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クラスメイトの反応

クロスを引き抜いた俺はルルカたち共に帝国の王城に帰ってきていた。


 「今日は付き合ってくれてありがとうルルカ、ペトラルカ」


 「いえ!私も勉強になりました!」


 「……ん、こっちこそありがとう」


 「じゃあ、二三日はは王城にいるから。何かあったら言ってくれ」


 「「はい!(ん)」」


 そう言って俺はルルカたちと別れて七葉に会うために王城の中に入って行く。

 龍王の間から持ってきた魔石を七葉に渡すためだ。


 「さて…今はあいつらは……訓練場にいるな。ちゃんと訓練始めてるのか、でも今の人間の実力で魔族が倒せるとは思わないけど」


 どうやら戦争に参加する人たちで訓練をしているらしい。

 そこに七葉もいる、多分無茶なことをしないか監視するためだろう。


 俺は少しこの姿で会うとクラスメイトが混乱する可能性があるので少し不安だが、七葉が監視するのなら魔力はあったほうがいい。向かうしかないのか。


 俺はそのまま訓練場に向かった。






 ♢♢♢



 「おーい七葉!」


 訓練場に来た俺は走り込みをしているクラスメイトと騎士を監視している七葉に声をかける。


 「誰?」


 「こっちの世界の白崎さんの知り合いじゃね?」


 「でもこの世界は白崎さんの召喚された時の五百年後なんでしょ?」


 クラスメイトが俺のことを見て困惑している。

 まあ、いきなり声をかけてきた黒い鎧の剣士が自分の同級生とは思うまい。


 七葉は俺の姿に気がつき少し考えたあと近くにやってくる。


 「その姿は……直也?」


 「正解。今日龍王の間に行って魔石取りに行ってたんだよ。お前の渡したいからこっちきてくれ」


 流石に一瞬ではわからなかったのか思い出したように言う七葉。俺はその問いに答えて自分の腰に差しているクロスに手を乗っけて話していると今度はクラスメイトが驚きの声を上げる。


 「あれ伊澄?」


 「ほぼ別人じゃん。しかもなんか強そうな装備きてるよ?」


 「あはは……やっぱりこうなったか」


 「いきなりクラスメイトの見た目が変わったらそりゃそうなるでしょ」


 ですよねー。

 いや、俺も予想はしてたけどさ。


 「それでなんで黒竜の装備きてるのよ。制服は……」


 「そう。体の成長が戻ったおかげで制服が破れたんだよ。だから魔石渡したいからお前の部屋に案内してくれ」


 「わかったわ。私もクラスメイトの監視も飽きたしね」


 俺の服装のことを七葉に聞かれて話していると一人の男子と女性が近寄ってきた。

 言わずもがな、正義感のお塊(笑)の天川と佐々木先生である。


 「伊澄くん少しお話が……」


 「伊澄、その姿を説明しろ」


 「嫌だ。する必要がない、戦争に参加するならまだしも参加しない俺はお前らには関係ないだろ?」


 二人の話を聞かずに七葉とともに訓練場を出て行こうとすると今度は肩を天川に掴まれる。


 「クラスメイトじゃないか。なんでそんなひどいこと言うんだい?」


 「クラスメイトなんてただの他人だ。戦争に参加するのなら何人かは確実に死ぬし覚える必要もない」


 「なっ……なんてこと言うんですか!大事なとお友達でしょう!」


 俺の言葉を聞いて先生の理想論が展開される。

 こうなるとうざいんだよなあ……このウザさがなければまだ好意的にできるだろうけど。


 基本仕事のできる佐々木先生だがこの先生は理想論が過ぎる。

 「みんながお友達」なんてこの世界には存在しない。人は全員わかり合うと言うわけじゃないのだから、完全に理想論である。


 「俺の友人はこの中で七葉と……白花さんぐらいか?白花さんはちゃんと覚悟できてるみたいだし。まあ、少しぐらいいいってだけで大して変わらんが」


 「っ……」


 「?どうかした七葉」


 「なんでもないわ」


 なんか七葉が変なところに反応した感じがあったがまあいいか。


 「他の方はどうなってもいいとでも言うんですか!」


 「死んでも悲しいとかはないんじゃないかと思いますよ?」


 「あなたいい加減に……!!」


 佐々木先生がキレたのか手をあげて頬を打とうとしてきたが俺はその腕を掴み顔を近づける。


 「先生、生徒に手をあげるんですか?先生失格ですよ??」


 「くっ…離しなさい!」


 俺は佐々木先生の瞳を見て軽く殺気を叩きつける。

 するとなんの耐性のない佐々木先生は一瞬で顔を青くしてガタガタと震えだす。


 「言っとくがこの世界は弱肉強食、そんな理想論を唱えられるのは強者だけだ。弱者のあなたが強者である俺に口出しするなよ。それに俺が見た限り少なくともこの中でも戦いの才能があるやつは少ない、この分じゃすぐ死ぬと思うぞ?」


