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新しい年の幕開け

新年が明け、あたしは実家からまた紅咲家に戻って参りました。


はぁ~リフレッシュもできたしまた今年も頑張らないと。


そうそう今日は響と初詣に行く約束してるんだ。

年越しの瞬間は一緒にはいられなかったからせめて初詣行こうってことになって。


あの日あたしと響の関係が新しくなってから今日会うの初めて。

なんかドキドキする・・・。



約束の時間に、あたしは寮の前に立っていた。

お屋敷の方から響が歩いてくる。


あれ? なんかいつもよりまぶしく見えるのは気のせいかな。

これって彼氏効果・・・?


「響!明けましておめでとう!今年もよろしくね」


「うん。よろしくな」と優しく笑う。


きゅーん♡

年明け早々キュン死にしそうになっちゃった。



「響、髪型変えたんだ?」


束感のある無造作なハネスタイルになってる。響がおでこ出してるの初めて見た。


「うん。直毛だからいつもまっすぐなるのが嫌で。束感の作りやすいショートにしてもらった」



似合ってるし前より爽やかな感じでカッコイイ・・・



「・・・見過ぎ」と横目であたしを見る。その顔は照れてるように見えた。



かぁぁぁぁぁ・・・

つい見とれてしまいました・・・。



あたしはというと相変わらず見た目は全然変わってない・・・。

たまにはロングにでも挑戦してエレガンスを目指そうかな・・。


「おまえはその髪型が一番似合うな」


「えっ!」


「中身が子供のおまえにはぴったりだ」とちょっと意地悪く笑いながら言う。


「・・・それ褒めてないよね~?」


「褒めてるよ」


「どこがー?!」



「かわいい」とあたしの耳元でささやくように言った。


どっきー!



やられた・・・。





「うわぁ混んでるね・・」

今日は年明け3日目だというのに神社は人であふれている。

お賽銭だって順番待ちだ。

まぁにぎわってるのを見るのは好きだけどね。

新年をみんな喜んでる感じがして明るい雰囲気。


ぎゅっ


あっ! 手を・・・繋いでくれた。


隣を見上げると・・・


「はぐれたらダメだからな」と前を見たまま照れた表情で響が言った。


嬉しい・・・。




「去年は色んなことがあったね」

順番を待ってる間、あたしは去年を振り返っていた。


「うん。春に・・・おまえがやって来た」


「うん・・・」


最初はほんと印象が悪かったよなぁ。

俺様響が炸裂してて、とんでもない奴だって思ってた。



だけど心の傷に触れて本当の響を知り始めて、惹かれていった・・・。


そういえば響はあたしのどこを好きになってくれたんだろ・・?


聞いてみたいな。


「ねーねーあたしのどこが好き?」


「な・・!・・・おまえはいつもいきなりだな」と驚いた表情の後に呆れ顔。


「聞きたいなぁって」


「・・・こんなとこで言えるかよ!」


「えーいいじゃん!」


「・・・また今度」


「ぶー」

今聞きたかったのにー。


あたしたちの番がやってきた。


えっと二礼二拍手一礼だったよね。


パンパンと手を叩き強く祈る。


今年もいい年でありますように。嵐はやってきませんように。

隣の響を見たらあたしより長く祈ってた。

響は一体何を祈ったんだろう。



参拝を終えて次はおみくじコーナーに向かった。


「あっ末吉だー」


なぜかいつも微妙なところを引くんだよねー。喜ぶことも嘆くこともできない位置。


「オレ大吉」

と響が自慢してくる。

なんか引きそうな予感したよ。運強そうだもんね。


あたしのおみくじ何が書いてあるのかな?



『恋愛運:波乱あり。用心せよ。』



うそ~~~!また~~?!

やっと落ち着いたと思っていたのに、まだ何か来ちゃうの?!

