30.陰陽師
プリンが道路走るって中々シュールよな。
「おい、何で誰も居ないんだ!?」
憂達はプリン君を追う為大通りを走っているが、学校を出てから一度も人に出会っていなかった。学校から帰る生徒も、車を運転する大人も、建物が壊されても誰の悲鳴も聞こえないのだ。
「こんなにプリン君が暴れているのに騒ぎどころか誰も出て来ないなんて……犯人の右目は紅そうね」
「そうだな!! くそっ!! どこまで行くんだアイツ!!」
『こうも連続して巻き込まれるとは……お前はつくづく運が良いなァ』
「うるせぇ!!」
「見えたわ、あそこ」
杉江が指を差す先には確かにプリンをジッと見つめるプリン君が見えた。
ようやく追いついた憂は息を切らせながらも一安心し、足をとめようとする。
「はぁ、はぁ。やっと見つけ」
『馬鹿め、足元だ』
アガレスが警告した次の瞬間、突然憂と杉江の足元から巨大杭が出現した。
「うわぁ!!」
「きゃッ!!」
警告のお陰で、何とか直撃する前に回避した憂達。その様子を紅の瞳で見つめるのが一人、否三人居た。
須藤、尾木、風美。昨日会合していた謎の組織のメンバーだ。
「ありゃ? 当たったと思ったんだけどなぁー」
「チッ、外しやがって」
「アリスちゃん、合図くらいはして欲しかったわ……」
「だ、誰だお前ら!!」
もちろん憂達と彼らは初対面であり、攻撃される理由は思いつかない。
急に現れた謎の人物達に憂は驚きながらも「誰か」と尋ねると、リーダー格の尾木が口を開き__こう答えた。
「俺達は《陰陽師》。お前らゴミ共を浄化させる者だ」
陰陽師、それは古代日本における官職の一つ。
陰陽五行思想に基づいた陰陽道による占いによって災いを防ぐ者と伝えられてきた…………が、それは事実とは"異なる"。
平安時代の日本は妖怪、物の怪と言った人外の類によって人里を荒らされていた。妖怪達は強く、ただの人間では歯も立たなかったのだ。
そんな中現れたのがエクソシスト____悪魔祓いである。
彼らは妖怪の正体が"悪魔"であることを見抜き、日本に潜む悪魔を全て殲滅した。
その後彼らは日本版エクソシスト、陰陽師の原型を作り上げ、現在に受け継がれたのである。
人外の領域である為表の歴史からは葬られたものの、今もなお悪魔に関する事件を陰ながらに解決し続けていたのであった。
だが、そんな歴史の真実を憂が知るはずもなく怪しい者を見る目で三人を睨み付けていた。
「陰陽師ぃ? 殺人鬼の次は陰陽師ってか、笑えねぇな……杉江?」
「今、軽く魔眼を使ったけど情報量的に本物ね。あまりにも多過ぎる」
「......マジ? おいおいこれからどうすんだよ。一応プロっぽいぞ」
「一応も何も、彼らは魔眼使い専門の殺し屋よ」
憂は魔眼使いの戦いに何回も巻き込まれているが、戦闘が得意になったとは微塵も思っていない。
それに加えサポートメインの杉江に、コントロール不可能のプリン君。更に相手は魔眼使い専門の殺し屋、今までの戦いよりも苦戦する事間違いなし。
圧倒的、同盟組が不利な状況。そこから導き出される戦略は____
「よし、逃げ」
「女は風美、男は須藤が殺せ。KILLERは俺が殺る」
そう言って右目を紅に染めると、尾木の全身が火に包まれた。
尾木の契約悪魔はアイム、【炎を噴き出す】魔眼使いだ。
「魔眼起動____燃え尽きろォ!!」
火炎放射器のように勢い良く噴き出した炎は尾木の作戦通り魔眼使い達を3組に分けた。尾木とプリン君、風美と杉江、そして......
「うおぉアッツ!!」
「ひいぃ!! 服が燃えちゃうわ!!」
「「あ」」
逃げる気満々であった憂の目の前は、同じく逃れようとしていた須藤が服をバッサバッサして立って居た。
(何この全身不審者、絶対強いじゃん……)
(指定災害種の連れだなんて、絶対面倒に決まってるわ……)
((戦いたくねぇ……))
こうして、憂達と陰陽師達の戦いの火蓋が切られたのだった。
という訳で、アリスちゃん御一行の正体は「陰陽師」でしたー(サブタイでバラすスタイル)。
ちなみに陰陽師の服は皆さんのイメージする通りのデザインです。
モブは皆同じですが、上の役職になるとそれぞれ自分の個性が出ている服を着ています。
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