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6.転生

転生を決めたは言いものの、実際にどんな世界で何をするのだろうか。

いや、まて。そもそも人間なのか?あいつは転生としか言ってない。これで某作品みたいな雑魚モンスターになるのはごめんだ。


「なぁ。転生するのはどんな世界で俺は何に転生するんだ」


「うーん。どうしようかな」


「なんだまだ決まってないのか」


「いやぁ、決まってるよ?でも君に教えるかどうかは迷うね」


「なんでだよ!教えろよ!」


「うーん。そうだなぁ…。まぁいっか。教えてあげるよ」


よし。とりあえず転生前に集められる情報があるなら集め得だからな


「天魔界。それが君の転生する世界の名前だよん」


「天魔界?」


なんだか変な名前の世界だ。まるで少年誌に出てくる別世界みたいななまえだが。一体どんな世界なんだろうか


「それはどんな世界なんだ」


「きっと気にいるよ〜面白い世界だから」


「も、もしかして剣と魔法で魔王や魔物を倒す王道RPG系世界か!?」


「急に鼻息荒くしないの。うーん残念ながらそういう世界ではないかな」


「なっ。じゃあなんだよ、まさか現代社会と同じような世界で普通の人間生活を歩むだけなのか?」


「はっはっはっはっ!そんな世界でもないよ〜!むしろそのぎゃーく」


「逆?」


「そう。人間なんて…一人もいない」


「はっ?!」


人間が…いない?

どういうことだ?


「魔物とか動物だけの世界なのか?」


「それもブッブー。もっと面白いものだと思うよ」


「もう、なんだよ!もったいぶんないで教えろよ!」


「はいはい。せっかちだなぁ。正解するまでクイズしようと思ってたのに〜。ゴホン!では心して聞きなさい。あなたが転生する世界に住むのは〜」


「ごくり…」


「”天使と悪魔”でぇぇぇぇす」


「は?」


「えんじぇるあーんどでびーる!」


「はぁぁぁぁぁ??!」


天使と悪魔??!

つまり神話とかに出てくる神の使いだったり悪さをする存在って事か………?


「どうどう?驚いた??」


「あ、あぁ…。まさかそんな神話的な世界だったなんて…」


「んー。それはどうかな?思ったよりそうでも無いかもよ」


「そうでもない…?」


「まぁそれは自分で確かめるのが早いかもね。あっ!まさか転生やめる気になったりしてないよね?」


天使と悪魔か…俺はどっちに転生するんだろうか。悪魔は悪魔。悪の象徴だしできることならそんな存在にはなりたくないと思ってしまう。


「俺はどっちに転生するんだ。悪魔か?」


「それはしてからのお楽しみとさせてもらうよ。でも安心して君が目指すヒーローにおあつらえ向きの方に転生させてあげようと思ってるから」


「なるほどな…」


ヒーローにあつらえむきか。悪魔がヒーローなはずはない。つまり天使ってことか?

天使なんて柄じゃないのは自覚あるが悪魔になるくらいならむしろウェルカムと言ったところだ


「よし、転生先の話は終わり!じゃあこれからは転生するにあたっての条件の話がありまーす」


「条件?さっき言っていた悲願とやらに関係するのか」


「おおー当たり。んじゃ早速説明を…」


「待て!条件の前に悲願の内を先に聞きたい。それ次第では転生自体どうするかわかんねぇよ。何させられるか分かったもんじゃないしな。最終決断はその後に下す」


こいつの目的とやらが何なのかは分からない以上脳死で判断する訳にも行かないからな。そこはしっかり聞いておきたい


「ダメだ。転生するかどうか決めない限り悲願については何も教えない」


なんだよ。いきなり血相変えて。

そんなに重要なことなのだろうか。どうしたものか。転生し彼女に会えるなら是非そうしたいが…もしその条件がこいつの謀略を叶えるためのものだったりした場合俺はまたあんな悲劇を繰り返す羽目になるのかもしれない…。


いや、もしそうなら俺は何としてでもそれを止める。ヒーローならそうするべきだ。彼女に会い向き合う事は諦めたくないしこいつにもし裏があるなら俺が断っても他のやつを探してくるはずだ。なら…俺が俺が…


