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Vivid World〜彩られた世界〜  作者: 竜音(ノンイン)
収集家の剣士・イヅル編
28/30

9.決闘決着



「ここにはらぬようじゃのう……」



 鉱山内を歩き回り、行き止まりに着いてしまったクロセルは肩を落としながら言う。

 彼女はすでに結構な距離を移動している

 通算すれば約10㎞に到達するのではないだろうか。



「仕方がない。戻るとするかの」



 そう呟いてクロセルは通路を振り返る。


──ニャアオウ……


 それとともに、どこからか猫の鳴き声のようなものがクロセルの耳に届いたのは同時だった。

 鳴き声が聞こえたことにクロセルは口角を上げ笑みを浮かべる。



「向こうじゃな!」



 嬉しそうにしながらクロセルは再び走り出す。

 そして、あっという間にクロセルの姿は通路の奥の闇の中に消えていった。



   ‡   †   ‡



──ギィンギギギィィインッ!


 日本刀と手甲がぶつかり合い火花が散る。

 互いに攻撃を打ち合って何回目だろうか。

 見る限り、疑似体力の量では明らかにユウヤの方が少ない。

 しかし、それでも冒険者の表情に油断はなかった。



「くっ……。削れる量が少なすぎる……」

「受ける総ダメージは小技の組み合わせなら800、大技一発なら950。そして攻撃するモーションの時間は平均して5〜6秒程度。回避や防御を組み込めば防げなくはないな」



