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32.杉江の右腕

杉江先輩vsアリスちゃん戦です。

 憂が須藤と話している頃、杉江とアリスは既に交戦を始めていた。


「良いでしょー右目(コレ)()()()って言うんだー。ホントはもっと早く使いたかったのに歯車のオジサンのせいで三ヶ月も待ちぼうけしたんだよー?」


 "ベリト"__それはかつて舞楽と契約していた悪魔である。

 三ヶ月前、舞楽はプリン君に殺害されたがその際、首が刎ねられたお陰で魔眼は破壊されず無事であったのだ。その後ベリトの魔眼は陰陽師達に回収され、アリスが契約を結ぶ為の媒体として活用されたのだった。


「ねぇーいっしょにあそぼーよ!!」


 足元や逃げ道に巨大杭を生成し、獲物を追い詰めるアリス。口では遊びと言うが既に魔眼を使いこなしていた。それも弱者相手に遊びで使っていた舞楽とは違う、強者の遊びであった。


 しかし、杉江は攻撃を避け続ける。


「へぇ、今の避けるんだ……何の魔眼だろぉー?」


 口ではおどけているものの、アリスはしっかりと"杉江が避けられる仕組み"について考えていた。

 報告によれば「KILLERと組んでいる残り二人は()()()()()()()()」とのこと。杉江の肉体的に素の状態で避けているとは考えづらい。


(まさかの未来を見る魔眼だったりー? それにしてはぎこちないけどなー)


 思考しながら攻撃を続けるアリス。すると杉江のある違和感に気が付いた。

 それは杉江が回避する方向が全て右側だということ、まるで杉江ではなく右腕が意識を持っているかの様に避けていたのだ。


 黒い長手袋に隠された右腕に"ナニカ"がある。


「ねぇねぇその右腕、何隠してるのかなぁ!!」

「何でしょうね……ッ」


 正体を確かめるべく、杉江を中心に複数の巨大杭を生成するアリス。

 普通の人間なら避けようのない状況......しかし杉江は避けるのでなく、なんと()()()()()()()()()()()


 乱雑な扱いに黒い長手袋はビリビリと破け、そこから見えたのは灰色の肌、鋭い五本指、若い女の腕とは思えない皺だらけの甲____"人外の腕"がそこにはあった。


「何その腕ーアンタって異形型だっけ? それとも()()かなー?」

「ふふ、半分正解よ」

「半分?」

「これは借り物の腕じゃない......"本物の"フォラスの腕よ」


 そう言って灰色の右腕を見せつける杉江。当然理解出来るはずもなくアリスは余計に混乱した。


「本物って、どういう」

「プリン君、貴方達の言うKILLERだったかしら? この間その子に右腕取られちゃったのよ」

「......それでー? その腐った腕を付けたって言いたいわけー?」

「えぇ。義手でも良かったのだけれど、お父さんが代わりの腕をくれたの」

「……は?」

「私のお父さんって過保護なの、私の右腕を生贄にしたらすぐ来てくれたわ」

「悪魔の腕を移植したってこと? ......イカレすぎでしょ」


 何の躊躇いもなく人外の腕を付けた杉江にドン引きするアリス。同時に死角から攻撃してみるも、全て杉江のお父さん(右腕)が回避してしまう。


「言ったでしょう? これは私の腕じゃなくてお父さんの腕…………人間が悪魔に勝てると思って?」

「ありゃりゃーじゃー少し本気を出そーかなぁぁッ!!」


 その煽りにアリスは口角を上げ、地面から大剣を生成し杉江に勢い良く振りかざす。

 流石の杉江の右腕(お父さん)も至近距離からの回避は難しかったのか、大剣を右腕で受け止める......が、勢いを完全に殺しきる事は出来なかった。悪魔の腕とはいえ杉江自身は人間のまま、戦闘が不得意な事に変わりはなかった。


「あはは!! 私ぃ!! チマチマ殺るよりガンガン殺る方が好きなんだぁ!!」

「煩い子ね、少しは静かに出来ないのかしら......!!」


 ようやく見せた隙を逃すはずもなく、猛攻を続けるアリス。"巨大杭で逃げ道を塞ぎ、自分は大剣で攻める"、場の流れを完全に支配していた。


「本気出すって言ったよねッ!!」

「ッ!!」


 その言葉の直後、ドーム状の壁で杉江を覆い隠すアリス。そして全方位から巨大杭を生成、鉄の処女を彷彿させるような残忍で苦しめて殺すと言わんばかりの殺意が攻撃から匂わせていた。


「はぁはぁはぁ……!!」



 しかし、それでも杉江を殺す事は出来ない。


 確かに、杉江自身は普通の人間……だが、同時に【全てを知る】フォラスの魔眼使い。猛攻の中、杉江は魔眼を起動させ"攻撃の避け方"を調べ続けていたのだ。

 しかし、いくら避け方を知っていても杉江の体がその通りに動けるとは限らない。

 結果的に全ての攻撃を避ける事は出来ず、巨大杭にかすった箇所から血を流してしまった杉江。息も切れ切れで今までのようには動けないだろう。


「うわーびっくり!! 絶対しんだと思ったのにー。でもその怪我じゃあもう遊ぶのは無理かなー? ありがとー!! すっごく楽しかった!!」

「……ッ」


 まるで子供のような無邪気な笑顔を見せるアリス。彼女にとって殺し合いは遊び、自分がワクワクする"楽しいイベント"なのだ。


(一回くらいならまだ使えるかしら……油断している内に決めないと)

『待つんだ藍』

「どうし、て……!?」


 杉江が反撃に出ようとしたその時、フォラスから「待った」が出る。それもそのはず、本来この場に()()()()()()()人物がそこに立って居たからだ。


「まだ殺していないのか」


 そこに立っていたのはプリン君と戦っているはずの尾木。


「あれ、リューッちじゃん。KILLERは?」



「KILLERなら____殺したぞ」




という訳で杉江先輩は「右腕よ…静まれ!!」系ヒロインになりました()

それとこの間(半年前)「舞楽君の出番コレだけ?」と聞かれたので答えます__「魔眼は出ます」。


明日はプリン君VSリューっち

ついに大将戦(?) 異能バトルモノはやっぱ戦ってこそよなぁ!


評価と感想をくれたら作者のモチベがめっちゃ上がります。

Twitter→@iu_331

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