腹を探れ、この悪魔!
彼女の言うとおり、思ってみれば僕は随分とサロモンたちに執着している。モナークやマーガレットについてはこれほどまでに必死になっていなかったはずだ。
彼らからは何というか、悪魔としての本能的な愛情を抱いてしまうような気がする。もちろん可愛そうだから好きという説明もできるが、やはりそれ以上に説明し難い運命的な何かを感じる。こんなことを言ってもどうせ眉をひそめられるだけなんだろうけど。
「で?私は何をしたらいいのかしら」
マーガレットは話が早くて助かる。けれど前に僕に一泡吹かせたようにかなり強かな小悪魔だから、あまり甘く見ることはできない。隙を見せたらとって食われるくらいの気持ちでいることにしよう。そう決めながら、僕は一番最初にするべきことについて思案した。
「彼がどんな祓い方をするか分かるんなら教えてほしいかな」
そう告げると、彼女は思い出すのも忌々しいとばかりに嫌そうな顔をした。そんなに恐ろしい祓魔師なんだろうか。正直あんまり大っぴらに悪魔らしいことをしてきたわけじゃないし、まだ悪魔としては日が浅い分祓魔師の知識はない。そもそも会ったことがないからね。
前に天使をしていた時にも祓魔師のお手伝いやら悪魔、魔物駆除の部署には入っていなかったから、対処方法や弱点なんて分かるわけもない。そんな気持ちを込めて返事を待っていたものの、彼女は溜息を吐いてから口を開いた。
「あの男は、鍵を持ってるのよ」
僕は首を傾けた。鍵?そんなものを持っていたところで役に立たないじゃないかと言いたいところだけど、きっとそういう話ではない。なにか魔法の力があるのかもしれない。とすれば一体何の鍵だろうか。そう質問しようとした矢先、彼女が説明を続けた。
「どこで手に入れたか知らないけど、冥界の鍵。正確に言うならその破片という方が正しいかもしれない。ごく小さな鍵の破片よ。あれを掲げて何かを言うと……危ない感じになる」
彼女は苦々しげだ。
それにしても冥界の鍵を持っているというのはどういうことだろう。あれは主が持つ代物のはずだし、彼のような人間がそうそう持てるものではない。冥界を開き、人々を死後の世界へ導く。そして同時にあの鍵を持った者は主の代わりに裁きを行える。そういうアイテムだから欲深い存在である人間の手に渡ることは禁忌だったはず。とはいえいちいち引っかかるな。
それこそその鍵を神から授けられて人間界に降りてきたんなら、彼は救世主だ。僕が手を出すにはあまりに加護が強すぎるし、サロモンたちのことを捨てなくてはいけなくなる。さすがに神直属の救世主だったりしないといいんだけど。
僕もそう眉をひそめながら、どう対処するべきか思案した。
「……その鍵を奪うことってできないかな」
そう口にしてみると、マーガレットは怪訝そうな顔をした。