いや、でもおみくじが100%当たるとは限んないし、大丈夫、大丈夫だよ。

と動揺する心を必死に落ち着かせる。


「響の見せて??」


「ん」

と渡してくれた大吉おみくじを見ると・・・



『恋愛運:長く想い続けた恋が実る。なれど油断は禁物。相手を思い敬うこと忘るべからず』



うっ・・・やっぱり何か波乱な予感が・・


ダメダメ、新年早々暗い気持ちになったら。

笑う門には福来たるって言うじゃない。

陽気に笑ってないと!


「何ヘラヘラしてんだよ、お参りもすんだし行くぞ」


「あっ・・はーい」




神社からの帰り道公園に寄った。

冬の公園はひっそりとしていて誰もいない。

少し寂しげな風景だ。


ベンチに二人で座った。

冷たい風がびゅーっとあたしたちをかすめていく。


「寒いのに公園寄ろうなんて言ってごめんね」


「別にいいよ」


「これ、渡したくて。ずっと渡しそびれてて、誕生日兼クリスマスプレゼント」


「・・・誕生日プレゼントならもうもらってるし」


「?」


「キャロ」



かぁぁぁぁぁ・・・


恥ずかしいよー・・・


「で、でも残るものもあげたくて、はいっ」

とカバンからプレゼントを出して響の手に渡した。


「んじゃオレからも」


え??あたしの手に小さなピンクの箱を渡す。


「クリスマスプレゼント」


用意してくれてたんだ・・・

じーーん


「一緒に開けよっか」とあたしが提案する。


「うん」


何だろ・・何くれたのかな?


「あっ・・・!」


小さな星の付いたネックレス!星の色はピンクシルバーだ。


あたしは驚いた顔で隣を見ると、響も驚いた顔でこっちを見る。手のひらにあたしのあげたブラックシルバーの星の付いたネックレスを乗せて。


これじゃまるで・・・


「ペアネックレスに・・・なっちゃったね」

とあたしが微笑んで言うと、響は無言で手のひらの中にあるネックレスをじっと見つめた。


「響?」


「・・・あ、ごめん。なんかびっくりして」


「うん、あたしもびっくり」


お互い、これが相手にぴったりだと思ったのが一緒だなんて。



「でも・・・嬉しいね。心が通じ合ってたみたい」


「・・・」響は下を向いて何も言わない。


「響?」



「・・・だから、こういうときどんな顔すればいいかわかんないんだって」


「嬉しい時?」


「・・・うん」


きゅーん♡

そっか、響は普通に嬉しい時は笑うし表情に出るんだけど、本気で嬉しいときいつもとまどっちゃうんだ。


「行動でなら表せるかもしんない」


「え?」


ぎゅーーーーっ

とイキナリ抱きしめられた。


「・・・・」


うん、伝わってきたよ。響の気持ちが。


嬉しいな・・・。


想いが通じ合えたらこんな暖かくて嬉しい気持ちになるんだ。

初めて知った。



あたしも強く響を抱きしめ返した。



この先何があっても心配ないよね?


ずっと通じ合えてるよね?





れから一週間が経ち、みんなそれぞれ学校も始まりまたいつもの日常生活が動き出した。


ツキノンのカテキョも始まり、あたしはその日、ツキノンが帰る時間を狙って庭で待ち伏せしていた。


「ツキノン!」


「キャロさん、去年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします」と恭しく丁寧に言う。


「こちらこそほんとツキノンにはお世話になりっぱなしで、たぶん今年もいっぱいお世話かけちゃうと思うけどよろしくね!」


「はい」とにっこり笑う。


あー・・そんな笑顔見せられたら例の件すごく言いづらいな・・



勇気を出して言うと案の定・・・


「あなたって人はー!」

とガミガミ説教をされた・・・。


けど、ライバルが一人消滅したということでプラマイゼロとして許してくれたみたい。

はぁ~よかった。


「それにしてもよかったですね。彼女になれて」


「うん!ツキノンのおかげだよ。色々アドバイスしてくれたり協力してくれてありがとう」


「違いますよ。結局は自分が動かないと何も変わらない。だから全てはキャロさんの頑張りのおかげです」


「・・・・うん、ありがとう」


「僕もあなたのように当たって砕けようかな・・・なんて」


「ツキノン・・・」


「そんな心配そうな顔しないでください。僕は僕の思う様に頑張って、その結果どうなろうとあなたは気にしなくていい。だけど・・何があろうとこれからも友達でいてくれると嬉しいです」


