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俺の森を荒らすな!  作者: 妖怪クミン振り
序章 大森林への帰還
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9/11

俺の知らない200年

「良くぞ参られた!創造主よ!我こそは骨塚の王!この骨塚の主である!」


「お前がトンタだな?そして俺についても知ってるようだな。少し話がしたい。いいかな?」


「……トンタは我が幼名である。今の我は骨塚の王!そう呼ぶように!」


「あ、うん。分かった。では骨塚の王よ、話し合い、いいかな?」


「無論である。ではこちらに。立ち話も何であろう?」


そう言われ骨塚の王の住居らしき場所に通される。

王を名乗る割には非常に簡素な部屋だった。


「さて、創造主よ。話し合いとのことであるが何が知りたい?」


「うん。お前も知っての通り俺はこの森の創造主だ。だがお前とこの骨塚のことは何も知らない。だから話を聞こうかと思ってさ。あ、これお土産な」


「おお……!立派な頭骨!感謝である!ふむ、創造主であれ知らぬこともあるのだな。我は一向に構わぬぞ!さて、何処から話したものか……」


そう言って骨塚の王はトンタであった頃のことから話し始めた。


「懐かしいものだ……我らは常に2人で1つ!トントンコンビと名を馳せていたものだ……」


だがその輝かしい日々は長くは続かなかったようで骨塚の王は徐々に顔を曇らせた。


「我が偉大なる友、トンポは強過ぎたのだ。そのあまりの偉大さは我の心を鷲掴みにするだけでは無く周囲の者達に畏怖の念をも抱かせたのだ」


そうして我の偉大な友は集落を追放されたのだ、と骨塚の王は語った。


ある時、弾圧を恐れたネクロマンサーが亜人の集落にやってきたという。

トンタは彼に教えを乞うたという。

トンポに追いつきたい。その一心で。

俺は素朴な疑問として「どうしてそこまでトンポにこだわるんだ?」と聞いた。

すると骨塚の王は「友の隣に立ちたいと思うのは当然であろう?」と笑った。


そうして研鑽を続けるも、寿命が迫る中でトンタであった彼は、


「今死ねば永遠に我が偉大なる友に追いつけなくなる。共に隣へ立てなくなる。ならば死なぞ超越するのみよ!」


と種族を超越する禁断の術へ手を伸ばした。

結果として禁術は上手く行き、トンタはリッチへと、骨塚の王へとなった。


……どれも俺の知らない1人の亜人の歴史だった。


「……成る程。お前の経歴は分かった。今の骨塚を聞かせてくれ。まず1つ、この骨達はどう集めてる?」


「それはであるな、まず、ここが1つの地脈の要所なのである。その地脈に沿って魔力の流れを形成しておる。その結果、森に還るべきものが還り、骨だけになったものが自動的に骨塚を目指す、という訳である!このシステムの構築には骨が折れたのである。骨だけに!」


「……そ、そうか。魔力を通してなお風化が進んだ骨や使い物にならなくなった骨はどうしてる?」


「それらは砕いて大地に還しておる。無駄にはせんよ」


「ふぅむ」


成る程、しっかりと循環はしているようだ。

もし彼が森に仇なす者だったら排除も考えていたが杞憂だったようだ。


「ふむふむ……成る程。大体分かったよ。ありがとう」


「何、この程度。創造主は満足であるか?」


「ああ、十分だ。重ねて感謝を。さて、長居は無用だ。俺達は行くよ」


「む、そうであるか。ではまたな、創造主よ!」


「ああ。またな、骨塚の王よ」


さて、3層に来たなら集落にも寄っておこう。

3層の現状も知っておきたい。

と、その前に。


「やあ、熟れている実はあるかな?」


『ええ、こちらに。亜人用ですか?』


「ああ。部落長さんに会おうと思ってな」


『でしたら、こちらを。彼は熟れかけくらいが好みでしたはずです』


「おお、助かる。頂くよ」


『いえいえ。亜人達によろしくお願いします』


「ああ。じゃあな」


よし、これでお土産のきのみは確保出来たな。

するとガルドが話しかけてきた。


「ハイド様、亜人の長に会うのですか?」


「ああ。そうだが。何か問題が?」


「……でしたら俺は4層の入り口で待機させて頂きたいのです。彼らとは会わない方が円滑に進むでしょう」


……そっか、ガルド達獣人は亜人と戦争があったって設定だったな。


「ああ……そうか。うん、いいぞ。悪いな、気を遣わせて」


「いいえ。むしろ俺の私情で護衛出来ず申し訳ありません」


「いいさ、亜人達が脅威になることはないだろうしな。それにお前の境遇を考えれば無理もないさ」


「……お言葉感謝致します」


「じゃあ、また4層の入り口で会おう」


「はい。お待ちしております」


そうして俺は1人亜人達の集落の中心部へ向かった。


《第3層 亜人集落、中心部》


「やあ、部落長さんには会えるか?」


「……ハイドか。しばし待て」


──数分後。


「……待たせたな。いいぞ。ついて来い」


そうして部落長の屋敷らしき建物へ通された。

骨塚の王のものとは違いそれなりに豪華で威厳の伝わる屋敷だった。


「ハイド様、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます」


「やあ、部落長さん。歓迎ありがとう。今回来たのは3層の現状が知りたいからなんだけどどうかな?あ、これお土産な」


「おお!草の実ですな。しかも儂の好みの熟れ時ときた。後で頂きましょう。して、3層の現状とのことですな。勿論ですとも」


「じゃあ早速だが最近どうだ?人間が出入りするようになってからどう変わった?」


「彼らとは比較的円滑に進んでおります。儂が部落長に就任した直後は、我々を魔物としか思わないような連中ばかりでしたが、近年は彼らも理解したのか、彼らから交易を持ちかけて来ることさえあります。そういう者には我らも好意的に接しております。残念ながらそういう者ばかりでもありませんが」


「ふむ、死者や負傷者が出ているということか?」


「ええ、少なからずは。ですが一番の問題は化け草ですな。人間達は彼らを害草としか認識していないようで駆除が相次いでいます。我らにとって彼らの草の実は貴重な甘味というのに……」


「ふむふむ……彼らには俺も親切にして貰ったからな。なんとか考えよう。それとは別に、どうしても甘味が必要なら代替品として人間達に砂糖をねだってみるといい。甘みを持つ白い粉だ」


「サトウ?ふむ、覚えておきましょう」


「さて、何か必要な支援はあるか?」


「いえ、大丈夫です。人間達との間で森に還ってしまう者もおりますが、死もまた定め。我らは我らで歩めておりますよ」


「そうか。何かあったら便りを……と言いたいが今の所術がないな……これは考えておこう。あとは……そうだ、1層の様子はどうだ?森番の亜人達から何か聞いてないか?」


「1層は最も人間達が入り込んでいる場所故、被害が多いと聞いています。手段を選ばない開拓、遠慮のない採取、利益のみを追求した狩猟と多岐にわたります。森番達もほとほと困り果てております」


「うーん、そうか。これは早急に何か対策が必要だな……」


「現状としてはこんな所です。如何でしたか?」


「うん。ありがとう。色々今後の課題が見えてきた。じゃ俺はこんな所で失礼するよ」


「では道中お気をつけて」


《第3層 原生林への入り口》


「おーいガルドー?終わったぞー?」


「はい。ここに」


「おお、さっきぶり。じゃ行こうか」


「今度こそお供します」


こうして俺達は森神に話を聞くべく4層へ向かった。

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