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二つの相思相愛

「おれマジでカルチャーショックだわ・・・」

と玄関先で茫然としてるのは・・・


「いらっしゃいませ」


「き、キャロちゃん?!」


「はい。大学祭以来ですね」


なんと響の大学の友達のイケイケくん!

今日は学ランではなく(当たり前だけど)アメカジ風の明るい色の服を着てる。髪型は前と同じで金髪に近い茶髪。何か細いヘアバンドみたいなのを付けてて前髪も後ろへとツンツンに流れてる。まるでライオンみたいなヘアー。



あたしもすごく驚いたんだけど、響、イケイケくんを家に招いたんだ!

この前計画しようとしてた4人で会おうって話が、なかなかみんなの都合が合わなくて決まらないから、いっそのことうち来れば?って話になったらしい。



響が友達を家に呼ぶなんて、あたしがここに来てから初めてのことだからびっくり。

なんとなく家に誰かを呼ぶの嫌なタイプなのかと思ってたから。


というか、もしかしたらイケイケくんは特別なのかもしれないな。


あたしがメイドってことも知られていいのかって聞いたら、あいつにならいいしもうこの前話したって言ってたし。



「かわいい~~~~♡萌えるなぁ」

とあたしをキラキラした目でじっと見る。


「おい、人の彼女に萌えてんじゃねーよ」

と響があたしの隣にやって来た。


「響!おまえんちどんだけ広いんだよ!庭からここまで来るのすらだいぶ時間かかったしさ!ほんと世の中って不公平だわぁ~~~」


「うるせーなぁ。そんなとこで嘆いてないでさっさとあがれよ」


「へーい。お邪魔しまっす!」


あはは、でもその反応は普通だよね。あたしも最初どれだけ驚いたか。

イケイケくんの気持ちはよーーーく分かる。



響の部屋に向かうまでに玲ちゃんや可憐さんに出会った。


「美女メイドばっかじゃん!羨まし過ぎる・・・」


さっきからイケイケくんは羨ましがってばかり。



「さてはおまえメイドハーレムを作ろうとしてるだろっ?」


「はぁ?思ってねーよ!ってかオレが選んだのはこいつだけだし」

とあたしの方を親指でさす。


「そうなんだ。へ~~」と響の方を意味ありげに笑みを浮かべて見る。


「・・・なんだよ?」


「いや~なんでもっ」


「・・・・なんかムカつく」


二人のやりとりを聞いてると仲の良さが伝わってくる。

あたしといるときとはまた違う響が見れて新鮮。


そして響の部屋に辿り着き、あたしがドアを開けて二人を中に入れた。


「うわ、響らしい部屋・・・めちゃ綺麗に片付けてあるし」


「当然だろ」


「じゃああたしお茶持ってくるから待っててね」


「うん、ありがとな」

「おかまいなく~」



いつもと違う風景にあたしは心が躍っていた。

なんだかとても楽しい一日になりそう!




さてとお茶だけじゃなく彼女も呼んでこなくっちゃ☆







「初めまして、陽山瑠々でっす」


主要メンバーがそろったところで改めて自己紹介タイムが始まる。


「おれは季楽悠真きら ゆうまっていいます。よろしくね~瑠々ちゃん」


「うん!よろしく~」


なんかこの二人がそろうと空気がいっそう明るくなる。

見た目も華やかな二人だから余計にかなぁ?


