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34味方と言えるだろうか

「ジリジリジリ」


 実乃梨は目覚ましの音で目が覚めた。カーテン越しから光が漏れていて、すっかり朝になってしまったらしい。


「ああ、今日は休みだった」


 今日は土曜日だということを思い出し、目覚ましを止め、もうひと眠りしようかと思ったが、それがかなうことはなかった。


「おっはよう、ございまーす!」


 実乃梨の部屋に突然、大声が響き渡る。何事かと跳ね起きれば、扉を開けて相沢がひょっこりと顔を出す。その後ろからは、耳をふさぐ仕草をした永徳の姿も見えた。


「おはようございます。朝から、そんな大声を出さないでください」


「先輩、昨日は手料理をごちそうしていただきましたから、今日は私が朝食を作ってみました。ぜひ、食べてみてください!」


「僕は止めたのですが、全然、聞いてくれなくて。すいません」


 昨日の夜に二人が真剣な表情で会話していたことが嘘のようだ。何事もなく普通に話しかけてくる二人に戸惑いながらも、実乃梨は朝食をとるために部屋を出ることにした。




 相沢が作ったのは、フレンチトーストだった。バターと砂糖の香りがリビングに充満している。空腹感が刺激される匂いに、実乃梨のお腹がぐうと音を立てる。恥ずかしくて顔を赤くなるが、二人は気にしていないようだった。それならと開き直り、実乃梨はありがたく、相沢が作った朝食をとることにした。



「ごちそうさまでした。おいしかったです」


 朝食を終えた実乃梨に、相沢はコーヒーを煎れてくれた。ここの家主は実乃梨なのだが、勝手知ったる顔でキッチンに出入りする相沢にあきれてしまう。しかし、そんなことでごまかされるつもりはない。実乃梨は昨日の夜の二人の行動を尋ねることにした。


「あの、昨日の夜は」


「夜に何かありましたか?」


「いえ」


「もしかして、私たちのせいでよく眠れませんでした?私は先輩の家で眠ることができて、テンション上がりまくりですよ!」


 実乃梨の質問は永徳の言葉に遮られる。まるで、彼女の質問を邪魔するかのタイミングで発言する永徳に不審な目を向けてしまう。さらには、相沢も実乃梨の質問に先手を打って、上機嫌に応答する。


「それはそうと、今から私は《《あの方》》に電話します。スピーカーモードにしますから、静かに聞いていてください」


 唐突に、相沢が不老不死連続殺人犯と連絡を取ると言い始めた。近くには永徳がいて、彼は実乃梨の護衛をしてくれている。護衛をしているからには、相沢の敵と言える存在ではないだろうか。永徳のいる前で、そんな大事な電話をしていいものか疑問に思った実乃梨だが、すぐにその疑問は解決された。


「大丈夫ですよ。永遠さんから事情は聞いています」


「そうそう、先輩が昨日、私たちの会話を盗み聞きしていたでしょう。その時に永徳さんにはこちらの事情をお話ししました」


 昨日の夜の二人の会話は夢ではなかった。とはいえ、相沢が《《あの方》》とやらについて永徳に語っていたとは予想していなかった。さらっと盗み聞きしていたことがばれていたと言われたが、それどころではなかった。さらに相沢はとんでもないことを言い出した。


「なので、《《あの方》》に連絡を取り、我々の仲間が増えたことを報告しようと思います」


「そ、それはまた急な話だと思いますけど」


「善は急げというでしょう?」


 実乃梨の言葉は無視され、リビングに相沢のスマホのコール音が鳴り響く。数コール後、聞き覚えのある声がスマホから聞こえた。



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