 悔しそうにする冒険者にユウヤは呟く。

 しかし、ユウヤ自身も冒険者の〝付与能力アビリティ〟によってあまりダメージを与えられていない。

 仮に当たるとしても〝武技アーツ〟の組み合わせによる連続攻撃の一部が当たる程度なのだ。

 そうこうしているあいだにユウヤの疑似体力が〝付与能力〟によって再び回復していく。



「ちぃっ……! 『斬叉鈴冥ざんされいめい』!」



 小さく舌打ちをし、冒険者は日本刀を素早く振るう。

 素早い4連攻撃にユウヤはダメージを受けながらも冒険者に向かって前進していった。

 しかし、冒険者はさらに日本刀を構える。



「これでとどめだ! 『天葬鈴月てんそうりんげつ』」



 その掛け声と共に冒険者はユウヤの喉めがけて突きを放つ。

 不意打ちの突き、そして前進していたこともありユウヤは回避する間もなく冒険者の持つ日本刀によって喉を貫かれた。

 その瞬間、ユウヤの疑似体力が凄まじい勢いで減少していく。

 そして、あと僅かでユウヤの疑似体力が無くなりそうになった時、疑似体力の減少がピタリと停止した。



「なっ?!」



 冒険者の表情に驚愕の模様が浮かぶ。

 それもそうだろう。

 倒したと思える攻撃で疑似体力を削りきれなかったのだから。

 喉を貫いた相手がそれを意に介さずに日本刀を掴んできたのだから。



「ゲホッ……捕ま……えた……ぜ?」

「くっ……! 離せ!」



 やや咳き込みながらもユウヤは左手で日本刀を完全に握り締め、右手で冒険者の服を掴んだ。

 冒険者はユウヤの手から逃れようとするも、いかんせん崩れてしまった体制によりあまり強く動くことができず、さらには近すぎる距離によって逃れられない。



「喰らいな、師匠マスターから教わった、回避不能〝創技オリジナル〟! 『煌花恋月おうかれんげつ』!」



 そう言ってユウヤは喉に突き刺さる日本刀を投げ捨て、冒険者の服を掴んだ。



「ブレイク!」

「がっ……?!」



 その掛け声と共に冒険者の身体が浮き、その身体に拳が5発打ち込まれる。

 しかし、ユウヤが冒険者の服を離していないので冒険者の身体が飛んでいくことはない。



「ディザーズ!」

「いぎっ……?!」



 さらにユウヤは止まることなく冒険者の身体を地面に叩きつけた。

 何度も何度も冒険者の身体を地面に叩きつける。

 4回ほど叩きつけてからユウヤはさらに次の攻撃へと移った。



「ドレッドルート!」

「げふぅ……?!」



 そう言うと同時にユウヤは冒険者の服から首へと動かし掴む。

 流れるような動作で冒険者の身体を頭上に持ち上げ、腹部に膝を打ち込んだ。



「フェアリーダンス!」

「ぐがぁっ……?!」



 さらにユウヤは冒険者の首を掴んだまま、身体を回転させて踵落としを叩き込む。

 首を掴まれているために踵落としの衝撃が逃れることはない。



「エリアルライド!」

「ご、ががが……?!」



 続けてユウヤは冒険者の首を掴んだまま、壁に向かって走り出した。

 そして、ユウヤは冒険者の身体を壁へと叩きつける。

 さらにユウヤは冒険者の身体を壁に当てたまま走っていく。

 ごつごつとした壁により冒険者の身体に衝撃が与えられ続ける。



「ハウリングバースト!」

「あがぁっ……?!」



 足を止め、ユウヤは冒険者の腹部に向けて掌底を打ち込む。

 掌底を打ち込むのと同時に首から手を離していたので冒険者の身体は上空へと打ち上げられた。

 元々、疑似体力がある程度は減っていたこともあり、冒険者の疑似体力はすでに5分の1よりも少なくなっている。



「がふっ……。かはっ!」



 荒い呼吸のまま冒険者は空中で体勢を整え、すぐに地面の方を向きユウヤの姿を探す。

 しかし、ユウヤの姿はどこにも見当たらなく、ユウヤの姿をを見つけることはできなかった。

 直後、冒険者の身体を影がおおう。

 慌てて冒険者が見上げると、そこには両手を組んだユウヤの姿があった。



「どっか〜ん♪!」

「なにその掛けごっふぅう……?!」



 気の抜けるような掛け声に突っ込むのと、冒険者の身体に両手が鎚のように叩き込まれたのはほぼ同時だった。

 ちなみに掛け声とは裏腹にユウヤの表情は普通で、かなりシュールな雰囲気を出している。



「なん……だよ……。さっきの、掛け声……」

「俺じゃなくてこの〝創技〟を創った師匠に言うんだな」



 地面に叩きつけられたことによって倒れた体勢になった冒険者が尋ねる。

 それに対してユウヤは特に気にした様子もなく。

 ウィンドウを操作して巨大な斧を取り出した。



「アイテム。『一絶両断いっぜつりょうだん』」

「……今回は俺の負けか。だが、次は勝つ」

「そうか」



 ユウヤの握る斧を見、冒険者はため息を吐く。

 短く答えてからユウヤは斧を振り上げる。

 そして、ユウヤの握る斧は冒険者の頭へと吸い込まれるように振り下ろされていった。


  ──DUEL END──


  ──WINNER 〝YUUYA〟──


 ブザー音とともにユウヤの視界にその文字が現れるのは同時だった。















斬叉鈴冥ざんされいめい

〝剣士〟の〝武技〟。

素早く4連続攻撃を行う。

〝天葬鈴月〟と同時に覚えることができ、組み合わせとして使用できる。



天葬鈴月てんそうりんげつ

〝剣士〟の〝武技〟。

相手の喉めがけて突きを放つ。

〝斬叉鈴冥〟と同時に覚えることができ、組み合わせとして使用できる。



煌花恋月おうかれんげつ

花の戦姫(ブルーヴァルキュルム)〟が創った〝格闘士〟の〝創技〟。

「ブレイク」「ディザース」「ドレッドルート」「フェアリーダンス」「エリアルライド」「ハウリングバースト」「どっか〜ん♪」の掛け声に合わせて連続攻撃をする。

「ブレイク」相手の身体を掴み、拳を5発打ち込む。

「ディザーズ」相手の身体を4回ほど地面に叩きつける。

「ドレッドルート」相手の首を掴み、身体を頭上に持ち上げてから腹部に向けて膝を打ち込む。

「フェアリーダンス」相手の首を掴んだまま、身体を回転させて踵落としを叩き込む。

「エリアルライド」相手の首を掴んだまま壁か地面に叩きつけ、押し当てたまま走る。

「ハウリングバースト」相手の首を掴みながら腹部に掌底を打ち込み、上空に打ち上げる。

「どっか〜ん♪」上空に浮いている相手の身体に身体を回転させて組んだ両手を叩き込む。

この技を創った理由は「〝ぷ●ぷよ〟にはまっていたから」らしい。



一絶両断いっぜつりょうだん

巨大な両刃の斧。

重量があり、切断するよりは重量で叩き斬る使い方が主となる。









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