20/26
第20話 シオリ③
ちょっと待ってくれ、朝起きたらって、それは泊まるってことか?セックスするって事だよな?
俺は少しの時間考えた後、俺はさも自分が誠実な男であるような顔で言った。
「それはやめとこう。そういうのはちゃんと付き合ってる人とするべきだ。もっと自分を大切にしたほうがいい」
しなだれかかるシオリに伝えた。溶けそうに甘く柔らかかったシオリの身体はピタリと固くなった。
俺は女から愛される、モテる男になりたいと常々思っているが、セックスがしたいわけじゃない。表向きの俺の気持ちは。
しかし本当の気持ちはセックスに対して自信がない。性経験のない俺では経験豊富なシオリをがっかりさせてしまい、俺はまた傷ついてしまうだろう。それが嫌なのだ。本当はこれが泊まらないと答えた理由だった。
シオリはゆっくりと俺から離れた。
「そっか。こんな男に遊ばれてばっかりの私となんてしたくないよね。ごめんね」
違う、俺は。
「違う、そんなんじゃない」
「いいよもう、私、帰るね」
シオリは普通の顔で、何もなかったかのように駅の方向へ歩いて行った。
俺は黙って下を向くことしかできなかった。
川辺を吹く風は雨へ変わり、俺の顔にモザイクをかけた。