「やってやるよ」


「決定。でいいのかな」


「あぁ。転生する。もしお前が提示する条件が良くないことだったとしても飲んだ上で俺はそれを阻止する。俺はヒーローになる男だからな」


「はっはっはっはっ!なんだよそれ!実質的に条件が悪かったら突っぱねる気じゃないか!」


「ち、違う!守った上で阻止するんだよ!」


「はっはっはっ!おもしろーい!もうなんかいいや!君は楽しませてくれそうだ!転生させてあげよう」


「あ、ありがとう?」


どうやら通ったらしい。

さて問題は…


「じゃあ早速。悲願の話だ。単刀直入に言おう吾輩の悲願は我々の世界を救う事」


「世界を…?」


「そう。今君が住んでいた世界と僕達の世界は滅びかけてる」


「滅っ!?」


「だから世界を救う為に転生者に協力して欲しいんだ」


「一体…なんで滅びそうになってるんだ」


「それは…今ここで説明するのは難しいな。それでも条件を達成しようとしていればいつかは掴めるだろうね」


条件。言わばこれは俺の新しい人生での目的の一部になるわけだ。一体どんな要件なのだろうか。


「そうか。んじゃその条件とやらを聞いていいか」


「わかった心して聞いてくれ。吾輩が提示する条件はたったひとつだけ。”女神の心臓”を探し出し破壊して欲しい」


「女神の心臓…?」


待て待て待て。つまり女神を殺せという事か?

ていうか女神なんかがいるってのか?まぁでも天使と悪魔が住む世界だもんな。神の一人や二人いてもおかしくねぇのか。でも待てよ。女神様がなんで世界が滅びるのと関係するんだ?


「女神の暗殺が条件ってことかよ」


「あー違う違う。破壊って言ったでしょ?女神の心臓って言うのは装置の名前。まぁどんな装置かどんな経緯で生まれたのかとかはあっち行ってから色んな人に聞いてみな。吾輩が言っても信じないだろーし…」


装置の名前か…。少しホッとした。

まぁしかしどんな装置かわかるまではこいつの真意は測れないか。


「わかった。条件を飲む」


「よし。契約成立だね!」


「その女神の心臓とやらはどう探せばいい」


「それは吾輩にも分からない。向こうに行ってから自分で探すことだね」


「はぁ?なんだそれ」


「事情があるんだよ〜。ま、そのうち見つかるから大丈夫大丈夫」


「はぁ…」


今までの言動からも何となく思ってたけどなんともテキトーやつだなこいつは。でも不思議と悪いやつっぽく感じないんだよなぁ…。


「それじゃあ転生始めようか」


「え?もうか?」


「へ?嫌なの?」


「いや、そういう訳じゃないけど。結構いきなりで心の準備がこう…ね?」


「そんなの必要ないでしょ!行ける行ける!はい!そこ立って!」


やっぱりテキトー野郎だ。


「こうか?」


「そうそう。それじゃあ行くよー!汝、英雄にならんとする覚悟を決め我が恩寵を身に宿し新しき世界への訪問者としての命を受け入れるか」


「え、えーと?」


「受け入れるか?」


「あー?はい?」


「よかろう。汝の覚悟に神の導きがあらん事を」


そう言ったプリンツィの指が俺の額に触れた。

その瞬間。

とてつもない速さで体が落下した。


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


どこをどう落ちているのか。いや、それ以前に何がどうなっているのかそれすらも分からない。真っ暗な視界に体が落ちていく感覚だけがひたすらに続いている。やがて


プツン____________


何も。感じなくなった。ただ暗闇だけが広がっている俺の目が開いているのか閉じているのかさえも何も感じない。この感覚はさっき味わったのと似ている。そう死んだ時に。単純で無垢な恐怖に苛まれ苦しくなってくる。


「……ろ…」


何かが聞こえた…?


「……い…!……きろ!」


声だ。声が聞こえる。プリンツィなのか?


「おい!起きろ!!!」


バシャア____________!


「はっ!」


体に水が掛かった感触と共に意識と感覚が戻り目が開いた。

今視界の中にあるのは石畳のような…これは床だろうか。そして頭からポタポタと垂れている雫。そしてじんわりと体にある感覚戻ってくる。そう…痛みだ。


「くっ…!」


全身に走る強い痛み。打撲されたような響く痛みだ。

しかし体よりも一番痛いのは頭。ズキズキと細かく痛みが襲ってくる。


なんなんだ。俺は今どうなってる。

そんな困惑と痛みの次に感覚が押し寄せたのは顔だ。どうやら何者かに掴まれたらしい。視覚に映るその手は血管が浮き出るほど強ばっている。その手に無理やり顔の角度を上げられていき視界には新たな物がうつる。それはとてつもない剣幕で俺を睨みつける金髪の男だった。


「ようやく目覚めたか…!地虫め!」


7話に続く

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