「うん・・・もちろんだよ!」


「ありがとう」とホッとした顔をする。



二人がくっつくように協力するのはなかなか難しいけど、ツキノンが自分の気持ちにケリをつける為の協力ならするから。

いつかツキノンも心がすっきりして晴れ晴れした気持ちになるまで応援してる。


「実は家庭教師来月いっぱいで終わりなんですよ」

と突然意外な言葉。


「えっ何で??」


「鳴くんの成績が上がったからです。鳴くんと旦那様がそういう約束をしてたみたいで。なので僕はお役目ごめんなんですよ」


そんなぁぁぁぁ・・・

寂しいよー・・・


「そんな悲しまないで下さい。家庭教師が終わっても会えなくなるわけじゃないですし。」


「でも、それでも寂しい・・・」


だっていつも鳴ちゃんの部屋で3人で喋るの楽しかった。

あれがもうできなくなるなんて・・・。


ツキノンがあたしの頭を優しくポンポンと叩いてくれた。


こんな風に日常が変わって行ってしまうのはとても寂しい。

嬉しい変化もあれば悲しい変化もある。

その中でも頑張って受け入れて生きていかなくちゃいけないんだね。


「ツキノン、まだプラネタリウム行けてないし今度鳴ちゃん誘って行こうね?」


「はい」と優しく笑う。



限りある時間に出来ることをたくさんしよう。

変わってしまう前に・・・。






1月も半ばを過ぎた今日この頃。

あたしは廊下の掃除をしながら考え事をしていた。



あれからただのメイドじゃなく彼女になったわけなんだけど、ずっと心配してた、『変化に対応できるか』っていうのはそんなに難しいことじゃなかったみたい。


特に無理しなくても自然と順応していけてる。

メイドの仕事をしているときは前と変わらないし、変わったのはただどんなときも隠さず響のこと想っていられるという点。

堂々と休日に遊びに誘ったりとかね。


響もあまり前と変わってないんだよね。

それはむしろ意外に思うほど・・・



最近の響はなんだか忙しそうで、バイトに大学のレポートにテスト勉強にって日々追われてるみたい。

今回単位取れなかったら留年決定しちゃうし(響に限ってそれはないと思うけど)今は大事な時期なんだよね。


だからあまりあたしにかまってくれなくて、正直寂しかったり・・・。

用事で部屋に行っても、デスクに向かう響の背中を眺めるだけの日々が続いた。



なんか想像してたのと違うな・・。もっとこう甘い日常になると思っていたのに、けっこうドライ・・・。


いやいや今はそれどころじゃないしまた余裕が出来たらかまってくれるさ。うん、そうだよ。


あたしはあたしのすべきことを日々一生懸命励もう。



「あっキャロさん」


「玲ちゃん!」

向こうから玲ちゃんがやって来た。相変わらずの美少女ぶりで、なんだか前より綺麗になったみたい。


玲ちゃんのことてっきり高校生ぐらいと思ってたら実はあたしより二つ年下と聞いてびっくりした。ってことは拓斗さんと同じ年なんだよね。

同い年カップルだったんだぁ・・・。


そうだ、玲ちゃんに色々聞いてみようかな。恋の先輩だしね!


