勝ち目はあるの?この悪魔!
「鍵を奪う?祓魔師から?……あなたも随分無謀なことを言うのね。どうやってやるのかしら」
彼女は眉を寄せて述べる。なんだか本当に今日の彼女は遠慮がないな。仮にも彼女だって僕の娘か妹のようなものだし、僕も一回くらいアルフが受けていたような優しい対応をされてみたい。だけどそんなことを言ったら絶対に引かれると思うので言わない。
とにかく鍵を奪うことができたら彼の戦力を相当削れるだろうことはありうる。ただ、別の武器が無いという確証がないのは不安だ。冥界の鍵を取り上げたところで彼が別のとんでもないものを出してくる可能性がないとは言えない。けれど今の所の希望はまず鍵を奪うことしかないんだよね。
とはいえ、やっぱり手段が思いつかないのは事実。彼は仮にも聖職者だから誘惑なんてしたところでボコボコにされるだけだろうし、彼女に関して言えば顔が割れている。直面するんなら僕がなにか仕掛けるのがいいんだろうけど、何かって何だろう。
やっぱり力ずく?いや、冥界の鍵に敵う自信はない。頭を使って上手いこと彼を欺く?どうやって?
しばらく考えた末に、僕は人差し指と中指を立てて彼女に見せた。それからすぐに差し出す指を人差し指のみにすると、僕は一つ目の案についてを語った。
「マーガレットが囮になる」
しかし彼女の答えは早かった。
「遠慮させていただくわ。私はリスクは取りたくない」
まぁ彼女はそんなことを言うだろうと思っていた。強かでずる賢い彼女のことだから、自分の身に危険が及ぶことは嫌がるだろう。最悪"それじゃあ庇護下には置けないかな"とか言って脅すこともできるけれど、僕は仮にも慈悲の悪魔だ。そんな意地悪はなるべくしたくない。
というわけで僕は人差し指とともに中指も立て、二本指を見せて第二の案についてを説明することにした。
「礼拝中に襲う」
でもこれは正直ちょっと卑怯だと思うんだよね。彼が敬虔な聖職者である以上礼拝中にそれを止めることはできないだろうし、そこに漬け込んで泥棒を働くのは元天使として良心が咎める。そんな僕から生まれ落ちたわけだからきっと彼女も……
「賛成」
そこまで罪悪感を抱いていないらしい。本当に彼女僕の血から生まれたのかな。なんだかちょっと怖くなってきた。
とにかく、やっぱり気の進まない感じはあるけれどサロモンたちのためなら背に腹は代えられない。今回ばかりは仕方ないことだ。
あの祓魔師の持つ冥界の鍵を奪って、サロモンを僕の方に引き戻す。そしてマーガレットに最低限の安全を保証する。その後で鍵をそっと返しておく。とりあえず見通しのついた計画に僕は少し安心した。勝ち目がそこまで無いわけではなさそうだ。
とはいえ気は抜けない。彼女やドロース共々、一緒に仲良く破滅なんてことにならないようにしなくては。そう思いながら僕は彼女に対して深く頷いた。
「よし、じゃあその方向で頑張ろう!」
マーガレットは少し眉を上げてから小さく頷いた。




