34.第三契約
プリン君改め、るるくんVSリューっち戦。決着です。
アイム、【炎を噴き出す】悪魔。単純な能力ながら対象を灰燼に帰す凄まじい威力を持つ。
そんな強大な魔眼の力を手にした尾木は数々の任務を難なくこなして来た……それが自分の力だと錯覚する程に。
"解決する力"と"他を黙らせる成果"、これさえあればすぐ上に上がれる。そう考えた尾木にとって今回のKILLER出現はまさに格好の餌であった。
結果的に討伐は成功。御井が恐れていた事態が起こるどころか、初めの一発で死にかけになる始末。正直拍子抜けだ。
KILLERは炎によって気を失い、手足は既に炭化している。このまま放置すれば勝手に死ぬだろう。
「案外呆気なかったな.....ん?」
ふと、足元を見るとKILLERを誘い出す為に用意したプリンが横たわっていた。アリスの魔眼によってここまで運んで来たモノだが、もはやこれは無用。
「ふん、こんなもので釣られるとは」
尾木はプリンを踏み潰し、背を向けた…………その時。
「…………殺セ」
「ッ!!!!」
その声に尾木が勢い良く振り返ると、そこには焼死体が立っていた。
『殺セ』
ボロボロに朽ちた手足、炎によって爛れた肌、紙袋に隠されていた皮の無い顔。
『全テヲ、殺セ』
それでも立ち上がらせたのは、強靭な体でも堅忍な精神でもない。
『目ニツク全テヲ殺セェェ!!!!』
あったのは____殺意だけ。
「殺……全テヲ…………殺セェェェェ!!!!!!!!」
殺意の怪物はまだ、殺してない。
『"第三ノ契約"ハココニ成立シタ』
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
第三契約、通称《魔体契約》。
肉体的制約を結ぶことにより、悪魔の体である魔体を一時的に借りる契約。
るるの手足が崩れ落ち、六本脚の獣が生まれた。四つの腕に四振りの大鎌、構えるその姿はさながら【獣の牙】。
何故、こんなにも殺意に満ちているのか。
もしも彼が人間ならば、それは"人間として生きる為"だろう。
食べる為に殺す。
着る為に為に殺す。
住む為に殺す。
豊かにする為に殺す。
暇を潰す為に殺す。
娯楽の為に殺す。
運が悪い為に殺す。
復讐の為に殺す。
人間は生きている限り殺すのだ。
しかし、"獣"は違う。
愛情も喜楽も欲望も愉悦も嫉妬も憎悪もこの獣には存在しない。
あるのは殺意、ただそれだけ。
獣は殺す為に殺すのだ。
「死にぞこないがッ......良い加減死ねッ!!!!」
獣目掛け一直線に炎が噴き出すが、今更その程度で獣が止まるはずがない。
「殺セ殺セ殺セ殺セ殺セェェェェ!!!!!!!!」
「!? なッ、ぐぁぁぁぁ!!!! う、腕がァkjcwdvjpsヴぉいj」
炎の中をがむしゃらに駆け抜け、牙が尾木の肩や腹に突き刺さる。そして獣は肉を嚙み千切るかのように両腕を吹き飛ばした。堪らず尾木は叫び声を上げようとするが時既に遅し。既に頭は槌で潰され、もはや口すら無かった。
「殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ」
裂かれた腹から溢れ出した腸と血は獣を赤く染め、毛や砕かれた骨は血肉を彩るアクセント。
獣は細切れにした肉を磨り潰そうとするが、今日は運が良いことに火種があった。
血生臭い肉は炎に焼かれ赤黒く変色する。自分が蒔いた種で燃え焼かれるとは皮肉な話だ。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
そして、獣は肉片全てが燃え尽きるまで殺す事を止める事はなかった。
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「KILLERなら殺した」
「おぉ!! やるじゃんリューッち!!」
「嘘……」
尾木の発言に啞然とする杉江。"戦って勝った"だけでなく、"あのプリン君と戦って無傷で居られる"事があまりにも信じ難い事だからだ。
唯でさえ深手を負っているのにも関わらず更なる敵の登場に、流石の杉江も「諦め」の言葉が頭にちらつく。
しかし、事態は急展開を迎える。
「風美。お前には"一つ"、言う事がある」
「え、なに? リューぐっ!?!?」
突然、アリスの心臓を尾木の腕が貫いた。
「残念ながら____私は尾木様ではございません」
るるくん覚醒+新キャラ登場回でしたね。
おまけ(設定説明)
肉体的な強さは異形型<魔体です。人外とは言え元人間と悪魔ですから当然ですね。
ですが、肉体維持は異形型>魔体となっています。第三契約によって一時的に借りているだけなので瞬間的な強化になっていると言う訳です。
要するに永続的肉体か短期決戦向けかと考えていただければ……
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