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14.三ヶ月振りの学校

やっとこさ新章です。拙いところは暖かい目で許してください。

 今日から三ヶ月振りの登校。憂にとっては三日目だが、細かい事はどうでも良いだろう。


(あぁ……鬱だ)


 学校に向かっている憂の気分は"最悪"。その理由はとても単純で、学校に居る全員の視線であった。

 ある者は恐怖し、ある者はゴミを見るような目で睨んでいる。憂に対する視線がまるで()()()()()()()だったからだ……心なしか、「どうして学校に来たの」とか「殺人鬼は死ね」といった罵詈雑言まで聞こえて来る。


 しかし、ここで帰る訳にはいかない。


 憂はこの学校の何処かに居るであろう脅迫文の送り主から家族を守りに来たのだ。それにあの怪物に比べればこれぐらいの罵詈雑言、耐える事など朝飯前……のはず。


「はぁ……」

「あ、憂だ!! 久しぶり!!」

「うぉ!! って、なんだ柚子か。脅かせんなよ……」

「あはは、ごめんごめん。怪我はもう大丈夫なの?」

「あぁ何とか……って、心配してくれるのか?」

「当たり前だよ、友達なんだから。もう来ないのかって、心配したんだよ?」


 そう言って笑顔を見せる柚子。

 学校中が殺人鬼扱いをしてくる中、変わらず接してくれる人はそうは居ない。三ヶ月振りの再開をこうまで喜んでくれるのはきっと彼くらいだろう。


 改めて「柚子は良い奴だな」と思う憂であった……が、話しかけてくるのが柚子だけとは限らない。


「オイオイ!! なんで殺人鬼が学校に来てんだァ?」


 突然声をかけられる憂。振り向くと、ガラの悪い二人組がニヤつきながら近づいていた。


「おいお前、古出の奴を殺したって本当なのかァ?」

「殺人鬼は学校に来るなよォ」


 当然、全員が柚子みたいな"良い奴"ではない。むしろ現状ではこの二人組のように考える生徒が殆どで、柚子の方が珍しいのだろう。


「違う!! 憂は殺人鬼なんかじゃない!!」


 (友達)を馬鹿にされ怒る柚子。その様子に二人のからかいはますますヒートアップしていく。


「へッ。お前テレビ見てねぇのかよ」

「やっぱ頭可笑しい奴のおともだちも()()()()()()()()()


 その言葉に皺を寄せる憂。


「……何だと」


 自分が馬鹿にされるならまだ良い……だが、関係ない柚子を馬鹿にするのは許せなかった。


(気に食わぬのなら使えば良いじゃあないか……魔眼(ソレ)を)

「……ッ!!」


 確かに、魔眼を使えば二人を懲らしめる事が出来るだろうが、それは簡単に人を殺せる兵器。使えば「自分は殺人鬼だ」と自ら証明するようなものだ。


 しかし今の憂に正常な判断が出来る程の心の余裕は無かった。

 学校に登校出来たとはいえトラウマは消えておらず、常に拳銃の引き金に指を置いているくらいの脆い精神状態なのだ。


 憂の右目が赤くなりだす____瞬間、一人の女子生徒が目の前に現れた。


「何を騒いでいるんですか、貴方達」


 険悪な雰囲気の中、仲裁に現れたのは長い黒髪の少女。

 少女は双方を見比べると、二人組の方を向いた。どうやら原因が二人組にあると判断したようだ。


「伝統ある我が校の正門で揉め事を起こすのはやめていただけますか?」

「オイオイ。俺たちは殺人鬼を追い出そうとしただけだぜ? 正義だよ、せ・い・ぎ」

「それを判断するのは警察です。そろそろホームルームが始まるので貴方達は早く教室に行きなさい」

「チッ……へぇへぇ分かりました生徒会長さぁま」

「じゃあな、殺人鬼ィ!! ぎゃはははは!!!!」


 少女に注意されると、二人組は憂を嘲笑いながらその場を後にした。


「あ、助けてくれてありがと」

「別に、貴方の為ではありません。貴方達も教室に行きなさい」

「うござ……」


 すぐさま礼を言う憂に目もくれず、少女は特に反応せずすぐさま立ち去ってしまった。

 助けてくれたのか、ただ単に風紀を正しに来たのか。目の前で起きた一瞬の出来事に憂は啞然とするしかなかった。


「相変わらず学校以外には一切興味が無いんだな……」

「あはは、杉江先輩は()()()で有名だからね」


 (杉江(すぎえ) (あい))。理事長の娘にして六代目生徒会長だ。

 当然成績は常に学年上位、"才色兼備"という言葉は彼女のためにあると言っても過言ではない。だが理事長の娘のせいか些か学校愛が強すぎる事で生徒達には知られている。


「おっと、それじゃあ僕たちもそろそろ行こうか」

「そうだな……遅刻すると単位に響きそうだし」


 多少のトラブルはあったものの、遅れないよう駆け足で教室に向かう憂達であった。




~~~~~




「にしても傑作だったな!!」

「だな!! 殺人鬼って聞いていたから会ってやったのにトンだヒョロガキじゃねぇか!!」

「ぎゃはは!!」

「貴方達、ちょっといいかしら」

「あん?」


 道を塞ぎながら騒ぐ二人組に少女が____杉江が声を掛ける。


「誰かと思えば生徒会長さまじゃねぇか」

「もしかしてお説教? 悪いけど俺ら忙しいんで」

「心配はいらないわ。簡単な()()よ」

「質問だァ?」




「貴方達は…………"悪魔"を信じる?」




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@iu_331

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