 「ひっ……」


 「何悲鳴あげてんの?俺の指導をするんだったらこんな弱い殺気で悲鳴を上げるなよ…甘えんじゃねえ!そんなんで理想論を唱えて俺を巻き込むんじゃねえよ」


 「あ……う……」


 最後に本気の一割ほどの殺気をぶつけて先生を気絶させる。


 「佐々木先生!?」


 天川が気絶してしまった先生に近寄り体を揺すっているが起きる気配はない。

 単純な気絶なんだがこの先生の気絶が天川の怒りを買ってしまったらしい、なおさらつっかかってきた。


 「おい伊澄!佐々木先生に何をした!!」


 「普通に殺気を送っただけだが?」


 「そんなんで気絶するわけないだろう!」


 殺気で気絶するなんてありえないと喚き散らす天川。

 あーめんどくせえ。


 俺は魔力をまとって天川の横スレスレに拳を繰り出す。

 横を掠って行ったその拳は天川の頬を切りそのまま衝撃波でその進行方向にあった壁を破壊する。


 「なっ……」


 「わかったか?俺は話の通じない奴との会話は嫌いなんだ。これ以上ふざけたこと言うのなら……殺すぞ?」


 俺は今度は全体に殺気を飛ばす。


 いい加減自分の置かれている立場を理解してほしいものだ。


 「お前らはこれから戦争するだろ?ならこう言うものに慣れていかないとすぐに死ぬ。殺気の耐性もないのなら騎士達に訓練でもしてもらえ」


 俺は構えを解いてそのまま訓練場を七葉とともに出て行く。

 こんな調子ならすぐ死ぬな。



 せいぜい頑張れよ。





















 「で、あいつらに発破をかけたのはなんで直也」


 七葉の部屋に案内されている途中で話しかけられる。


 「発破?何を言ってるんだ?」


 「あなたがああ言うことをして悪役になるときはその人達に現状を理解してもらうためだもの。六年近く戦ってきたんだからそれくらいわかるわ」


 「……」


 七葉の言葉に俺は黙ってしまう。

 完全に図星だ。確かに今回の行動はあいつらの意識の変化を目的にやったものだ、戦争に参加するのなら自分や仲間の「死」を覚悟してもらわなきゃ困る。


 覚悟無いのなら他の奴らの足を引っ張ることしかしない。


 「自分の体験談かしら?別にあなたのせいで彼らが死んだわけじゃ……」


 「七葉、それ以上言うな」


 七葉の言葉を遮り、俺は低い声でそれから続く言葉を遮った。


 「……失言だったわ」


 「わかってくれるならいいよ。それより魔石は部屋に持って行くが部屋に人はいないよな?」


 「ええ。私は一人部屋だから大丈夫よ」


 部屋の扉の前で確認してから部屋に入り、アイテムバックから七葉の魔石である虹色の魔石を取り出す。


 「どこに置けばいい?」


 「部屋の中央のあたりの置いて。すぐに魔力を回復をするから出てって」


 「はいはいわかりましたよお嬢様」


 俺は部屋の中心に魔石を置いて夕食に話があると言って俺は部屋を出て行く。

 さて、七葉の姿を見たクラスメイトの反応は俺以上かな……?



 「俺はナナリ王に報告するとしようか」






 ♢♢♢


 「それで……そのナオヤ殿は随分と見た目が変わりましたね」


 「まあ、年齢が元に戻ったと言った方が正しいけどな」


 部屋で俺はナナリ王に姿のことを突っ込まれていた。


 「もともと俺の年齢は二十歳だけど元の世界に戻った時に体が召喚された頃に戻ってな。だから精神的には二十二ぐらいなんだよ」


 「そうなのですか。不思議なものですな……それで、ナオヤ殿」


 「なんだ?」


 「確認したのですが…ヴァンパイアを送り届けた後、何をするのでしょうか」


 「ああ、冒険者になってどっかの田舎に住むことにしてみるよ。そしてたまにふらっと旅に出る感じかな」


 「そうですか…」


 「?なにかあったか?」


 少し様子が変なので聞くとどうやら俺たちをこの世界に召喚したこの国の王女様、エルミナ様の様子が変なのだそうだ。どこか沈んでいて元気がないらしい。


 「何か理由はわかるか?」


 「うーむ……わかりませんなあ。あの子は優秀ですので昔から一人で抱え込む時がありましてその問いは自然に立ち直るのを待つしかないのです」


 俺が聞くとナナリ王は難しそうな顔をしてそう答える。

 うーん…可能性はないかもしれんが聞いてみるか。


 「もしかしたら俺たちが原因かもしれん」


 「ナオヤ様たちがですか?」


 「なあ、もともと勇者召喚は何人の予定だった?」


 「え?ああ、最初は五百年前の戦争と同じように四人でした」


 「そうか……」


 俺はそう聞いて考え込む。

 ……考えたくはないが。


 「俺が対処してみよう。それで解決するのかはわからないが」


 「いいんですか?」


 俺の言葉に驚きながらナナリ王は申し訳なさそうに言う。


 「いいよ別に。もしかしたら俺たちが迷惑をかけている可能性があるからな」


 「はい?」


 俺はナナリ王に詮索される前に部屋を出て行く。

 これ以上はあいつも気分が悪くなる話だ。あまり話すことはしないほうがいいだろう。




 俺は魔力索敵をしながら最悪の事態が起こっていないように祈るのだった。














 

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