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35嫌な想像

「もしもし、相沢永遠です。今、よろしいでしょうか?」


「構わないよ。栄枝さんは、今度はこちらに来てくれそう?あなたなら説得できそうだと思ってそちらに送ったのだけど」


「問題ありません。栄枝実乃梨には、私たちの趣旨をしっかりと理解していただきました。ターゲットの護衛、永徳慎吾も味方につけることに成功しました。彼も一緒に天国に連れて行っても構わないでしょうか?」


「ふうん。味方、ね。永遠はお人好しなところがあるから、そいつの境遇に同情したとかで、自分の秘密をぺらぺら喋っちゃったんじゃないの?」


《《あの方》》、つまり実乃梨が《《彼女》》と呼んでいる人物は一筋縄ではいかない、頭の切れる女性だった。図星をつかれた相沢だったが、すぐに切り替えて冷静に話を続ける。


「同情で男性をこちらの味方につけてはいけませんか?男性は、か弱い女性を放っては置けない、憐れな人種です。野蛮で性欲にしか目がない男性でなくても、健康な男性なら誰でもいいと思いますが」


「そうねえ。まあ、野蛮な男に抱かれるよりも、彼女たちにとっては幸せかもしれないわね。でも、地獄を味わった後の開放感は、それはそれで捨てがたいと思うのだけど。どう思う?そばにいるのでしょう?永徳慎吾?」


 実乃梨も永徳も相沢と《《彼女》》の会話を黙って聞いていた。声を出していないため、相手は相沢が誰かに、自分たちの通話を聞かせているとはわからないはずだ。それなのに、名指しされてしまった。《《彼女》》に名前を呼ばれた永徳は、電話に出ることにした。


「盗み聞きしていたわけではありませんが、お二人の会話の邪魔をしないようにしていました。栄枝実乃梨さんの護衛をしております、永徳慎吾と申します」


「容姿もかっこいいけど、声もイケメンね。永遠はこの男と天国に行きたかったのね。まったく、いい性格をしているわ。自分のことしか見えていないあなたのことも、私は愛しているわ」


「先ほどから、天国や地獄といった言葉が聞こえてきましたが、それはいったい、何を例えているのでしょう?」


 永徳は、自分が相沢のそばで通話を聞いていたことを正直に口にする。さらには自己紹介をして、二人の会話の不明な点を質問する。相手は気を悪くすることはなかったが、質問に答える気はなさそうだった。


「疑問に思ったことは素直に質問するのは、正直者としてモテることもあるけど、今の場合は逆効果。私たちに必要な男性は、何も考えずに私の指示に従って、快楽を味わってもらうだけでいいの」


 だんだん、集合場所で何が行われるのか、全貌が明らかになっていく。男、快楽、天国、地獄。そして不老不死という言葉が絡めば、その場で行われていることは容易く予想できる。さらには、連続不老不死殺人事件の概要を照らし合わせれば。


 実乃梨は自分の想像に吐き気を覚えてしまう。




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