王城での再会
「弟子入り?」
「ええ、なんかあなたがこの城を出てすぐに私に弟子入りしたいって行ってきたわ」
俺の言葉にこたえる七葉。
「お前が弟子を取るなんて思わなかったぞ」
「それは私もよ。でも、土下座されてまで弟子入りお願いされるとねえ」
……以外とアクティブなのね。白花さん。
少し同情の目を七葉に向けると少しむくれてこっちを見てくる。
なんだよ。俺に理由があんの?
そう聞こうとしたが七葉の部屋の扉を大きな音を立てて開ける乱入者によってその質問はできなかった。
「七葉さん、今日の訓練のことなんだけど……って伊澄くん?!」
七葉の弟子になったらしい件の少女、白花さんが入ってきたのだから。
「ひしぶりだな白花さん」
「うん、驚いたよ〜まさか七葉さんの所に伊澄くんがいるんだもの」
いきなりの再会を果たした俺と白花さんは白の廊下を歩きながら訓練場に向かっていた。
ちなみにナナリ王への報告は七葉が気を利かせて一人で行ってくれている、なので俺は今暇なのだ。そしたらせっかくなので七葉の訓練でも見ていてくれと言われたので見ることになったのだ。
ちなみに彼女は回復系の魔法と風の魔法、そして短剣に適性があるようだった。
魔法は七葉が観れるが短剣は基本的に城の騎士団と訓練をしているらしい。
「じゃあ今日の訓練は俺が見ることになったけど、何か要望ある?」
「え?」
「戦闘だけじゃなくて、魔法のこととかもある程度は知識があるから。ある程度のものならアドバイスできるぞ」
俺のできる魔法は身体強化魔法と付与魔法だけだが、複製模倣の能力である模倣の特性を使えば他の魔法を使うこともできる。
模倣できるための条件はあるが、今回に限ってはその条件もなんとかなりそうだ。
「……伊澄くんってさ、規格外って言われない?」
「ん?……あー、たまにかな」
最初の頃の召喚でもなぜか規格外って言われたことがあった。
確かに優秀な部類ではあるとは思うがそんなんだったら七葉個人魔法以外ならどんな魔法でも使える特性を持っている方がすごいと思うけどな。
「でも基本的に俺は魔法を補助としか扱ってないからなあ……」
「それで七葉さんに渡り合える伊澄くんは全然規格外でしょ」
俺の言葉にそう言ってくる白花さん。
少し呆れているのは俺の勘違いと信じたい。
♢♢♢
は
クラド帝国の王城にある訓練場で二つの剣がぶつかる音が鳴り響く。
中では一人の少女と一人の男がお互いの手に持っている短剣を振るっていった。
少女は必死に短剣を男に振るっていくが、その短剣を男は余裕を持って受け流し、躱し、たまに短剣を短剣にぶつけて弾き返す。
「はあ……はあ」
「まだ10本しか戦ってないけど、大丈夫か?」
短剣で試合をしていた男、伊澄直也がヘトヘトになっている少女、白花鈴に声を掛ける。
「だい、じょう……ぶ。まだ、できる」
「いや、そんな状態で訓練させるほど俺も鬼じゃないから」
そう言って俺は右手に持っていた黒鋼を下に降ろし、一旦終了の合図を鈴に送る。
訓練が一旦終わった途端鈴はその場に倒れて大の字になって肩で息をする。
その姿を見て直也は自分のアイテムバックからタオルを取り出すと、すずの顔にかける。
「まずそれで汗を拭いて、体が冷えるから。それからこれ飲んで」
鈴が汗を拭いている間にこの前買っておいた飲み物を渡す。
その飲み物を飲みながら鈴は頬を膨らませる。
「むー…結局一本も取れなかった」
「そりゃあ六年近く実戦をやっていたやつが始めたばかりの奴らにやられたらそれこそダメだろう」
「……で、伊澄くん。私の評価は?」
「んー、まだ始めたばかりにしてはいい方だと思うけど……白花さん、実戦経験は?」
直也が聞くと鈴は首を横に振る。まだ修行段階で城の騎士たちもまだ実践するには早いと言っているらしくまださせてもらっていないと説明する。そのことを聞くと直也は小さく何かつぶやいた後、少し離れると言って訓練場を出て行った。
「……やっぱり、呆れられちゃったかな……」
直也が出た後、鈴が小さく呟く。
そもそも鈴が七葉の弟子になったのは直也のことが理由である。
あの最初の召喚の時の話を聞いた夜、鈴の中には「直也くんの力になりたい」だった。
恋心のようなものが元々あった鈴にはその考えを加速させた。
そして少しでも追いつきたくて彼女は今クラスの人と離れて一人七葉の弟子として残り、魔法を学びながら王城の騎士たちに混ざりながら訓練している。実際的にはクラスの様子がおかしかったのもその理由ではあるが……
それでも彼女は少しでも成長していると、少しつづでも彼に近づけていると思っていた。
……だが結果はさらに自分の無力さを実感するだけだった。
(近づけていると思っていたのに……わかったのは私と…伊澄くんの『離れている』距離を感じることができただけ)
「はあ……」
「どうかしたか?白花さん」
「ひゃい?!」
ため息をついているところに完全に不意打ちで声をかけられて奇声をあげる鈴。振り返ってみるとそこには直也と、一度直也の迷宮探索に参加したというのを聞いた騎士、ルルカがそこに立っていた。
「あれ?ルルカさん??」
「どうもです、スズ殿」
挨拶している二人を見ながら直也はこう言った。
「じゃあ、これから二人には殺し合いをしてもらいます♫」




