俺と冒険者の帰り道
「さて、アラン。第5層はどうだった?」
「非常にいい経験になったよ。俺は学者じゃないが、とても興味深いことが沢山あって、久しぶりにワクワクした」
「ははは。それは製作者冥利に尽きるな」
「さて、見たかったものは見れた。俺はアルヴェインへ戻ろうと思う。世話になったな」
そう言って去ろうとするアランを俺は引き止めた。
「おいおい。病み上がりで4層を越えられるのか?俺とガルドが送るよ」
「……それもそうだな。何から何まですまない」
「いいってことよ。お前は俺の大森林を尊重してくれたからな。ちょっと待っててくれ」
アランを待機させ、ガルドを呼びにギルド館へ向かう。
「おーい、ガルドー?」
「如何なさいましたか、ハイド様」
「アランを第1層まで送る。戦力的には俺だけでも十分かもだが、ガルドには別件で用事がある。付いてきて欲しい」
「承知しました」
「じゃ、入り口で待っててくれ。ちょっと物を取ってくる」
そうして俺はギルド倉庫へ向かった。
「おーい、モック爺?武器の手入れキットはあるか?」
「ありますじゃよ。消耗品類に纏めてありますじゃ」
「おお、ここか。ありがとう」
「して、誰の武器の手入れを?」
「狂える亜人だよ。分かるかな?4層のアイツ」
「ああ……トンポ坊ですな」
「アイツがトントンコンビのトンポなのか……」
「ええ。あやつは昔から武人ですからの。きっと喜ぶでしょう」
「そっか。なら良かった。じゃ行ってくる」
「トンポ坊によろしくですじゃー」
そうして入り口で待ってる2人と合流した。
これから4層は通るが、狂える亜人……トンポには骨塚の後で会えばいいか。森神ともじっくり話したいし、その時にでも斧を手入れしてやろう。
「お待たせ。じゃ行こうか」
帰り道にもアランから色々な話を聞いた。
これまでに訪れた魔窟のこと。その攻略の歴史。ギルドコアを手に入れた国々が、今では大きく発展しているという話。
もっとも、アラン自身もその詳しい事情までは知らないらしい。
それでも十分だった。
俺の知らない200年は、森の外にも山ほどある。
……どうやら、知らなければならないことはまだまだ多そうだ。
《第1層 木漏れ日の森》
第1層に入ってからは周囲を見ながら少し歩いた。
やはり人間が頻繁に出入りしているからだろう。
切り倒された木や、戦闘の跡がちらほらと見える。
マップで見た通り、他の層より被害は大きそうだ。
……後で森番達にも詳しく話を聞いておこう。
「さて、1層までくればもう十分だろう。道中の護衛、感謝する」
「お前はこれからどうするんだ?目的だった5層には到達した訳だけど」
「さてな。だがしばらくは剣を置いてゆっくりするとするよ」
「そうか。達者でな、アラン」
「ああ、お前もな。ハイド」
去っていくアランの背中を見送る。
さて、ここからはいよいよ大本命の骨塚だな。
あーでもその前にウンディーネに軽く挨拶していくか。
《第2層 湿地帯、ウンディーネの住処》
「あら、ハイドじゃない。その様子だと5層には戻れたのかしら?」
「ああ。おかげさまで。何も分からない俺に指針をくれてありがとな。……何かお土産があれば良かったんだけど」
「いいのよ。別に報酬目当てで言った訳じゃないし」
「そっか、悪いな」
「で、あなたはこれからどうするの?」
「俺は大森林を人間達から守ろうと思う。そのための現状視察な訳なんだが、何か変わったことはあるか?」
「別に?人間達はここまで入り込んでくるけど、だからと言って脅威になることは無いわ」
「そうか。なら良かった。じゃあ俺達は骨塚に向かうから」
「そ。せいぜい頑張ることね、大森林の守護者さん」
《第3層 骨塚、入り口》
ここが骨塚……様々な骨が散らばっており、骨で作られた大きな門がそびえ立っている。
「ガルド、骨塚については知ってるか?」
「いえ。アイリス様以上のことは」
「そうか……なら入ってみないとな」
「何が現れようとも、必ずやお守り致します」
「はは。頼りにしてるよ」
そうして俺達は骨の門を開ける。
すると主と思しき人物の大きな声が聞こえてきた。




