23.嘘と目的
あけましておめでとうございます。今年も「紅の魔眼」をお願い申し上げます。
薄暗い帰り道、憂は今日の出来事について振り返りながら歩いていた。
学校一の有名人に呼び出されたと思ったら殺されそうになり、その後怪物に再開。そしてなんだかんだあって全員と同盟を結んだ……色々ありすぎて頭の中が整理出来ていない。
しかし、それ以上に分からない事が1つあった。
「なぁ悪……いや、アガレス」
『何だ? 憂』
「何でお前は……僕を騙したんだ?」
『……』
それは悪魔が"自分を騙した理由"である。
「っへ、まただんまりかよ」
『いや、良いだろう。この際だ、教えてやろうじゃあないか』
「え、いいの」
聞いておいて何だがまさか本当に教えてくれるとは思わず、憂は呆気に取られた。
『何故お前を騙したか……それは俺の"目的"の為に必要だったからだ』
「目的ぃ?」
『そこまでは教えん』
「おい」
『その代わり、お前にはもう二度と嘘をつかないと約束しよう』
「……ハッ、気でも狂ったかよ。急に協力しようとするだなんて、それこそ嘘なんじゃないのか?」
『今回の件で学習したのだよ、憂。互いに協力した方が効率良い……とな』
「嘘をつかない」、その言葉を聞いて憂は驚き、同時に信じられなかった。自分を騙し続けて来たコイツを今更信用しろだなんて無理に決まっている。
『それに、お前が"俺に協力する”と契約するのならば__俺はお前に更なる力をくれてやろうじゃあないかァ……!!』
「……更なる、力」
それは正しく悪魔の誘惑だった。確かに、今以上の力を得れば魔眼使い達に怯える現状を打破出来るかもしれない……が、それ以上にアガレスの信用が足りない。
しかし、そんな憂の内心を悟ってか、アガレスは更に追い打ちを掛ける。
『俺は目的を、お前は力を得る。互いに利がある話だろう?』
「それは……けど」
『憂…………憂憂憂憂よ。お前は自分の母親を救いたくはないのか?』
「……ッ」
『俺の力さえあれば母親を救えるのではないか?』
「…………」
そんな事、言われなくても分かっている。他の魔眼使いに比べ、力も経験も劣る自分が母を救うにはアガレスの協力が必要不可欠だと言う事ぐらい。
「……本当に協力するんだな?」
『あぁ、お前に力を貸そう』
前に進むには、覚悟するしかない。
「分かった、お前と契約してやる」
『良いだろう____ここに契約は成立した』
果たして、この契約が吉と出るか凶と出るか…………それは誰にも分からない。
例え、それが悪魔だとしても。
「はぁ…………結局契約しちゃったかぁ。まぁそもそも頭ン中に住んでる時点で今更、か?」
改めて悪魔アガレスと契約した憂。念のため身体に変化が無いか調べたが、特に異常なし。安心したような拍子抜けのような、「もう契約した後だしなぁ」と半場諦めるのだった。
「にしてもアガレス、ねぇ……ワンチャン調べれば出て来たり、して…………え」
アガレス、昨日まで名前すら分からなかった謎の悪魔。
そんな悪魔にやられてばっかではいられないと、憂は「何でも良いからなんか情報ないかなー」と半場やけくそ気味にスマホで名前を検索した……が、その検索結果に頭を抱え込む事になる。
【アガレス】ソロモン72柱の悪魔にして地獄の公爵。拳にオオタカをとまらせ、ワニに乗った老人の姿をしている。あらゆる言語と言葉使いを教え、地震を引き起こすことが出来____
「何が名無しの悪魔だ……超が付くほど有名所じゃねえかッ!!」
『騙されたお前が悪い』
「ぐッ……それにしてもコイツが言葉使いを、ねぇ」
『人間如きが俺を理解出来るはずなかろう』
「お前、本当に嫌いだわ」
その後、「帰りが遅い」と怒られた憂であったが、何気ない日常に戻れた気がして全く話を聞いていなかったのはまた別の話である。
これでこの章で序章終了って感じです。
『人間如きが俺を理解出来るはずなかろう』
作者訳:原作通りの72柱じゃないよ!! です。
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