表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
42/50

愛情evolution

「キャロ、ほんとごめん!」


GWが終わり、お屋敷に出勤してすぐ碧衣っちの平謝りに遭った。


「全然いいよー。碧衣っちの意外な姿見れて嬉しかったし」


「・・・恥ずかしいよ・・・」


「大丈夫大丈夫。どんどん見せてよ、ねっ。また遊びに行こう!」


「う、うん。ありがとう」と微笑む。


一緒に過ごす時間が長くなるほど相手のことが見えてくる。

まだまだ碧衣っちがどんな一面を持ってるのか見てみたいよ。


「月野は何か言ってた?私のこと・・・」

と少し言いづらそうに聞く。


「?・・・そういえば、碧衣っちに少し興味を持ったって」


「え・・・!私に?」



ん??急に目がさっきより輝いたような・・・?


あれ?もしかして・・・



「碧衣っちはツキノンに興味ある?」


「えっ!・・・謎が多いからそういうところにちょっと興味はある・・かな」


なんか少し顔に赤みが・・・。


あたしの勘当たってる?



「ツキノンと碧衣っちって共通点多いよね」


「そ、そうかな?」


「うん、もしかしたら気が合うんじゃない?」


「・・・そんなことないって。」


あっ照れてるっぽい!



始まった?それとも始まりかけ?


でもそうならちょっと嬉しい。


日常が少し色づくから。

明るい春色に。



「今日は差し入れ一人で頑張ってみる?」


「え・・・あ、うん、頑張ってみる」


あたしはにっこり笑った。

碧衣っち頑張れ!






コンコン・・・ガチャ


「お呼びですかご主人様?」

とあたしは部屋に入る。


旅行以来初めて顔を合わすから、ちょっと照れてしまう。


「おいっす」とソファに座ってる響がこっちを振り向く。

そこへあたしが駆け寄る。


今日はお昼から大学の授業があるみたい。



「キャロここ座って」


ん?示されたところは・・・

響の膝の間?


「え!?」


そんなこと今まで一度も・・・。



とまどいつつも言う通りにちょこんと座ると、後ろからぎゅっと抱きしめられた。



かぁぁぁぁ・・・

なんか恥ずかしい・・・



響、なんかいつもと違うから・・・


特に仕事中はこんなことしなかったのに。



もしかしてあの旅行の後で・・スキンシップの仕方が変化した?


変化というか・・進化?



「旅行楽しかったな」


「う、うん」


「また行こうな」

と言ってあたしの首元に顔をうずめる


ドキドキドキ・・・



「うん」



響はそのまま動かない。




「あ、あの響?」


「ん?」


「その・・今仕事中なんだけど・・」


いつまでもこうしてたら凜さんに怒られちゃうよ。



「あっわりぃ、忘れてた」


もー響ってば・・・


ほんととまどっちゃうよ。急に態度変えられたら。



だけど・・・少し嬉しい

前よりもラブラブになれてる気がして。



「響、用事は?」と振り向いて聞くと


「もう終わった」


「?」


「会いたかっただけ」



あっ・・・キス・・・




ほんとに・・・怒られちゃう・・・

仕事中にご主人様とこんなことして




あたしイケナイメイドになってる・・??








仕事終わりに碧衣っちが気になって鳴ちゃんの部屋に行ってみた。

ってかもう差し入れして帰っちゃってるかもしれないけど。


コンコン・・・ガチャ


開けてみると・・・いた!


よかったまだ3人とも部屋にいてる。


空気が和やかだし、碧衣っちうまく話せてるのかも。



「キャロー今映画の話しててさ」と鳴ちゃん。


「映画?」


「うん!今度みんなでホラー映画観に行こうって」



え?!ホラー??



「碧衣っちのお勧めの映画がもうすぐ公開されるんだって!」


「そ、そうなんだ・・・」


「キャロももちろん行くよね~?」


「えっと・・・あたしは今回は遠慮しとこっかなぁ」


だってホラーでしょ?あたしの一番の苦手分野だし!



「まさかホラー苦手なんですか?」

とツキノンが見透かすような目でこっちを見つめる。


ぎくっ



「う・・・うん」


「そういえば去年のハロウィンのときめちゃくちゃ怖がっていましたもんねー。僕が襲いかかったときなんか涙目になってたし」


もう、ツキノンってば意地悪なんだから。

みんなの前でバラさなくてもいいのに。



「えっ!月野が襲いかかった?」と碧衣っちが驚いて言う。


あーそっか、碧衣っちは去年のことは知らないもんね。



「実はツキノンね・・・」と去年のハロウィン遊園地での一件を話した。



「へ~!吸血鬼に・・・ぴったしだね」と碧衣っちは感心する。


「まぁ普段から似てるって言われてますからね。ってか今年もやりますよ」



そうなんだ!今年も・・・。

なんせハマり役だったもんね。

あの役は絶対ツキノンじゃないと!



「吸血鬼ツキノン、まだ見れてないし今年は絶対行くよ!」と鳴ちゃんがわくわくした顔をする。


「えーぜひ。碧衣もよかったら」


あっツキノン、ちゃんと歩み寄ってる。

ってか碧衣っちとツキノン、いつの間にか呼び捨てで呼び合ってるし、いい感じなんじゃ??