「こんな美人なメイドさんと知り合えてラッキー」

「あはは。あたしもこんなイケメンくんと出会えてラッキーだよ」


すごい、初対面なのにもう自然にフレンドリーな会話してる。

二人のコミュニケーション能力にはほんと頭が下がるなぁ。


「おれってイケメンっすか?」

「うん、普通にイケてると思う。モテそうだし、ねーキャロちゃん」

「うん。性格も明るいしモテそう」


「うわ~マジ嬉しい!おれさ、自分でもけっこうオシャレとか頑張ってるしイケてる方だと思ってるんだけど、響といるといつも影に隠れちゃうっていうかさー。響はこんなだから当然目立つし、ほんと損してるんだよね~」と大げさに嘆く。


「おい、目立たないのオレのせいにすんなよ!それにオレが目立つのはおまえのせいだろーが!」と呆れた顔で言う響。


「はぁ~?おれがいつそんな自分が不利になるようなことしたよ?」


「いつもだよ・・・オレは出来れば静かにおとなしく過ごしたいのにおまえがいっつもバカ騒ぎするから」


「何言ってんだよ~おれが騒がなくても響は目立つの!カリスマオーラ持ってんだから!」


「持ってねーよ!」


あたしと瑠々ちゃんはクスクス笑う。

ほんとこの二人のやりとり聞いてると面白い。


「悠真くんはどうして彼女いないの?モテるんでしょ?」

と疑問に思ったことを聞いてみた。


「いや~それがですね、なかなかできないんっすよ」


「それはおまえの恋愛癖が悪いからだろ」


「恋愛癖?」とあたしが聞く。


「まぁそうとも言うかな。実はおれ、いつも振り向いてくれなさそうな子にばっか惹かれちゃって」


そういうことかー。


「手に届かないものほど欲しくなるっていうあれ?」


「そうそうキャロちゃん。それそれ」


「うわぁ~でもしんどそう」と瑠々ちゃんが言う。


「まぁ確かにね~。けど、追いかけるのは楽しいし、実際手に入ったらすっげー嬉しいし、だからいいんだ。おれはこのスタイルで」


そっかー・・人それぞれ恋愛の仕方が違うんだな。

あたしはそんなしんどい恋愛は嫌だけど。



「けど時々安定した恋愛したいなぁと思うこともあるけどね。君たちみたいに」

とあたしと響の方をにーっと笑って見た。



うっ・・・この振り方は・・・


「確かにあたしも羨ましいよ。いつも微笑ましくてラブラブでさぁ」


かぁぁぁぁぁぁぁ・・・

やっぱり恥ずかしくなっちゃう展開だ・・・。



響の方をみたら無言で気まずそうにしてるし。

やっぱ照れちゃうよね。



「響ってばどんな絶世の美女に言い寄られても全部断ってるし、おかしいなとは思ってたけど、そういうことだったんだね~。大学祭のときにようやく謎が解けたよ」


「大学祭?」と瑠々ちゃん。


あっ!!マズイ!大学祭のときはあたしたちまだ・・・

あたしがとまどっていると、


「悠真わりぃ、オレたちまだあのとき付き合ってなかったんだ」

と響はあの日の事の顛末を二人に話した。


「マジで!二人すでに付き合ってるような雰囲気だったからさ~全く疑わなかったよ」と驚いて言う。


「悠真くんの感覚は間違ってないよ。あたしたちもだいぶ前から何でくっつかないのー?ってずっとじれったく思ってたし。」と瑠々ちゃんは苦笑して言う。



えっ!!

