これからと昔
俺はクロス改め神無月の感覚を楽しみながら少し訓練をする。
まあ、ルーと戦ってクロスを神無月に変化させたことで自分の中の魔力はほぼすっからかんなので簡単な素振りや筋トレなのだが。
俺は神無月を振りながらこれからのことを考える。
バンピィをルーのもとに送り届けたからクラド帝国の仕事は終わった。あとは俺の自由にしていこうと思うっていたが……
「やっぱり、返しにいかないとなあ……」
俺はアイテムバックに入っているクラド帝国のバッチ。
それを返しに行こうかと考えていたのだ。
確か王命と同じ効力を発揮するらしいが正直、いらない。
だって無くしたら大変そうだもの。
そもそも、このバッチは何かあった時に俺の命令にクラド帝国の貴族を従わせることができるものだがこのバッチはバンピィを魔族側に送り届けた今、このバッチを持っておく必要も無くなった。
どうせなら返してしまいたいが……
「絶対、あいつらいるしなんかつっかかってくるよなあ」
勇者(笑)の天川や、あの担任の佐々木先生が文句を言ってくるのは確実である。
それにあの国には何かある。
多分ナナリ王は白だがあのバンピィをさらった貴族のような完全に裏の要素を持った貴族がまだいる可能性がある。
「一応、七葉には警戒しておくように言ってあるけど…他の召喚者の奴らには何も言ってなかったからな。どうなってんだろ?」
一応白花さんには洗脳とかの体制が上がる付与をしてあるけど他は知らん。
単純に俺が白花さんにアルメリアのような何かの意思を感じたから思わずかけてしまったけど。してよかったのかな?
『よかったんじゃない?あなたがそうしたかったんなら』
……いきなり出てこないでよ、アルメリア。それにしばらく話しかけてこなかったけど何かあったか?
『なんか眠くなってずっと寝てたわ』
眠くなるのか?
『んー……眠くなった瞬間意識が途切れたからよくわかんない』
そうなのか。
まあ、魂だけの存在だから魔力を消費してこっちに話しかけてきてる可能性もあるしあまり無理しないでなんかやばそうだったら休むなんなりしてくれ。
『そうするわ』
そう答えた後、アルメリアは話しかけてこなくなった。
また眠ったのかな?
そういえば複製模倣のこともさらに調べなきゃいけなくなるし、やることは多そうだ。
そう思いながら俺はさらに神無月を振るっていった。
♢♢♢
暗闇の中青年は走っていた。
手には一本の日本刀を携え、真紅のバンダナを右腕に巻きながら黒いコートをなびかせて暗闇に支配された世界をかけていく。
その青年に沢山の人が襲いかかるが、携えている日本刀の人たちで全て斬り伏せてしまう。青年はさらにその斬り伏せていったものたちの動きを模倣して、どんどん成長していく。
素早く、強く、しなやかにーー
青年は左の紅に光る瞳を爛々と輝かせながら暗闇をかける。
その青年の姿を、空に浮かぶ二つの赤と青の月はその青年を怪しく照らしていた。