「う、うん。行く」

と碧衣っちはとまどいながら言う。


あはは、かわいいなぁ。



「じゃあしょうがないからホラー映画は3人で行こっかー」

と鳴ちゃんが残念そうに言う。


「そうですね。」


「うんごめんね、今回はそうしちゃって!」


「じゃあまたホラーじゃない映画、一緒に観に行こうね」と碧衣っち。


じーん・・・優しいなぁ。

最初のころの冷たさ全然感じなくなったな。


良かったほんと。いい感じになじんでくれて。

まぁ鳴ちゃんとツキノンがうまくコミュニケーション取ってくれてるのも大きいだろうけど。


それでも碧衣っち自身も進化してる。

あたしたちに自ら歩み寄ろうとしてる。それだけでも最初と比べるとかなり大きい進化だ。



ん?

視線を感じてそっちを見るとツキノンと目が合った。

その瞬間さっと逸らされる。


?今こっちを見てた・・?



なんだか最近ツキノンの様子が変だなぁ・・・。

前と少し違うような・・・?

吸血鬼ツキノンの出現も前より多くなったし・・・


気のせいかな?




もしかしてツキノンも何かあたしの知らないところで

進化してるの?








それから二週間ぐらい経ち・・・



あたしは今日は午後からお庭の手入れをしている。


今日は雲一つない爽やかな晴天。

5月に入りお庭の木々も新緑の若葉をびっしり身につけ生き生きと元気に見える。


けどそんな元気なお庭よりもっと元気な人がやって来た。



「キャロちゃーん、今日もメイド姿がまぶしいね~。響のメイドなんてやめておれっちのメイドにならない~?」


「コラ!オレのメイドをナンパすんじゃね~!」


「いって!殴ることね~じゃ~ん。こんなヤキモチ焼きのご主人様持ってキャロちゃんも大変だね~」


こんな軽快なやりとりを響とできる人は一人しかいない。


この人がいるだけでいっきに空気が明るくなる。



「悠真くん!いらっしゃい」



今日で二度目の訪問だ☆



響の大学の授業がお昼から休講らしく、悠真くんがまた遊びにやって来た。


「響が来い来いってうるさくってさ~ほんとおれ愛されちゃって困るよ~」


「おまえが行きたいってうるさく騒いだんだろうが!」


あはは、また二人の息ぴったりなやりとりが始まったよ。

ほんと聞いてて飽きないなぁ。



「キャロ、お客さん?」


と表の庭を掃除してた碧衣っちが終わったみたいでこっちにやって来た。手には庭箒とちりとりを持っている。



「あ、碧衣っちいいところに!紹介しておくね、こちらは・・・」

と言うあたしの声を遮って、


「おっまた美人なメイド・・・ってあれ?そのカッコ・・・」

と悠真くんが不思議そうな顔をする。


そうだよね~。メイドなのか執事なのかわかんないもんね。


「彼女の希望で執事のカッコしてるんだ」


「へ~でもすっげ似合っててカッコイイ!執事もありっすね~。ぜひおれの執事に・・・」


「ナンパする前にちゃんと自己紹介しろよ」と響が呆れた顔で言う。


「へーい。季楽悠真でっす。よろしっくね~♪」


「・・・神崎碧衣です・・・」



あっ碧衣っち思いっきり人見知り&引いてる??

顔が怪訝な表情になってるよ・・・。あらら。


「なんかクールだね~。碧衣ちゃん仲良くしてね」


「・・・・はい・・・では私仕事がありますので」

と超クールに去って行く。


なんとなくちょっと不機嫌になってたような??


もしかして『ちゃん』付けで名前呼ばれたからかな?

それとも初対面なのに馴れ馴れしくされたからかな?

ってかその両方??



けどそんなことを微塵も感じ取らず、その後ろ姿を興味津々で見つめている人がいた。



「やっば!おれけっこうタイプかも。碧衣ちゃん」


悠真くんだ!


「えっ??」


「あのそっけない感じ、魅力的だなぁ」

とちょっと目がうっとりしてる・・・。



そういえば悠真くん、手に届かなさそうな人に惹かれるって言ってたっけ?

確かに碧衣っちは一筋縄ではいかないオーラを持ってるけど・・・



・・・本気??



「おい、碧衣はかなり手強いぞ」


「それがいいんだって!おれ今日帰るまでにちょっとアタックしてくるわ!」



えっいきなり??


なんて行動力のある人なんだろう・・・。


すごい!そのアクティブさは尊敬するかも!


うまくいくかどうかは別として。



「はぁ~」響は呆れて溜息をついてる。


「キャロちゃん、玉砕したら慰めてね~」とあたしに抱きつくような真似をする。


ボカっと響が後ろから悠真くんの頭を殴った。


「いって~!」


「ほんっとおまえは油断も隙もねーな」


「ひっでーじゃあ響が慰めろよな!」


「いやだね、キモいこと言うんじゃねーよ。ってかいつまで庭で立ち話してるつもりだよ、もう行くぞ!」


「へーい。じゃあキャロちゃんまた後でね~」


「うん!またお茶持って行くから」



そうして響と悠真くんは屋敷の中へ入って行った。




あたしはさっきから心がソワソワしてる。


こっちも始まった?それとも始まりかけ?



