第21話 雨に濡れて
雨が俺の髪を濡らし、ぽたぽたと垂れ落ちるのを受け入れるように俺は項垂れた。そしてゆっくりと立ち上がり、歩き始めた。いま駅に行けばシオリに会ってしまうかも知れない。歩いて帰ろう。
俺はずぶ濡れになりながら一駅離れた自分の住むアパートへと歩き出した。三十分ほど歩いただろうか。通り過ぎた車が少し行った所で止まり男が降りてきた。
「俺君?こんな雨なのに何やってんの、ビショビショじゃん」
声をかけてきたのは竜さんだった。俺はほっと安心し、感情を全て吐き出したい衝動に駆られたが、誰とも話したくない自分もいた。俺は黙って下を向いていた。
「とりあえず乗りなよ」
「…はい」
しばらく雨の道を走る車に会話はなかった。俺はタオルをもらいそれで頭と身体を拭いていた。
そろそろいいかと思ったのか、
「女の子でしょ、何があったの?」
と竜さんが聞いてきた。俺は今日あったシオリとの出来事を箇条書きのように簡潔に話した。すると
「まあ、ホテルに行かなかった俺君が悪いってなるのかな。そこまで言わせたら抱いてあげないとそりゃ帰りたくもなるでしょ。まあ俺君の気持ちはなんとなく想像できるけどね」
俺は正直に言った。
「はい。セックスしたとして経験豊富な女を満足させる自信がなくて、それっぽい綺麗事で逃げて。俺、むちゃくちゃダサいです」
竜さんはフフッと笑い、
「そりゃ最初だし経験値が足りなさすぎるからね、仕方ないよ。そんな思いが嫌なら女の子を抱きまくって自信つけるしかないね。
女を抱けば抱くほどそういう男にしか出ない雰囲気みたいなのが出てくるから、それが身につく頃には今日みたいなことは味わわなくなるよ。」
「俺、そうなれますか?」
「誰でもなれるよ。とりあえずファミレスでも行こっか。具体的なこうしたらいいとかをパパッと教えるよ」




