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Vivid World〜彩られた世界〜  作者: 竜音(ノンイン)
収集家の剣士・イヅル編
27/30

8.拳VS日本刀



 拳と日本刀。

 明らかなまでに攻撃範囲の違う武器で2人は戦う。



「ふっ!」



──ザザザンッッ!


 短く息を吐きながら冒険者は3連続で斬撃を放つ。

 それをユウヤは、身体を横に逸らすことによって回避した。

 さらに、ユウヤは回避した直後に踏み込み、拳を放つ。

 しかし、冒険者も振り下ろした(●●●●●●)姿勢のまま(●●●●●)素早く後方に跳び、ユウヤの拳を回避する。



「なかなかやるな……」

「劫爪もな」



 わずかに減少している疑似体力を横目にユウヤは言った。

 それに対し冒険者は構えを解かずに答える。

 冒険者の疑似体力はほとんど減っていない。

 ユウヤのみがダメージを受けているのだ。



「(……さっきの3連斬からの回避の動きは明らかにおかしい)……ちょっと、調べてみるか」



 そう呟き、ユウヤは冒険者に向かって駆け出した。

 駆けてくるユウヤに冒険者は日本刀を正面に構える。

 それを見、ユウヤは姿勢を前傾にし、さらに加速した。



「『閃卦せんか』!」

「喰らわない! 『堅鎧けんがい』、さらに『裂砕震牙れっさいしんが』!」



 日本刀を振り下ろし、冒険者は〝武技〟名を叫ぶ。

 それと同時にユウヤも〝武技〟名を叫び、その身体を黒色の煙のようなものが包み込んだ。

 そして、ユウヤは身体をひねって振り下ろされる日本刀を回避し、斬り上げを放とうとする日本刀に向けて左足のかかとを叩き込む。

 さらにユウヤは右足を振り下ろし、震脚しんきゃくを打ち込んだ。

 あまりにも強い震脚の衝撃に冒険者は日本刀から手を離してしまう。



「くっ……!」

ちっ!」



 手を押さえつつ冒険者はユウヤから距離をとる。

 そんな冒険者の姿を確認しつつ、ユウヤは左右に向けて何かを放った。

 冒険者はユウヤの放った物を確認しようとするが、正面から日本刀を投げつけられ、やむなく日本刀を掴み取ることに集中した。


──カカンッッ!


 硬い物のぶつかる音がしたかと思うと、冒険者は素早く身体を動かした。

 しかし、その動きは明らかにおかしい。

 なぜなら日本刀を掴み取りな(●●●●●)がら動いた(●●●●●)のだから。

 そんな冒険者の動きにユウヤは口角を上げ、ニヤリと笑みを浮かべる。



「なるほど……。自動回避オートパリィ型の〝付与能力アビリティ〟だな。」

「バレたか……」

「あそこまで違和感のある避け方をすればな」

「だが、当たらないことに変わりはない。このままなら俺の勝……なっ?!」



 ユウヤの言葉に冒険者は驚きつつも、余裕の表情で疑似体力を見る。

 しかし、その表情もすぐに驚愕に変わる。

 なぜならユウヤの疑似体力が最大値にまで回復していたからだ。



「そっちは自動回復オートヒール型じゃないか……」

「はっ……。長くなりそうだ」



 そう言って、2人は再びぶつかり合った。



   ‡   †   ‡



 ところ変わって、クロセルはルビィキティの鳴き声が聞こえた方向に向かって走っていた。



「こちらから聞こえたはずなのじゃが……」



 クロセルは首をかしげながら呟いた。

 周囲を見渡しても見えるのは鉱山の壁と徘徊しているモンスターの姿だけ。

 ルビィキティの姿なんてどこにも見当たらない。

 不意に、1体のラチナドラゴが現れ、クロセルに向けて咆哮を上げた。

 どうやらクロセルを敵として認識をしたらしい。



「鉱物系のモンスター……。厄介じゃのう……」



 ラチナドラゴの上げる咆哮に耳を塞ぎつつクロセルはラチナドラゴへと駆け出し接近する。


──ブオンッ!


 瞬間、クロセルへと巨大なドラゴンの爪が迫っていった。

 それをクロセルは身体をかがめることによって回避する。



雑作ぞうさもなきことよの」



 そう言ってクロセルはラチナドラゴの下に潜り込み、腹部を蹴り上げた。

 しかし、ラチナドラゴは鉱物系のモンスター。

 当然ながら物理攻撃にほとんど効いた様子はない。



「これならどうじゃ?」



──ガゴゴゴンッッ!


 さらにクロセルは途切れずにラチナドラゴの腹部を蹴り続けた。

 腹部を蹴り続けるクロセルを鬱陶しく感じたのか、ラチナドラゴはまるで蚊でも叩くかのように爪で攻撃をする。

 ラチナドラゴの攻撃を確認し、クロセルはラチナドラゴの腹部を蹴って跳び上がった。

 そして、その爪は止まることなくラチナドラゴ自身の身体を傷つけることとなった。

 自身の爪による一撃は容易にその身を削る。

 予想外の自爆にラチナドラゴはその身体をけ反らせた。



「隙ありじゃ。砕けい!」



 ラチナドラゴが仰け反るのと同時にクロセルは掌を向ける。

 瞬間、桜色の魔力が集束しハートの形を形成していった。

 そしてハートの魔力弾がラチナドラゴの腹部に向かって放たれる。


──キュインッ……ギュガァァアアッッ!


 放たれた魔力弾がラチナドラゴの腹部についた爪痕に直撃した。


──ガリガリガリガリィッッ!


 金属を砕く音をたてながら魔力弾はラチナドラゴの腹部を削っていく。

 やがて、魔力弾はラチナドラゴの内部に埋もれ見えなくなった。

 次の瞬間、ラチナドラゴの身体全体に罅が広がっていく。


──ビキ、ビキビキビキビキ……バガァァアアンッ!


 罅が全体に広がり、大きな音をたててラチナドラゴの身体は砕け散る。

 そして、砕け散ったラチナドラゴの身体が光の粒子となって消え、後には1つの石が落ちていた。



「ふむ? よく分からぬが拾っておくかの」



 そう言ってクロセルは落ちていた石を回収し、ポケットにしまった。



「さて、と。時間を消費してしまったようじゃし。急いで探すとしようかの」



 軽く伸びをし、クロセルは通路の奥を確認して走り出す。

 彼女がルビィキティを見つけることができるのかは、まだ誰にも分からない。
















閃卦せんか

〝剣士〟〝斬刀士〟の初期〝武技〟。

斬り下ろしを放ってから素早く斬り上げる。



堅鎧けんがい

〝格闘士〟の〝技能〟。

発動した場合、5分間だけ防御力が上昇する。



裂砕震牙れっさいしんが

〝格闘士〟の〝武技〟。

踵落としを打ち込んでから素早く震脚を叩き込む。









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