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『証拠保全は完璧です。追放令嬢は有能な親友と氷の公爵と組み法廷ざまぁを始めます〜慰謝料請求?倍返しで合法的に買収しますが〜』  作者: 月神世一


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逃げ道などありません。法と経済による完全論破

逃げ道などありません。法と経済による完全論破

王城の大広間に、ヒラヒラと舞い落ちる数多の羊皮紙。

それは、サクヤがグランツ商会の地下金庫から回収した「裏帳簿」の写しだった。

床に散らばったそれを拾い上げた貴族たちは、そこに記された生々しい賄賂の額と不正な流通操作の記録に目を剥き、次々と怒りの声を上げ始めた。

「これを見ろ! 先月の魔石高騰の裏で、宰相閣下がグランツ商会からこれほどのキックバックを受け取っていたぞ!」

「あくどい……! 我々から巻き上げた税と利益が、すべてこの二人の懐に入っていたというのか!」

広間の空気は完全に逆転した。

つい先ほどまでルーファスに同調し、私を罪人扱いしていた貴族たちも、保身と正義感を盾にして一斉に手のひらを返し、ルーファスと宰相を糾弾し始めたのだ。

「ええい、黙れ黙れぇっ!」

四面楚歌となった広間の中心で、悪徳宰相が顔を真っ赤にして怒鳴り声を上げた。

彼は額に脂汗を浮かべながら、バルコニーに立つサクヤ、そして氷の防壁に守られた私たちを血走った目で睨みつける。

「捏造だ! そのような紙切れ、いくらでもでっち上げられる! 私はこの国の国政を担う宰相だぞ。たかが辺境公爵の雇われ女が、私を愚弄するか! 衛兵、そいつらを今すぐ捕らえ――」

「雇われ女ではありませんわ。アルヴィン公爵家、ならびにアエギス商会の法務代理人です」

サクヤは極上の営業スマイルを一切崩さず、宰相の怒号を冷ややかに遮った。

「それに、捏造だと仰いますが……私、法務の専門家ですので、『証拠能力の担保』には人一倍気を配っておりますの。この裏帳簿の原本は、すでに王都の『王立監察局』に提出済みです。宮廷魔導師による筆跡鑑定、および魔力痕の解析も完了しており、『間違いなく宰相閣下とルーファス様ご本人の直筆である』という公式な証明書も発行されておりますわ」

「な、監察局だと……!?」

サクヤの用意周到すぎる言葉に、宰相はワナワナと唇を震わせた。

王立監察局は、国王直属の独立機関だ。宰相の権力すら及ばないその場所に、すでに裏が取れた状態で証拠が持ち込まれていたと知り、彼は完全に言い逃れの道を絶たれたのだ。

「――アルヴィン公爵の事前報告にあった通りであったな。よもや、我が国の宰相がここまで腐敗していたとは」

その時、大広間の奥にある重厚な扉が開き、国王の名代である第一王太子殿下が、近衛騎士団を引き連れて姿を現した。

「で、殿下……! こ、これは誤解でございます! 私は国のために――」

「見苦しいぞ、宰相。監察局からの報告書は、すでに私の手元にも届いている。貴族の地位を悪用した私腹の肥やし、許されるものではない」

王太子殿下が冷たく言い放つと、近衛騎士たちが素早く動き、宰相の両腕を拘束した。

「離せ! 私は宰相だぞ! アルヴィン公爵、貴様ぁぁっ、いつか必ず後悔させてやるからな……!」

捨て台詞を吐きながら大広間から引きずり出されていく悪徳宰相の姿を、クラウス様はただ冷ややかな目で見送った。

残されたのは、最大の後ろ盾を失い、床にへたり込んだルーファスただ一人。

「あ……あ、あ……っ」

ガタガタと全身を震わせる彼に向け、クラウス様は指を鳴らした。

パキンッ、と音を立てて、私たちを囲んでいた『氷の防壁』が一部だけ解除される。

「さて。お前の頼みの綱であった宰相は失脚した。お前が捏造した『横領』の罪も、『アイデア盗用』の嘘も、すべて白日の下に晒されたわけだが……何か言い残すことはあるか、ルーファス・グランツ?」

クラウス様の氷のように冷たい声音と、圧倒的な強者のプレッシャーに当てられ、ルーファスはヒィッと情けない悲鳴を上げた。

だが、プライドと自己顕示欲の塊である彼が、最後に選んだ行動は――この期に及んでの「命乞い」と「責任転嫁」だった。

「あ、ア、アカネ! 俺が悪かった! 全部、全部あの宰相に脅されてやったことなんだ! 俺は逆らえなかっただけで……!」

ルーファスは床を這うようにして私に近づき、すがりつくような目で私を見上げた。

「そ、そうだ、俺たち、婚約者だったじゃないか! 俺はお前の才能を誰よりも買っていた! だから、もう一度俺の下に戻ってきてくれ! 俺のグランツ商会で、お前のその素晴らしい才能をもっと輝かせてくれ! な!?」

