聖女の依頼
前に書いたのが個人的に気に入らなかったので書き直しました。
「初めましてナオヤさん、私は看破の聖女「アヤ」と申します」
会議室に入り、一人の容姿の整った少女に自己紹介をされた俺は自分もと挨拶をする。
「これはどうも丁寧に……冒険者のナオヤです。あなたが私に指名依頼を?」
「ええ、私があなたを雇いたいといった人物本人ですよ」
アヤと名乗った看破の聖女は俺が聞いた質問に自然な笑顔で答える。
見惚れるような綺麗な笑顔だ、聖女と名乗るのにふさわしい雰囲気も持っている。だが、どこかそこが嘘くさい。
まるで……仮面だな。
「気持ち悪い」
口に出していた。
その言葉にアヤは驚いた表情をして目を見開き、アヤの隣にいた女騎士は悪口にも捉えられる言葉を俺が放ってしまったせいか鋭い視線を俺に向けて腰にあった剣の柄に手をかけていた。
「あ…すまん……その『嘘くさい仮面』みたいな笑顔を見せられたから」
「貴様……!?」
追い討ちのような言葉をいった俺に女騎士はたまらず剣を鞘から抜き放ち、俺に切りかかろうとする。
だがそんな女騎士を止める声が一つ。
アヤからだった。
「よしなさいミキ」
アヤは女騎士を手で制し、剣を振るう寸前のところで止めさせる。
女騎士は自分が仕えている聖女に止められたせいか納得いかない様子ではあったが、剣を鞘に収めてまた聖女の横に立つ。
俺を睨みながらだが……
「すまん、流石に失礼なことを言った」
とりあえず俺はアヤに謝罪をする。
アヤは気にしないとばかりに首を振り話を続ける。
「それで、依頼のことでしたよね?」
「ああ、冒険者ギルドルール上指名依頼はBランク以上からなんだがどうしてCランクの俺に指名依頼を?」
俺は気になっていた疑問を口にする。
するとアヤは片目を閉じて口を隠し、可笑しそうに笑う。
「さあ、どうしてでしょう?」
「……教える気はないってことね」
アヤの反応を見て、笑っていても目が笑っていないのに気がついて俺は少し警戒心を強める。
「それで、依頼内容ですが……」
(つづけるのね……)
そのまま依頼内容を話していくアヤを見てなんとなく、かつての仲間だった聖女の強引さを思い出してしまう。
結果から言うと内容は至って簡単、今回の仕事である冒険者の不正の看破の最中の護衛とのことだった。だが俺は少し疑問に思う。
「護衛ならそこの騎士がいるんじゃないか?」
俺は先ほど攻撃しそうになっていた女騎士を指差す。
「確かに彼女も護衛ですが、今回の看破の相手は少々面倒な方達でして」
「面倒?」
看破の相手はここ最近実力を伸ばし、つい先日ランクをBに上げたがその冒険者は黒い噂が絶えないそうだ。「奴隷にするために女をさらっている」や「危険な薬物を裏ルートで売買している」と言ったものが多く、今回の看破の調査でも何かしてくる可能性がないわけではない。
「それで、もう一人護衛を頼むわけになったのか。…だけどそれなら俺以外の冒険者でも良かったんじゃないか?」
俺は疑問を口にする。
するとアヤは困ったような顔をしてこう言った。
「実はこの街の冒険者たちは今回対象の冒険者に頭が上がらないらしく……」
「は?」
「何度か助けられた経験があったり高位な依頼に連れていつてもらったりなどのことをその冒険者はしているらしく、あまり強くいえないのだそうです。それにその護衛を買収されたら情報が筒抜けになってしまいます」
「それであちこちの街を移動している俺に声がかかったのか」
「はい、あなたの話はここ最近よく耳にします。なんでもあちこち旅をしながら難易度の高い依頼から誰もしないようなボランティア同然の依頼までしているそうですね、ギルド職員の方からはかなり気に入られているようです」
どうやら職員の間ではかなりの人気になっているらしい。
そこまで大したことはやっていないのだが……
「ここ最近の冒険者は派手な仕事を多くしたい人が多く、地方の小さな村の依頼はあまり受けてもらえないらしいのが現状です。そんな中、あなたは率先してその依頼をやっていただいたのですから職員の方に目が止まるのは当然でしょう」
「そう言うものか?」
「ええ」
……まあ正直不正の可能性のある冒険者が高ランクになると色々面倒な可能性があるし、仕方ないか。
「依頼は受けよう。ただし、少し条件をつけさせてくれ」
「なんでしょうか?」
「条件」と言う言葉に少し首を傾げるアヤ。
「今俺はある一件の調査のためにあちこちの街を回っている。その一件の情報が手に入りそうな場合、俺はそっちの方に優先させて動きたいんだ。だから依頼途中でもそのことを優先させて欲しい」
俺の話を聞いたアヤは少し考えるような顔をして、縦に首を振る
「……大丈夫です。その条件を呑みます」
「じゃあ、契約成立だな。よろしく依頼主」
俺は笑ってそう言った。




