第16話 得たものは大きく
「そうだよ。だから君だってもちろんモテるようになれるよ。君が望めばね」
俺が竜さんに尋ねたのは、アリサと話した時に思ったことが合っているのかどうかだった。
おそらくアリサはブスだがモテる。
アリサはお世辞にも美人ではないし、体型だってぽっちゃりとしている。しかし自分を卑下したりはせず、自分自身を受け入れていた。
手入れが行き届いた髪に自分に合った服装、清潔感のある香り。出会った人は好きになるかどうかは別として、嫌な気分になることはないだろう。
何よりアリサは俺にどう思われているかを気にしている様子が全くなかった。まあそこは俺に魅力がないだけのことかも知れないが、それよりアリサ自身がどう思うかを大切にしている印象を受けた。
おそらくアリサは他人に自分の評価を委ねていない。だからそうでない、他人の目を気にして自意識過剰がちな俺のような人間はアリサに惹かれるのではないか。
そしてSNSの台頭によって他人の目を気にしている人間など山のようにいるのだ。
これに気がついたことが俺でもモテるようになれるかも知れないと思った理由だった。
「もっと後から教えようと思ってたことなのに、自分で気が付くなんてすごいね。これはモテる、いわゆる魅力のある男になるのに一番大切だと言ってもいいことだと思うよ」
俺はこの気付きから一つの人生の転換期を迎えることになる。




