カイエへ到着
部屋の中に転移魔法の魔法陣を使って転移してきた俺とバンピィは魔法陣から出て部屋の中を散策する。
「随分と小さな部屋なのだ」
「確かにな。それにしっかりと手入れされている」
五百年前のものだからかなり古くなっていると考えていたが、そうでもないのか?
俺は部屋にあった机を少し調べる。
まだ新しい感じの机なので定期的にこの部屋を手入れしている人がいるのだろう。
「とりあえず、この部屋を出てみるか」
「そうするのだ!」
部屋にとどまっていても仕方ない。
そう思って部屋の扉を開けると……
「全員放て!!」
魔法を大量に放たれました。
♢♢♢
「いやーすいません。まさかバンピィ様をカイエまで送ってくださる任務についていた方だったとは」
「いいよ別に。確かに人間じゃあの魔法陣は起動できないから何かの魔物かと思うだろうし、何より俺は人間だからな」
俺は先ほどの魔法を放ってきた魔族と俺は会話していた。
どうやらあの魔法陣のある部屋を監視している魔族らしいのだが、魔法陣が起動したのを見て何かの魔物か侵入者だと思い、部屋の外に出て出てきたところを魔法で倒そうとしたらしい。
「それにしても、アルメリアが作った魔法陣とはいえ500年前の魔法陣を警護しているということはここは今でも使われているのか?」
「ええ、バンピィ様が返されない場合はこの魔法陣を使ってクラド帝国に進軍する予定でした」
俺の質問に隊長らしい魔族が答える。
痩せ型の細い体をした魔族で、白衣を着ていた。
ゲームとかで出てくる博士役みたいな見た目しているなこいつ。
そう思いながらそいつを見ていると「そういえば自己紹介してなかってですね」と言い、自己紹介してくる。
「私はアルレル・ブライア。魔法研究をしていて今はこの転移魔法陣を守護する仕事についています」
「そうか……ん?今ブライアとか言った?」
「はい、私は現在カイエを収めている領主、ルー・ブライアの夫に当たります。バンピィから見たら私はおじいちゃんになりますね。以後お見知り置きを剣の勇者、ナオヤ様」
……お前がルーの夫とは思わなかったわ。
「それで、とりあえずカイエの街までバンピィを送り届けたら……そこで俺の仕事はおしまい?」
「一応はここまでで大丈夫です。ですがせっかくなんです、ルーに会ってもらえませんか?」
俺はアルレルとそのほかの兵士たちに連れられてカイエに向かっていた。
一応、バンピィの身柄をアルレルに引き渡したから仕事は終わりなのだが……
「一応聞くがなんで?」
「あなたの話はルーからたくさん聞きました、わがままをよく聞いてくれた兄貴分だと。あの500年前の戦争はルー自身も辛かったはずなのに…あなたや仲間の話は本当に楽しそうに話してくれるんですよ。あなたがまたこの世界に召喚されたと聞いて彼女は本当にに嬉しそうにしていました、確かに私はルーの夫ですからあなたやあの時の仲間たちのことを聞くときは少し嫉妬もしましたよ?だけど……それだけ、あの戦争での旅が楽しかったんでしょうね」
「……」
そういうアルレルの目はとても優しかった。
ルーは、ちゃんと自分を見てくれて理解してくれる人に出会ったんだな。
「……お前の話を聞いたら、ルーがお前をどれだけ信頼しているかわかった気がするがな」
「え?」
「あいつはそういう話、俺らの前で恥ずかしがって話そうとしないんだよ」
そう。あいつは自分の仲間の前では絶対に褒めたりしない。
本当に信頼している家族だけに自分の仲間のいいところを話していた。
兄貴分の俺にも話してくれたことがあったが、俺自身の話は恥ずかしがってかしていたこともなかった。
「俺らでも聞いたことのない話があるのならあいつは俺らよりお前のことを信頼していると思う。これは俺がお前の話を聞いてみての意見だから参考にはならないかも知れんが……」
「ありがとうございます。参考になりました…そうか、ルーは信頼してくれているのか……」
俺の言葉にアルレルは嬉しそうに頬をほころばせる。その顔は本当に純粋な感情を見せていて大人でもそうそういない。こんないいやつ。
それにしても、どうやってこんな夫捕まえたんだルーは?
俺はカイエに到着するまで、そんなことを考えていた。