色んなところで新しい始まりが起こっているような?

やっぱ春だからかなぁ?



ざわざわと温かい春風に新緑が揺れる。


理由のない予感めいたものがあたしの心を揺らす。


日常が変わる予感・・・




愛情が進化したり始まったり・・・


だんだん周りが騒がしくなってきたかも。




空を見上げたあたしの顔に春風が強く吹き、髪をなびかせていった・・・








コンコン・・・ガチャ



「おまたせしました~」


「キャロちゃんサンキュー」

と悠真くんがこっちを振り返る。


悠真くんがゲーム機を持ってきたみたいで、二人で必死にテレビに向かってしているところだった。

なんかカーレースみたいなゲームをしてる。


響がゲームしてるとこ初めて見たな。

自分は持ってないみたいだから。



「おれが勝ったら、碧衣ちゃんとのこと協力してよ」


「は~?フラれんの分かってて何で協力しなきゃいけねーんだよ」


「ひっでー!それがマブダチのセリフかよ~」


「キモいこと言うな!ってかオレが負けるわけねーし」



響ってば必死になってる。けっこう負けず嫌いなんだ。


なんだか男の子って感じするなぁ。




勝負はなんと悠真くんが勝っちゃった!


「おまえだけには負けたくねーのに、ムッカツクなー!」


響がめちゃくちゃ不機嫌な顔してる。


「へっへーん。だっておれそのゲーム、完全マスターしてるからな。たまにしかしねー響が勝てるわけないじゃ~ん」


「うるせー次は絶対勝つ!」


「何度やっても同じだよ~。ってことで約束守ってね~」


「は?」


「碧衣ちゃんとのこと♡」


「・・・・」



響がげんなりした顔をしてるのであたしが助け船を出してあげた。


「今どこにいるか聞いてあげよっか?」


「キャロちゃん!!さっすが響と違って気が利くなぁ!」


「うっせ!」



「じゃあ携帯でっと」


電話をかけてみると鳴ちゃんの部屋にいてるみたいだった。


すぐ近くだ。



「よっしゃぁ!いざ出陣!!」

と悠真くんはやる気の炎をメラメラと全身にまとい、勢いよく立ち上がった。


響は横で呆れた顔で溜息をついてる。



そうしてあたしたちは鳴ちゃんの部屋に向かった。



ちょうど部屋の掃除を終えた碧衣っちが出てきたところだった。


「碧衣っち突然ごめんね、悠真くんが話がしたいって」


「え?私と?」


「うん、・・・悠真くん!」

と後ろに控えてる悠真くんを呼んだ。


「はーい」とこっちにやって来る。


「じゃあ後はよろしくね」


「おいっす。ありがとうね」と笑顔で言う。



あたしと響は悠真くんを残して一旦部屋に戻ろうとしたんだけど、気になったから廊下の角からこっそりのぞくことにした。



あの悠真くんが少し緊張してるみたい・・・表情がいつもと違って硬い。



「あの、今付き合ってる人とかいるんですか?」


「いえ、いませんが」


碧衣っちのその無表情な顔・・・最初の頃を思い出すなぁ・・・



「じゃあ友達になってください!」


あっなんだ。イキナリ告白しちゃうのかと思ったらちゃんと順番踏むんじゃん。


「私と?」


「はい!お願いします!」と悠真くんは頭を深く下げた。


「・・・別にかまわないですけど・・・」

と碧衣っちは?な表情を浮かべながら言う。


「あ、ありがとうございます!」と頭を上げて目を輝かせる。


おー!なんとか友達はクリアしたみたい!


その後二人は連絡先を交換した。



あたしと響はそれを見届けた後、ホッとして部屋に先に戻った。




バンっとドアが勢いよく開く。


「やったぜ~~~!連絡先ゲット~~!」

と悠真くんは満面の笑みで舞い上がってる。



「はいはい、よかったな、おめでとう」


「何だよそれ~全然心こもってね~し」

と一瞬拗ねた顔をしたけど今は嬉しい気持ちが勝ってるみたいでまた満面の笑みで喜びをかみしめ始めた。



悠真くんって超素直だな。全身に心の内が出てる。



「まずは友達からって意外だったー」とあたしが言うと、


「おれ、ちゃんと順番は踏むよ?軽く見られっけどお付き合いは真面目に致します」と挙手の敬礼ポーズをする。


「あははは」


やっぱ悠真くんっておもしろい。




そうしてドタバタな一日が過ぎて行った・・・。




夕方玄関先で、


「近々また来るね~」


「おい、碧衣目的でこれからしょっちゅう来んのはやめろよ」


「けち~」



あはは、なんか悠真くん毎週来そうなイメージ。



本当は応援したいけど少し複雑・・・

碧衣っちはもしかしたら別の誰かのこと・・・



でもまだきっと始まりかけだから先のことはわからない。



あたしはとりあえず密かに見守っていよう。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