そのあまりにも身勝手で見苦しい言葉に、広間の貴族たちですらドン引きして言葉を失っていた。

自分の非を一切認めず、最後は「女にすがりついて生き延びよう」とする底の浅さ。

「……万死に値するな」

クラウス様が静かな怒りを込め、白銀の剣の柄に手をかけた。彼から発せられる殺気で、周囲の気温が急激に低下していく。

「お待ちください、クラウス様」

私は彼の腕にそっと手を添え、剣を抜くのを制止した。

そして、床に這いつくばる無様な元婚約者を、冷たく見下ろした。

「戻る? どこへですか? 不正が暴かれたグランツ商会は、明日には倒産しますわよ」

「と、倒産……!?」

「ええ。サクヤ、教えてあげてちょうだい」

バルコニーから降りてきたサクヤが、私の隣に並び立ち、羊皮紙を一枚取り出した。

「試算いたしました。宰相への贈賄の罰金、不当な市場操作に対する違約金、商業ギルドからの除名に伴うペナルティ……そして何より、我がアエギス商会への営業妨害および、アカネに対する名誉毀損の賠償金。ざっと見積もって、金貨百万枚といったところでしょうか」

「ひゃ、ひゃくまん……!?」

サクヤが告げた絶望的な金額に、ルーファスの目が裏返りそうになる。

「グランツ商会の全資産、並びにあなた個人の私財をすべて売却しても、到底払いきれる額ではありませんね。王都最大の商会は、本日をもって莫大な借金を抱えたただの『負債の山』です。慰謝料など、払える状態ではありません」

「う、嘘だ……俺の、俺の商会が……俺の地位が……!」

ルーファスは頭を抱え、床に額を擦り付けて絶望のうめき声を上げた。

王都最大の商会の御曹司というプライドも、富も、名声も。

すべてが彼の手から滑り落ち、二度と這い上がれないどん底へと真っ逆さまに叩き落とされたのだ。

暴力や魔法で傷つけるよりも、遥かに重く、残酷な『法と経済による完全論破』。

これが、私から努力と居場所を奪おうとした男への、極上のざまぁ(公開処刑)の結末だ。

「ふふっ。証拠保全は完璧でしたわね、サクヤ」

「ええ、社長アカネ。実に鮮やかな法廷闘争でした」

私とサクヤが微笑み合っていると、クラウス様が一歩前に出た。

彼は絶望に打ちひしがれるルーファスを見下ろし、極めて冷酷な、それでいてマリーシア(狡猾さ)に満ちた笑みを浮かべた。

「だが、絶望するにはまだ早いぞ、ルーファス・グランツ」

「……え?」

涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしたルーファスが、顔を上げる。

「お前が抱えたその莫大な負債を、一つだけチャラにしてやる方法がある」

クラウス様の言葉に、ルーファスの目に微かな希望の光が宿った。

しかし、その光は次の瞬間、さらなる深い絶望の淵へと叩き落とされることになる。

私、サクヤ、クラウス様の三人は、まるで示し合わせたかのように、全く同じ『悪魔の笑顔』を浮かべた。

さあ、投獄されるだけで終わると思うなよ。

私たちの本当の目的は、あなたのすべてを合法的に『奪い尽くす』ことなのだから。

第11話をお読みいただき、誠にありがとうございます!

サクヤの完璧な法務知識と、王立監察局への事前根回しによって、悪徳宰相が完全に失脚しました!

そして、孤立無援となったルーファスの見苦しすぎる命乞いと責任転嫁。それを冷酷に切り捨てるアカネとサクヤのコンビネーション、スカッとしていただけたでしょうか?

金貨百万枚という絶望的な負債を抱え、どん底に落ちたルーファスですが……アカネたちの反撃は「ただ借金まみれにする」だけでは終わりません。

「サクヤの有能さが限界突破してる!」「ルーファスざまぁみろ!」「公爵様の悪魔の笑顔にゾクゾクする!」と思っていただけましたら、

ぜひ画面下部(または上部)の【☆☆☆☆☆】の評価ポイントから、星をタップして応援していただけますと、作者の執筆の最強の原動力になります!

(※皆様の星が、この後のざまぁ展開をさらに痛快にします!)

【ブックマークに追加】も、どうかよろしくお願いいたします。

次回、クラウス様とアカネによる、容赦のない「M&A(商会まるごと乗っ取り)」の宣告!

ルーファスからすべてを奪い尽くす、極上のカタルシスをお楽しみに!

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