17.天賦
体調不良してて全然書けなかった。ちなみにまだ少し不調なのだ
ぐわぁぁぁぁっ!
どうも皆さん、異世界に転生して英雄を目指している男!レグルス・ドラコ・ヴァンテールこと、渡辺樹です!いきなり俺の絶叫スタートで申し訳ない。時系列的には前の話数から二日経ったところです!今俺はネンリケ近くの戦域と呼ばれるステインの住処の森の中で猛ダッシュ中でございます。なんでって?
そりゃあ背後から…
グォォォォォォ!
巨大な熊型のステインがヨダレ垂らしながら追いかけて来てるからだよ!!
「死ぬぅ!死ぬっ!」
こいつ、早すぎる!それに通ったところの木が太さに関わらずバッタバッタとなぎ倒されていく。どんだけ頑丈な身体してんだ!
「おいおい、逃げてばっかじゃ死んじまうぞー」
だるそうな声で鼻クソをほじり出しながら半目のルーギアが並走してくる。
「誰のせいで死にかけてると思ってんだ!」
「おいおい人聞きが悪いぜ?こりゃ特訓だ。天賦の暴走を無くすためには強くなるしかない。手っ取り早く強くなるには実践の場数を踏むこと。それに限る」
「実践が実践すぎるわァ!基礎をまず教えろー!」
「ったく…ごちゃごちゃと…」
急に踏みとどまり構えをとるルーギア
「文句ばっかり言いやがる!」
しっかりと踏み込んだ拳を熊型のステインに放つ。
直撃した途端、ステインの体はとてつもない衝撃でひしゃげひび割れていく。
グォォォォォォ!
最後の断末魔らしき雄叫びを上げ体が崩れていくステイン。
「ま、こんなもんだな」
「す、すげぇ…一撃かよ…」
「習うより慣れろが俺の教え方なんだ。これくらい頑張ってくれねぇと」
「習うも何も、基本のキくらいは教えろよ!まずそもそもなぁ!俺は天賦とやらがなんなのかイマイチ理解してねぇからな!」
「あ、言ってなかったけか?」
こいつ…クソテキトーにやってるな。
天賦使えるようになったら絶対にシバこう。
「天賦っつーのは生まれながらに神から与えられる力、すなわち神からの授かり物だ」
「神から…?」
「そう!どんな悪魔も天使も必ず持って生まれてくる。天命神ミレーナによって授けられる大いなる力…ってやつだ」
どんな悪魔も天使もって事はこの世界にいる全員、必ず何かしらの天賦を有しているのか。ん?まて…ミレーナ?どっかで聞いた………。そうか!思い出した!
あの夢に出てきた神!あいつは確かそう名乗っていた。なら…あの神が天賦を…?
「でもそれじゃあ結構治安の維持が大変じゃないか?各々が力を誇示しようとしたり犯罪の為に力を使おうとしたら…」
「まぁ、ない事はないがその辺は問題ねぇ」
「そんなにしっかり統制されているのか」
「いや、天賦はみな持っているが全員が使える訳じゃない。天賦を知覚し使用するのにもある程度の才能が必要になる」
「そう…なのか」
なら、悪魔の軍の魔兵隊やあの紫髪が言っていた天使の軍と思われる天兵団とやらに所属し名を上げている奴らはかなりのエリートだと思っていいわけだ。
「天賦にはそれぞれ名前が付いているんだ。それは自身が初めて天賦を知覚し使用した時、ふと頭によぎる。例えば、ハヤテの天賦は「兎走卯緋」俺の天賦は「異怖嫌厭」みたいな感じだ」
ほー、なかなかに厨二心がくすぐられる名前ばかりですなぁ。確かにあの紫髪も星河射天みたいな名を叫んでいたような。要はあれは天賦の名前だったのか。
「お、そうだ!その手があったか!」
「な、なんだよいきなり」
「天賦の名前だよ!レグルス!天賦を使えるようになったら名前がわかる。つまり、名前がわかれば天賦が使えるようになるかもしれない!」
「いや…そんな簡単に行くかね…」
「あのなぁレグルス。天賦にとって名前ってのは大事な要素なんだぜ?舐めない方がいい」
全くこのおっさんはふざけてるのか真面目なのか本当に掴みどころがないな。
「てな訳でー?レグルス君の天賦のお名前を発表したいと思いまぁーす!」
「お、おう」
なんか小っ恥ずかしいな。
「ド…!」
ドカーンッ!
