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ずっと普通だった幼馴染と、今日から恋人ごっこを始めます  作者: Atelier Lotus文庫


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第30話 ふれあい広場

 園内を歩いていると、本子が案内板を見つけた。


「あっ」


「ふれあい広場だ!」


 目を輝かせて振り返る。


「行こう」


「ああ」


 二人は子どもたちで賑わう広場へ向かった。



 最初に出迎えてくれたのはモルモットだった。


 本子はスタッフに抱き方を教えてもらい、そっと両手で抱き上げる。


「ちっちゃい……!」


「かわいい!」


 モルモットは安心したように本子の腕の中で丸くなる。


 本子は嬉しそうに頬を緩めた。


「見て、全然動かない」


「落ち着いてるな」


「温かい……」


 大切な宝物を抱えるような姿を見て、縁之丞は思わず笑う。


「お前の方が嬉しそうだな」


「だってかわいいもん」


 本子はそう言って、もう一度モルモットを優しく撫でた。



 次はうさぎ。


 ぴょんぴょんと跳ね回る姿を追いかけ、本子は自然としゃがみ込む。


「見て!」


「耳ふわふわ!」


 そっと撫でると、うさぎは気持ちよさそうに目を細めた。


「本当だな」


「ずっと触ってられる」


「帰らなくなりそうだな」


「……それは困る」


 二人は思わず笑った。


 その隣では羊がのんびり草を食べている。


 本子が恐る恐る背中を撫でる。


「あれ?」


「思ったより硬い」


「ふわふわじゃないんだな」


「意外」


「見た目だけじゃ分からないもんだな」


「うん」


 二人は顔を見合わせ、小さく笑った。



 近くにいたスタッフが声を掛けてきた。


「お二人、一緒に写真お撮りしましょうか?」


 本子の表情がぱっと明るくなる。


「お願いします!」


 スマホを預け、二人は並んだ。


「はい、笑ってくださーい」


 カシャ。


 続いて、モルモットを囲んで一枚。


 うさぎと一緒に一枚。


 羊の前でも一枚。


「もう一枚いいですか?」


「もちろんですよ」


 本子は嬉しそうに場所を変えながら、何枚も写真を撮ってもらった。


「ありがとうございました!」


「楽しんでくださいね」


 スタッフに頭を下げ、二人は広場をあとにした。



 ふれあい広場を出ると、本子はさっそくスマホを取り出した。


「見て」


「今日だけで、こんなに撮ってる」


 画面いっぱいに並ぶのは、動物たちと笑い合う写真。


 そのどれもが、自然な笑顔だった。


 縁之丞も画面を覗き込み、小さく笑う。


「増えたな」


「うん」


 本子は写真を一枚ずつ眺めながら頷く。


「まだ今日終わってないけどね」


「じゃあ、もっと増えるな」


「えへへ」


 本子は満足そうにスマホをしまう。


 今日という一日は、まだ終わらない。


 思い出は、もう少しだけ増えそうだった。

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