看破の聖女
あの七葉との会話の後、一度カイエに戻りルーへ報告をして、そのまま魔神教の調査のためにあちこちの街を転々とする生活をしていた。
冒険書として街に入って適度に討伐の依頼をこなしながら路銀を稼ぎ、魔神教の調査をしてめぼしい情報がなかったらすぐに街を移動する。
そんな世界つを二ヶ月ほど続けていったある日、冒険書として討伐のクエストを消化して冒険者ギルドの酒場で夕食をとっていた時だった。
冒険者のパーティの男たちが話しているないようが耳に入った時に思わず飲んでいた酒の容器を傾けたままにしてしまったほどだ。
「なあ、知っているか?今この街に『看破の聖女』がいるらしいぜ」
「ああ、どうやらこの街にで新しく出たランク昇格候補の不正の看破のために来ているらしいな」
『聖女』
元々は、前の戦争で活躍した俺の仲間である回復魔法を使う女性の二つ名だった。
現在は冒険者の中でも高位の者が襲名する二つ名になっているらしく、その人を体現する言葉とともに聖女の名前を襲名する。
今聖女の名前を二つ名として持っている人は「看破の聖女」、どの属性のにも分類されない「看破」と呼ばれる嘘を見抜ける魔法を使えるかららしい。
(聖女…ねえ、あいつはそんな二つ名似合う女じゃななかったんだけどなあ……)
五百年前の戦争の時、聖女と呼ばれた仲間は確かに外ズラは良かったが実際はかなりがさつで男勝りな女だった。だが怪我をした時は真剣な表情をして患者には母性溢れる笑顔で検診するのだから確かに患者には大人気だった。
俺がそんな考えをしていると一人の女性が声をかけていた。
「ナオヤさん、少しいいですか?」
「どうかしたんですか?イナさん」
ショートカットの茶髪で、少し長めの耳をしているハーフエルフのイナさんは俺が今の街に来た時に冒険者ギルドの受付をしてくれた冒険者ギルドの受付嬢だ。元々はそこそこ名を馳せた有名な冒険者だったらしいが、現在は引退し受付嬢をしていると聞いている。
「実はナオヤさんに指名依頼が来ていまして……」
「指名依頼?」
「はい、本来指名依頼はCランク以上の冒険者にしか来ないようにしているのですが、今回は依頼者直々に冒険者ギルドまで赴いての依頼になので……」
冒険者ギルドに所属している冒険者はランクが存在している。
登録したばかりの冒険者がなるEランク、そこからD、C、B、Aとなっていて、一応Aランク以上のSと呼ばれるランクもあるようだが、そのランクは基本的に英雄のような活躍をした人しかならないらしい。
そんな冒険者のランクが上がると受けられるのが「指名依頼」だ。
冒険者ギルドが提供してくれる依頼ではなく、その冒険者を指名して直接依頼主からの依頼がよこされる。でも指名依頼は基本的にBランク以上から受付可能なはずだ、現在Cランクになっている俺には指名依頼は受け付けられないのだが……。
「わざわざギルドに赴いてまで……か」
「はい、現在依頼主はギルドの会議室にお待ちしています。時間がよければついてきていただいてもよろしいでしょうか?」
俺はイナさんからの説明を受けて少し考える。
正直、俺は冒険者として活動している間は剣の勇者としてではなくただの「ナオヤ」として活動している。なので冒険者として活動しているときは個人魔法も、武装である神器と聖剣も使っていないのだ。それなのに声がかかるのと言うのはどうゆうことなのか少し気になる。
「……わかりました、案内してください」
俺は考えた結果、案内してもらうことにした。
♢♢♢
「こちらに依頼主がお待ちです」
「ありがとうございます、ルナさん」
俺は案内してもらったルナさんにお礼を言って、会議室の扉を二回ノックする。
「どうぞ」
短い返事を聞いてから、俺は会議室の扉を開ける。
会議室にいたのはかなり容姿の整った少女と、付き人かと思われる騎士の女性がいた。
最初に言葉を発したのは少女だった。
「初めましてナオヤさん、私は看破の聖女「アヤ」と申します」
少女はそう言いながら美しく笑った。