な、なんだ!?
突如すぐ真裏が大爆発を起こした。
「レグルス下がれ!」
そう言ってルーギアが前に立つ。ここは戦域の奥深く。記憶の無くした俺がここに隠れている可能性を追って天使や悪魔が来る事はありえないとルーギアとハヤテは結論づけていた。つまり天使、悪魔じゃない。
でも…ステインとも思えない。だって、この爆発がステインだとしたらルーギアの顔が真剣すぎる。
「厄災かっ…!」
ディザスター?なんだそれ?!
爆炎の中から巨大な馬のようなステインが現れる。
馬…いや、煙を羽衣ように纏い鋭い角が額から二本生えたその姿はまるで…麒麟のようだった。
麒麟は大きく口を開くと神力か魔力か分からないエネルギーを溜め込み始める。
「逃げろっ!」
ルーギアが俺の体を押し出した。その瞬間、麒麟が放ったエネルギー波がルーギアを襲う。
「ルーギアぁぁっ!」
ルーギアの天賦「異怖嫌厭」は本人曰く天賦による影響を全て無効化するというものらしい。つまり、天賦に対する特攻の天賦。純粋なエネルギーによる攻撃には異怖嫌厭は無力。つまり、あの攻撃をルーギアは防ぎようがない…。
徐々に煙が晴れてくる。そこにはボロボロのルーギアが膝を着いた状態でいた。
「ルーギアっ!」
「ダメだ…来るな…!」
ヒュオオオオオ!という鳴き声のような音が響いた。どうやらまた麒麟がエネルギーを貯め始めたみたいだ。このままじゃ…ルーギアが…。
「ルーギア、俺がやる」
「何言って…また暴走してぇのか…!」
「でも、このままじゃお前も俺も死ぬんだろ」
「それは…」
学ばねぇな、俺。まーたこの展開だよ。でもしゃあねぇ。これしかねぇんだからな。グッと拳を強く握ると赤いオーラの気配を感じる。いける。あの力を…使える。集中しろ。オーラを呼びだせ。
ホァァァァァァァッ!
麒麟が鳴き声を轟かせるのと同時にまたしてもエネルギーを放出した。とてつもない威力だ。何もせず受ければ即死だろう。
「来い!俺のオーラ!」
天に高々と上げた俺の拳からあの赤いオーラが放出された。
「うぉぉぉぉっ!」
拳に集中させろ!貯めて…放つ!
拳にオーラを集中させ前に突き出す。するとオーラが放たれ凄い勢いでエネルギーへと突っ込んでいく。
ゴゴゴゴゴゴ!
オーラとエネルギーがぶつかった途端、激しい地鳴りが辺り一面に広がった。
「レグルス…!」
「うぉぉぉぉぉっ!」
次第に均衡が崩れオーラが押されていく。
クソッ。やっぱり負けそうになってる…。だが…こんなんで諦める俺じゃねぇ!もっともっともっともっともっと!強くオーラを感じるんだ!
オーラを認知しようと意識を向けた時、不思議な感覚が俺を包んだ。頭の中に…ある名前が思い浮かぶ。
そうか、これが…俺の天賦名…!
ホァァァァァァァッ!
「あいつ…また…威力を上げやがった…。レグルス!もいい!」
「いや…ルーギア!俺に任せろ!」
「レグルス…?」
「俺の…天賦。はっきりとわかったぜ。これが天賦を使うって事か!」
「まさか…名前を?」
「あぁ。おい!クソ野郎!よく聞いとけよ!」
さっきまで押され気味だったオーラは徐々に盛り返していく。逆にエネルギーの方を押し返していくかのようにまた均衡が取れ始める。
「我竜天睛!それが英雄の悪魔の…天賦の名だぁぁあっ!」
エネルギーとオーラはぶつかり合いはより激しくなり空中で爆発が起こる。オーラはまだ体に纏えてる。
でも…暴走はしてない。よし…!名前を知れたお陰でコントロールが効いてきた。戦える。俺でも!
だがこいつは強すぎる。俺一人でどうにかなんて絶対に無理だ。ここは逃げるか作戦を立てるかしねぇと。
とっとと成長して一人前にならなきゃな。これは強化イベントみたいなもんだ。
つーわけで、俺の糧になってくれよ麒麟野郎!
「かかってこいやぁぁぁっ!」
18話に続く