あたしは周りに人がいないか確かめてから、

「玲ちゃんあれから拓斗さんと順調に付き合ってるの?」と小さな声で聞いた。


「え!あ・・はい」

と真っ赤な顔でうつむく玲ちゃん。

それを見ただけでうまくいってるのが伝わってくる。


「ちょっと聞きたいことがあって・・・メイドの仕事してるときって、その、ベタベタしたりする?」

とあたしは思い切って聞いてみた。


玲ちゃんは驚いた表情でこっちを見る。顔は真っ赤なまま。


「ど、どうしてそんなことを?」


「えっと実は・・・」とあたしは響とのことを玲ちゃんに打ち明けた。


「そうでしたか。すごくお似合いだと思います。おめでとうございます」


「うん。ありがとう」

なんか照れちゃうな。


「私と拓斗さんはあまりベタベタはしないです。」


「え・・そうなんだ?」


「仕事のときに限らず・・・です」


へ??そんなカップルもいるんだな・・・。



「とまどいますよね?関係が変わるとどう接していいか、私もそうでした。そんなときはとにかくお話をすればいいんだと思います。」


「話を?」


「はい。それがいつでも一番の解決策です」


「そっか・・・勉強になるなぁ。ありがとう玲ちゃん!」


「いえ、とんでもないです・・・。あたしもいまだにいっぱいいっぱいですから」


かわいいなぁ・・・乙女って感じがする。


そっか、確かに話をするっていうのは基本的なことだもんね。

不安なことがあったら話をせず自分の中だけであれこれ考えたり決めつけたりするから誤解が生まれちゃったりするんだ。



よし、あたしも何か不安を感じたり、迷ったらちゃんと響と話をしよっと。






それから数日後・・・


響にコーヒーを頼まれて部屋に持って行くと、ついさっき帰ってきたみたいで、

「あーなんとか乗り切った・・・」とベッドに寝転んだ。

どうやら今日でテスト期間終了したみたい。


うつぶせになって顔だけこっちに向けてあたしの方をじっと見る。


えっ・・・何だろ・・。心臓が騒がしくなる。


「キャロちょっとこっち来て」と手を振る。


どきっ・・・



そんな風に呼ばれるの久々でなんか緊張する。


近くに行くと響は起き上がって座った。そしてあたしが隣に座るとぎゅーっと抱きついてきた。


「!」


どきどきどき・・・


いざこういうことされると平常心でいられなくなっちゃう。



「ひ、響?」


「んーもうちょいこのまま。」


ドキドキが止まらなくて苦しいけど、

あたしが想像してた日常はこれかも・・・



好きだから触れたいし・・・触れてほしい。



「はぁ癒された。サンキュ」

とあたしを離す。そして机に置いたコーヒーを取りに行った。



「・・・」

え?これで終わり??


なんか拍子抜けしちゃうな・・・。


あれ?あたし・・・なんか物足りなく感じてる??


やだなぁ。恥ずかしい。


あたしばっかり甘いこと期待してるのかな。



あっけどよく考えたら今は仕事中だし、響もそこは割り切ってるのかもしれない。そう考えたら響のドライな態度もうなづける。



「あっ次の土曜、どこか行きたいとこある?」

とソファに座ってコーヒーを飲みながらこっちを振り返る。


「えっと・・・」


「誕生日だろ?行きたいとこあるならそこ行くし」


覚えててくれたんだ・・・嬉しい。


あたしは響の近くに駆け寄った。


「あたしは・・・響と一緒に過ごせるならどこでもいいよ」

と言うと響は突然むせた。


「だ、大丈夫~?!」と背中を撫でてあげた。


「ゲホゲホっ・・・はぁ死ぬかと思った。イキナリそういうこと言うからとまどうし。前と全然違うから」


とまどう?前と全然違う・・・?


そ、そっか。あたしは前と変わったんだ。

だから響はとまどうんだ。

響はもしかしてまだ順応できてない?


「そういうことだったんだ」


考えてみたらそうだよね。付き合う前と付き合った後でコロっと言動が変わったのはあたしの方。とまどうのは当然か。


「はぁ?何イキナリ納得してんの?」


「あっううん、何でもない」


ってことは響の方はあたしの変化に慣れていかなきゃいけない立場なのかな?



「季節外れだけど、水族館に行きたいな」


「いいじゃん。じゃあ決まりな」


「うん!」



今から誕生日がすごく楽しみ!生まれて初めて彼氏と過ごす誕生日だ☆





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