11.舞楽 椎
今回はグロいかもしれないです。
お食事中の方は注意。
舞楽はとある不良グループの下っ端、俗にいう三下だった。
「阿部さん、今月のみかじめ料っす」
「おうおつかれさん」
不良グループの規模は大きく、名前を使えばやりたい放題出来る程。だがその分対価も大きく、毎月グループに一定以上の金銭を納める必要があった。当然まともに働いて稼ぐはずもなく、舞楽は弱そうな奴を見つけてはかつあげをしていたのだが……
「……ん? 先月より少なくねェな」
「っへへ、例の猟奇事件のせいで出歩いてるヤツが少なッグブ!?」
事情を話そうとする舞楽だったが、突然不良グループのリーダーである阿部に顏を殴られ止められてしまう。
「おいおい、そこは言い訳じゃなくて謝罪だろぉ?」
「す、すいませ」
「あぁ!? 声がちいせぇなぁ!!!!」
「すんませんでしたぁああ!!」
額を地面に擦り付け、必死に土下座をする舞楽。そんな惨めな姿に阿部は嘲笑いながら、舞楽の頭をぐっと踏みつける。
「なぁ舞楽。オレも意地悪で言ってんじゃねぇんだ……ただ、こんだけしか集められねぇやつはみせしめにした方がいいよなぁ?」
「ひッ!? そ、それだけは……!!」
みせつけ__何かをやらかした時、罰として集団リンチと裸吊しが行われる。それをネタに都合の良い駒として使い続けられてしまうのだ。
「なら、分かってるよな。明日までに50万、よろしくな?」
「ご、50!? そんなの無理に」
「無理なら今すぐみせしめにして」
「わわかりました、わかりましたからぁ……!!」
「そうか。じゃ、頑張れよ!! ぎゃははははははは!!!!!!!!」
そう言って部下を引き連れながらその場を立ち去る阿部。舞楽はただ、その後ろ姿を見つめるしか出来なかった。
その後、必死に金を持ってそうなカモを探す舞楽であったが、例の事件のせいで中々見つけられない。これでは到底明日までには間に合わないだろう。
「……くそッ、何で俺がこんな目にッ!!」
今まで50万なんて大金を一度に要求されることは無かった。阿部が調子に乗っていた舞楽をみせしめにする為に無理難題を吹っ掛けたのだ。
しかし今から逃げようにも必ず捕まってしまうだろう。それは属していた自分が一番理解していた。
「阿部ェ……!! アイツだけはぜってぇ許さねぇ!!」
憎しみを吐く舞楽。絶望するわけでも嘆くわけでもなく、ただ純粋に殺意を抱いていた。
そして、その殺意に誘われる者がいた。
『いいね~その殺意。実にオレ好みだ』
「ッ!? だ、誰だ!!」
『オレか? オレはベリド__しがねぇ悪魔だ』
そこから何が起きたのかは想像に難くないだろう。
魔眼使いとなった舞楽はその力を使い阿部達を殺害、不良グループは実質的に消滅してしまった。
自分を見下していた相手を子ども扱い出来る圧倒的な力……舞楽は完全に魔眼の虜になっていた。
「あひゃひゃひゃ!!!! この力があれば……俺は無敵だッ!!」
~~~~~
「殺スゥゥゥ!!!!!!!!!!!!!!」
「誰だてめェ。言われなくてもぶっ殺してやンよォ‼」
突然現れた紙袋の男に舞楽は一瞬驚くが、すぐさま十を超える巨大杭を襲い掛かけた。
「はっはァ!!! ざまァねェ……なッ!?」
「殺ス……ゥ!!!!!!!」
勝利を確信するのも束の間、砂埃から現れたのは傷一つ付いていなかった紙袋の男だった。男は両手の大鎌を高速で振り回し、体に届く前に跡形もなく粉砕していたのだ。
確かに舞楽が今まで遊んで来た中には巨大杭を破壊した奴も居たが、この破壊スピードは異常。
しかし、気付くがあまりにも遅すぎた。
「嘘だろこいッ__」
舞楽は最後まで言い切る事が出来なかった……一瞬にして舞楽の首を刈り取ったからだ。
そして吹き飛んだ舞楽の頭はゴム毬のように何度か跳ね、地面に落ちた。その虚ろな目は憂の瞳をただ見つめていた。
だが、それだけでは怪物の殺意は止まらなかった。
「殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス」
大鎌を振り回し、舞楽の体を操り人形の踊りの如く出鱈目に動かす。
血肉が辺り一面に飛び散り、裂かれた腹からは腸が垂れ、骨は耳音良く折れ響く。
やがて人間の形を保てなくなった肉塊は、ぐちゃりぐちゃりと生々しい音を鳴らし始めた。
「殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス」
怪物はそのまま、槌に持ち替え肉塊に振り下ろしていく。ただ自分が満足するまで、肉がすり潰れ骨が砕け散る音を奏で続けるのだ。
周りの壁や道路が壊れるが怪物の知ったことではなかった。
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