言えば奴も具現型だろう』

「は!? おま、お前ぇ!! やりやがったな!!!!」

「煩いわね~もう良いわ、そろそろ……死んで頂戴!!」


 痺れを切らした須藤が止めを刺そうとする腕を振りかざす。迫る腕、もはや憂に逃げきるだけの体力は無かった。


(くそッ!! こうなりゃ一か八かァ!!)

「うおォォォォ!!!!」


 やけくそ気味に右目を紅に染める憂。しかし迫り来る腕に対し、今度は右目ではなく"右腕"に力を込めて、残る体力全てを使い__(くう)を殴った。


「ッ!?!?」


 本来、()()()()()()()使()()。自分の改造された腕とは比べ物にならない程弱いはずだ。


 だと言うのに、何だ…………あの拳から放たれる死の気配は。


 野生の本能と言うべきか、憂から発している"ナニカ"を一瞬で感じ取った須藤は腕が当たる寸前で回避する…………が、その行動は無意味に終わった。


 拳ではない、拳に纏わりついた衝撃波(ナニカ)が須藤の身体にぶち当たったのだ。

 しかし、その衝撃波は今まで憂が放ってきたモノとは明らかに違う。


(何、これ......身体が押しつぶ、いや()()()()......ッ!!!!)


 強い風が生まれたどころではない、大きな壁に全身がぶつかったと錯覚する程の強烈な衝撃波が須藤に襲い掛かる。そして周囲の建物や道路までをも巻き込み、辺り一面を更地に変えてしまうのであった。




おまけ(設定説明)

「悪魔は悪魔を嫌うんじゃないの?」と思うかもしれませんが、

そもそも魔眼は一般人に直接使うことが出来ます。例)一般人:アイムの魔眼で突然人体発火する。


ですが、魔眼使い相手には直接使うことが出来ません。

その為、「アイムの魔眼で炎を出す→対象に向ける」とワンクッション挿み、間接的に使わなければなりません。


要するに「一般人は戦うことも出来ない、魔眼使いは魔眼使いで倒すしかない」という訳です(ややこしい)。


感想評価は作者が泣いて喜びます。

Twitter→@iu_331

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