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16.知っている側

最近ちゃんと更新出来ててえらい(自画自賛)

「あ、久しぶりだね瀬流くん!! 怪我はもう大丈夫?」


 教室に入ると昨日は居なかった冬木と目が合い、早歩きでこちらへ向かって来た。


「冬木さん久しぶり。僕は平気だけど冬木さんの方こそ大丈夫? 柚子から聞いたよ、持病が悪化したって」

「今日は調子が良いから平気だよ。元気元気!!」


 三ヶ月前も体育を休む程体が弱かった冬木であるが、最近はさらに波が酷くなり休みが多くなっていたらしい。

 その為今日も居ないだろうと思っていたのだが、予想に反し冬木は明るく振舞っていた。


「はは、なら良いけど……」

「瀬流くん……あのね、実は」

「このクラスに瀬流って生徒は居るかしら」


 何かを尋ねようとしていた冬木だったが、それは突然の来訪者__杉江によって遮られてしまった。


「杉江先輩、何しに来たんだろ」

「アイツに説教しに来たとか?」


 "学校一の問題児"と"生徒会長"、接点が無い二人にクラス全員が騒ぐが当然、憂自身何も知らない。

 憂は嫌々ながら杉江に要件を聞く為、冬木に頭を下げつつ扉の前に向かった。


「杉江……さん、何か用ですか?」

「昨日振りね。悪いけど今日の放課後旧校舎に来てくれる? ()()でね」

「……何か、するんですか?」

「それはその時に言うわ」


 旧校舎とは災害直後、学生の仮の学び舎として選ばれた木製の建物である。

 現在は記念館として使われており、普段は立ち入り禁止の場所だが……果たして、そんな場所で何をするのか。しかも、この学校で一番嫌われている自分にお願いしてまで____いや、理由なら一つある。


『どうするのだ、憂?』

「すいません、僕今日は忙しいんですけど」

「貴方帰宅部でしょ? すぐに終わるからちゃんと来なさい。それじゃ」

「え、ちょ……ッ!!」


 「言いたい事は言った」と言わんばかりに颯爽と過ぎ去る杉江。

 仕方なく憂は諦め、冬木と話の続きをしようとしたがチャイムが鳴ってしまい、それも出来なかった。


「ごめんね冬木さん、後でまた聞くから」

「はは、別に大丈夫だよ……大丈夫」

「ホームルームするぞー。席に着けー」


 先生の声を合図に椅子に座っていく生徒達。

 だが、席に着いた冬木の顔はどこか儚げであった。




~~~~~




「それで、こんなところに何の用ですか」


 放課後、旧校舎には二つの人影があった。憂と杉江だ。

 杉江が脅迫文の送り主である可能性がある以上、憂に"行かない"という選択肢は無い。


「そうね、さっさと本題に入りましょうか。貴方、悪魔って信じる?」

「ッ!!」


 その一言は憂の心を大きく揺さぶった。


(やっぱり、コイツが……!!)


 「杉江が脅迫文の送り主だ」と、憂は確信した。


「あ、悪魔がなんだって?」

「分かりやすいわね、貴方」

「くッ!!」

「……まぁ、これで面倒事もおしまいね。それじゃあ……()()()


 気怠く呟いた瞬間、杉江の右目が紅に染まる。


「そ、その目は!? 何をする気だッ!! う、うわぁぁぁ!!!!!!」


 「また狂人に殺される」という心的外傷(トラウマ)を思い出させる忌々しい紅の右目に、思わずパニックになってしまう。


 しかし、憂は"ある事"を忘れていた。


『はぁ……この愚か者が』

「ぐぐぐ……あれ、何ともない」


 いつまで経っても訪れない魔眼の力に恐る恐る目を開き、自分の身体を確かめる。案の定どこも異変は無かった。

 それもそのはず、"魔眼は魔眼持ちには効かない"のだから。


「……」

「は、ははは。アンタ、魔眼の使い方を知らないみたいだな……!!」


 無言でこちらを見つめる杉江。魔眼のルールを知らないのだろうか。どちらにせよ状況が不利な事には変わりない。

 憂は未だ怯える体を奮い上がらせ、杉江を少し煽る。だがその行為はすぐさま後悔する事になる


「そうね。"悪魔は悪魔を嫌う"なんて、知りもしなかったわ」

「な!? それは……ッ!?」


 杉江は焦りを見せるどころか"知っている側の台詞"を吐いた。


 更に追い打ちをかけるかの如く、()()()()()()から本を取り出すと、本は空に揺蕩いまるで意思を持っているかのように勝手に開いていく。


「な、なんだよ……それ」


 完全に場を飲まれた憂。

 そして開かれた場所(ページ)を見て、杉江は憂にこう告げた。


「へぇ……貴方の悪魔、《アガレス》っていうのね。とんだ大物じゃない」

「…………え?」


 知らない単語を聞き、思わず唖然とする。

 だが直管で分かった、それ(アガレス)は間違いなく"あの悪魔"の名前だ。


~~~

『それが契約だからだ。"悪魔の名前を知る為に人間を止める契約"……さぁどうする、憂?』

~~~


 それはかつて悪魔に言われた契約……しかし憂は契約をしていない。

 それどころか他人がその名を知っていた。この事実が証明することは____



「お前ェ……また僕を騙したなぁぁぁ!!!!!!!!」



 悪魔はまた、自分を騙したのだ。


「どうやら……知らなかったのは貴方だったようね」


 杉江が話しかけるが、それどころではなかった。「また騙された」という事実が憂の頭の中をぐちゃぐちゃにしていたのだ。



 しかし、悪魔は何も語らない。




杉江先輩の感情は殺意しかないの?(作者)


モチベアップの感想評価ブクマよろしくお願いいたします。

@iu_331

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