洞窟迷宮2
バンピィの言葉に驚き中にいるアルメリアと少し会話した後、俺たちは第二下層にやってきていた。
第一下層は普通の洞窟のような見た目をしていたが第二下層はどこか神殿じみていて神秘的に感じる。
「さて……転移の魔法陣はっと」
俺は階層の奥に進み、転移の魔法陣を探す。
バンピィは少し暇そうだ。
「なあナオヤ。まだなのだ?」
「今探してるだろ?その魔法陣を起動して転移してしまえばカイエはすぐそこだ」
アルメリアによると魔法陣からカイエまでは十分程度らしい。
早いな。でもアルメリアよ、もし戦争でこの魔法陣を使われたらどうするんだ。
『大丈夫よ。ここにくる前に全員最初の階層の罠で死ぬもの』
勝手に心の中のことに答えるんじゃありません。
『いいじゃない。私への疑問でしょ?』
まあそうだけども。
しばらく周囲を探索していると何か魔法で保護された場所を見つける中に入ってみると大きな魔法陣があった。これが転移の魔法陣だろう。
「ここなのか?ナオヤ」
「多分そうだぞ。魔法陣のっ術式も転移のものだ」
俺は床に書いてある魔法陣の術式を読みながらそう答える。
魔法陣は魔力を流せば誰でも使える代物ではあるが、その分魔力の消費量が大きいのが特徴だ。10畳ほどの大きさの魔法陣は、規模的にだいたい数十人を同時に転移させることが目的のものだろう。もともと転移の魔法は魔法陣ではなくてもかなりの魔力消費なので人間では発動はできない。
魔法陣ではその2倍位以上の魔力が必要する…勇者である人間は使えるかもしれないが普通の人間がこの魔法陣を使えるのは確実にいないな。
「この魔法陣は使えるのか?」
「多少魔力を使うけど起動できるはずだ。ちょっとまて」
俺はそう言って魔法陣に魔力を流す。
すると徐々に魔法陣が淡く光り輝いてきた。
このぶんならすぐに起動できるはずだ。
それからしばらくの間、魔法陣に魔力を注ぎ続けようと思っていた時……
後ろからの殺気を感じ取りバンピィに声を掛ける。
「バンピィそこから飛べ!!」
「へ?っ?!」
俺の声に反応してとっさに飛び退くバンピィ、飛びのいた直後先ほどまでバンピィがいた場所に大きなな傷跡ができる。
ウィンドグリズリーは基本的に自分から攻撃し少しでも敵対行動をする奴を最初に.狙う習性があるのだ。今回最初に敵対行動したのはバンピィ、標的が固定されてしまった。
「バンピィ!とりあえずウィンドグリズリーから距離をとって相手が爪を振るったタイミングを位計らって避けろ!!」
「わっ、わかったのだ!!」
俺の言葉に返事してバンピィはウィンドグリズリーの攻撃を避けることだけに集中する。俺はその間に魔力を注ぎながら攻撃手段の一つを発動させるために魔法を発動させる。発動させるのはあの殺し屋にも使った銃弾だ。
俺は記憶の中から鉄の剣をイメージし、装填で周囲に模倣して浮かせる。
そしてそのまま付与魔法をさらに重ね掛けしていく。
「エンチャント……『鋭利化』、『硬質化』、『超加速』、『自動追尾』……バンピィ!俺が指示を出したら大きく飛べ!!」
「あい!」
そういった俺は右手を銃の形にしてウィンドグリズリーに照準を合わせ、合図を送る。
「今だ!!」
俺の声に反応したバンピィが、大きく飛んだ瞬間に狙いを定めていた付与をした剣を一気に弾丸でウィンドグリズリーに放つ。
「弾丸!!」
俺の声ともにとんでもないスピードでウィンドグリズリーに飛んで行った剣は、狙った場所である首……だけではなく上半分ごとが一気に消し飛んだ。
「へ?!」
いきなりさっきまで戦っていた魔物の上半分が消し飛んだことによってバンピィは驚いた声をあげて地面に着地する。
俺も少し驚いた。
なにせ、付与魔法を使ったもののそこまでの威力になるとは思っていなかったからだ。やはり少し強すぎるのかな弾丸……
俺はそう考えながらウィンドグリズリーの下半身を見た。
それから魔法陣の起動のため、魔力を注ぎ続けたのだが、バンピィにあの魔法は何かと散々聞かれたのだった。
♢♢♢
「……よし、魔力充電完了」
「終わったのか?」
「ああ終わったぞ。すぐに起動できる」
あれから数十分、魔物とかの遭遇もあったがようやく転移の魔法陣に前欲が溜まった。
俺の魔力をため込んだ魔法陣は綺麗な白い光を発している。
俺はバンピィを呼んで魔法陣の中に入らせる。
「おお〜すごく綺麗なのだ!」
「はいはい大人しくしな。すぐに起動するから」
俺は魔法陣の光にはしゃぐバンピィを大人しくさせながらもう一度魔法陣に手を触れる。じゃ、いくぞ。
「『テレポート』」
そう行った瞬間、俺とバンピィは白い光に包まれる。
次の瞬間、俺たちの目に映ったのは先ほどまでいた洞窟迷宮の回想ではなく、少し暗めだがよく整えられている小さな部屋に変わっていた。