そうだったんだ。周りの人にそんな風に見られていたなんて意外。


「まぁ鈍感二人だからしょうがないけどさ」


「そうだね~響意外に鈍感だし」


「えっオレって鈍感?」と響がガーンって顔してる。


「うん。今頃気付くなんておっそ~」


「・・・」


あはは、珍しく響が負けてる。


「いいなぁ相思相愛で!あたしもそんな恋愛したーい!」


「ねーさん、おれと手始めにどうっすか?」


「あっはっは、君は軽いからなぁ。そのノリは友達ぐらいで十分!」


「はぁ~マジっすかー。けど嬉しい。じゃあ友達記念にちょっと家の中案内してくれないかな?響、いいよね?」


「おお、暴れたりすんなよ」


「しね~って!」


そうして二人は出て行った。



なんか嵐が去ったような、急に落ち着いた空気になる。



響も同じことを思ってたみたいで、顔を見合わせて二人で笑った。




「あいつほんと騒がしいだろ?」


「うん、でも楽しいね」


「うん」


静かな時間がしばらく流れる。響は何か思いを廻らしてるように見えた。


「オレさ、大学入った頃、なかなか周りに溶け込めなくてさ」


「うん・・・」


「中学卒業してからはずっと人避けてたのもあって、初対面の人とどう接したらいいか全然わかんなくて、しかも人見知りだし」


「・・・」


「そんなオレにあいつは最初からあの調子でガンガンに話し掛けて来て。けどオレうまく対応できなくて、たぶんすごいつまんない奴って思ってたと思う」


「そんなこと・・・」


「けどそれでもずっと話し掛けてくれて、いつの間にかオレも普通に話せるようになってた。登山サークルに誘ってくれたのもあいつだし、オレに大学が楽しいって思わせてくれたのはあいつなんだ」


「そっか・・・」


「まぁ本人には絶対言えねーけど感謝はしてる」


「うん」


よかった・・・悠真くんがいてくれて。

響に『楽しい』をくれてありがとう。

あたしからも感謝するよ。



「けど、恋愛のことだけがちょっと残念だね」


悠真くんにも幸せな恋愛してほしいけど。


「まぁな。けど本人はいつも楽しそうだしいいんじゃねーか」


「うん・・・そだね」


人それぞれ楽しいって思う恋愛も違うみたいだし。

周りから見たら苦しそうに見えても本人が楽しければいっか!







夕方になり悠真くんが玄関で靴を履きかえる。

あたしと響と瑠々ちゃんが見送りに来ている。


「今日は紅咲家に来れてマジ楽しかった!3人ともありがとうね~!」


「こちらこそ楽しい時間ありがとねっ!今度は外でも遊ぼ♪」と瑠々ちゃん。

「んじゃまた大学でな」と響。


「うん!ではみなさんごきげんよう!」と挙手の敬礼ポーズをして明るい笑顔で出て行った。



「・・・ほーんと明るくて嫌味がない奴だね。気に入ったよ」と言って瑠々ちゃんは仕事に戻っていく。


「うるさいけどあの明るさはオレも嫌じゃない」と響も部屋に戻っていく。



あたしは・・・


玄関の外へ急いで出る。



言おうかどうか迷ったけどやっぱりどうしても言いたい!



まだ庭を歩いてる悠真くんに追いついた。



「キャロちゃん?どしたの?おれなんか忘れ物でもしてた?」


「違うの。どうしても悠真くんに言いたいことがあって!」


「おれに?」



「うん・・・響と友達になってくれてありがとう!」


あたしはまっすぐ悠真くんを見つめて言った。




「・・・ははっ」と悠真くんが突然笑い出す。


「?」


「いや、あいつ愛されてるんだなぁと思ってさ」


「!」


かぁぁぁぁ・・・



「羨ましいよ、ほんと」


「悠真くん・・・」



「お礼なんて言わなくていいよ。」


「?」


「友達になれて嬉しかったのはおれの方なんだ」


「え??」


「響は全く気付いてないだろうけど、あいつがいたから大学が楽しくなったし」と笑う。


「!」

響と同じこと言ってる!



「あはは」


「どしたの?キャロちゃん」


「ううん、嬉しくて。・・・相思相愛なのは二人もだよ!」


「?」


「響と悠真くんだって!」


「えっ!!・・・やめてよ~男同士でそれは恥ずいって!」


いつも軽い調子の悠真くんが照れてる。




「これからも響のことよろしくね」


「うん、こちらこそ!じゃあまたね、ばいばいっ」

と言って笑顔で手を振り去って行く。


あたしも笑顔で振り返した。



響の友達はとてもいい人・・・


いい人だなぁ・・・



良かった・・・



悠真くんの後ろ姿を見送りながらあたしはもう一度感謝した。





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