ルー・ブライア2
ルーをからかって遊んでいるとかなりの時間が経っていたらしい。
もう夕方だ。俺はルーに連れられて食事する部屋に案内された。
部屋に入ると綺麗な服を着ておめかししたバンピィがいた。
「あっ!ナオヤ!」
「ようバンピィ、随分とおめかししているな」
「屋敷の従者たちに着せられたのだ」
「そうか、似合っているぞ」
そういってバンピィの頭を撫でる。
撫でてやると嬉しそうにはにかむバンピィ、昔のルーにそっくりな気がする。
「あっ……えへへ」
「相変わらずあなたは天然なのね」
「なんだよ?意味のわからないこと言って」
バンピィを撫でているとあきれた様子でいうルー。
何を言っているんだ?
普通に頭撫でただけだぞ?
そう思っていると仕事から帰ってきたらしきアルレルが案内された部屋に入ってきた。
「あっナオヤ様」
「よう。さっきぶりだなアルレル」
軽く挨拶して会話するとアルレルにルーが近づいていき笑顔で話しかける。
「おかえりアル。今日はどうだった?」
「ナオヤ様とバンピィ以外は特に魔法陣を使う感じはなかったよ。やっぱり500年も時間もたつとあの転移魔法陣を使おうと考える人は少ないみたい」
「そう。とりあえず座って、すぐ食事もできるしナオヤもいることだし今日は飲みましょう?」
そう言って俺を見てくるルー。
まあ、俺も出されれば飲むしアイコンタクトでルーの意見に頷き全員席に座る。
……というか『アル』っておい……仲がよろしいことで。
……ぷっ。
「じゃあ、500年ぶりの再会を祝して食事会といきましょうか」
妹分の意外な一面に笑いをこらえる俺を尻目にルーはそう言った。
♢♢♢
「へえ、アルレルの本職は魔法研究なのか」
「はい。今はあの転移魔法陣を研究しながらついでにあの魔法陣を使っておかしな奴らが来ないか警戒も今の仕事です」
「アルったらこの前までは向こうの小屋に泊まり込みで研究をしていて同僚の仲間に説教くらってたのよ?面白いと思わない?」
「ル、ルー!あんまり余計なことは話さないでください!!」
「えーいいじゃない?ねえバンピィ」
「いいのだ!」
「いいの?!」
食事会の途中、アルレルのことを聞いているといきなり砂糖吐きそうな雰囲気になって家族の内輪ノリが始まっているのを見ながら俺は注いでもらった酒を飲んでいく。
それにしても、バンピィの親……ルーの子供とその結婚相手はまだ会ってないな。聞いてみるか。
「なあ、そういえばバンピィの親はどうした?」
「ああ、私たちの息子とその嫁は今は魔都よ」
「魔都?」
「人間の方で言う王都みたいなものです。私たちの息子…名前はベールというのですがベールは今の魔王に使える騎士なのです」
そうなのか。
それから俺は魔都のことを聞いた。
魔都イビル。
クラド帝国の王都のような場所で魔族全体の統括をしている都であり、現在は魔王がその魔都の領主をしているらしい。
だが今は魔王が実力でなっているわけではないらしい。
今は各種族の代表を募りその中で会議を行い、その中から何年かの交代制で魔王を継いでいるらしい。だから魔族間での決まりごととかも会議で決まる。
「500年前とは随分変わったな」
「ええ、なんたって500年よ?随分と時間が経ったもの……ナオヤ、これからどうするの?」
俺は500年と言う長い時間で変わったのことを感じていると、ルーから聞かれる。
「ん?そうだなあ……せっかく戻ってきたし他に生きている仲間たちのところ行った後はどこかブラブラと冒険者をしながら旅に出るつもりではあるけど」
「だったらナオヤ、うちに雇われてよ」
俺がだした言葉を聞いたルーが、そう言ってきた。
俺は予想にしてなかった言葉に驚く。
「なんでだ?」
「なんでって、剣も魔法も付与魔法とか身体強化魔法限定だけど優秀で、実戦経験もあっているかつての戦争の英雄がいたら声かけるわよ」
何言ってんの?みたいな顔でこっちを見るルー。
うーん……あんまり自覚はないんだが。
「そんなにすごいもんかね?俺は」
「いい加減、あなたは自分の実力を自覚しなさいよ……本気なら私たちなんて簡単に倒せるくせに」
ルーの言葉に少し困ってしまう。
確かに俺は強いかもしれないがそこまでだ。
放出系の魔法は使えないし、使える武器も剣以外には無い。
魔力の量も勇者だから多いというだけで多さで言ったら術の勇者である七葉のほうが多いし、魔法の才能も高い。
ゆうて実力は高く無い。
それに……
「すまんルー。雇われることはできないよ」
「どうして?」
ルーが聞いてくる。
「約束だからさ。アルメリアとの」
「そう……」
アルメリアとの約束、あの精神世界での約束したことだ。
自分たちが救った世界の景色を見せる。
俺もアルメリアも本当なら二人生きて見たかった。
でもそれは叶わない。
まあ、魂はいるんだけど。
多分、このアルメリアの魂もいつかは消えてしまう。
俺はそう感じていた。だからそのアルメリアの魂が消える前に俺は、救った世界をなるべくたくさんの景色を見せるためにしばらくは定住するつもりも、雇われる気もなかった。
「なら、仕方ないわね」
「うん。悪い」
少ししんみりとした雰囲気の中、その食事会は終わった。




