剣に何を込めるのか
現在の状態。
・ルルカを連れてきた
・白花さんに話しかけると奇声を上げられた(地味に傷つく)
・二人に殺し合いをしてもらう←今ここ
「え?ええ??」
「ナオヤ様、端折り過ぎです」
混乱している白花さんをみてルルカが俺に言ってくる。
流石にそうか。
「本気じゃないよ。単純に本物の武器を使っての実践をしてもらうと言うだけ」
現在の訓練は刃を潰している状態の短剣を使っている。
さっきまだ実戦経験をしてないと聞いたので実際の魔物狩りなどはまだできない。なのでまずは本物の武器を使って訓練をすることにしたのだ。
「それで暇そうにしていたルルカを連れてきた」
「別に暇ではないのですが……まあ、確かに今日は非番なのでいいですよ。スズさん、私とやってみませんか?」
「でも、いいんですか?」
ルルカの言葉に白花さんは申し訳なさそう言う。
その様子にはルルカは構いませんよと笑顔で返事する。
「スズさんは私のたちの騎士の訓練に参加していますし、そろそろ騎士団の中でも本物の武具を使った実戦をさせてみようかと話し合っていたところです」
「そうですか……じゃあお願いします」
ルルカの話を聞いて了承する白花さん。さて、決まったところでやりますか。
それから俺は白花さんの短剣を改良したり、戦闘ができるように訓練場の整備、傷ができることが前提なのでそのための傷薬とポーションの準備をした。
そしてルルカと白花さんの戦いが始まる。
「じゃあ、どっからでも来てください。スズさん」
「行きます!」
ルルカの声に大きく返した白花さんはその勢いのまま素早く前に駆け出す。
ルルカは自分の腰にある両手剣を抜刀して、中段に構えて白花さんを迎え撃つようだ。
「やあ!!」
白花さんは間合いまで入ると一気に短剣を振るう。
だがその振るった短剣が狙っていた場所を見て俺は少しため息をついてしまう。
「まあ、そうですよね……はあ!」
ルルカも気がついたのか少し落胆の表情をした後、短剣を弾く。
弾かれた拍子に、白花さんは転んでしまう。
そして白花さんの首にルルカの剣が突きつけられて戦いは終わる。
「これで終わり……なんですけど、スズさん。なんで私に手首を狙ったんですか?」
「え」
「これは本物の武器を使った、実戦です。わざわざ手首を狙わなくても他に致命傷を与える場所はあったはずですけど」
「う……」
ルルカの質問にギクリとする白花さん。
しかし、予想はしていたとはいえ、先にやることがありそうだな。
「白花さん、少しいい?」
「何?伊澄くん」
俺は彼女に向けてこう言った。
「君は、自分の剣に何を込める?」
「剣に込める?」
俺の言葉に白花さんは首を傾げてしまう。
その姿を見て俺は少し真剣な声色で話し始める。
「自分が何のために剣を振りたいのか、そう言うのはわかってる?」
「まあ……なんとなく?」
俺の言葉に少し顔を赤らめながら答える白花さん。
何で顔を赤らめながら答えたのか疑問だが話を続ける。
「何のために剣を握って、何のためにその剣を振るうのかが実戦でのカギになる。生半可な気持ちじゃ戦いの途中で確実に死ぬ」
「え……」
「それほどの意思を持たないとこの世界では生きていけないよ。ここは日本みたいに平和じゃない。白花さんより小さい子が家計が苦しくて、冒険者として魔物を狩っていたり、身売りしていたりする世界なんだよ」
「……」
白花さんは黙ってしまった。
やっぱりこんなもんか……
「まずその剣に込めるものを見つけられないのなら……この世界の戦い参加する資格はない」
俺はそのまま鋭い視線を白花さんに向ける。
俯いたまま動かない白花さん、鋭い視線を向ける俺、そしてその状態を見ておろおろするルルカ。
それからしばらくして、白花さんが聞いてきた。
「ねえ……伊澄くんは自分の剣に何を込めているの?」
「ん?俺??」
俺は彼女の言葉にこう答えた。
「死んでいった仲間たちの意思と、守れなかった自分への嫌悪感と復讐心だ」




