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捨てられる予定の皇妃ですが、皇帝が前世の推しだと気づいたのでこの状況を楽しみます! 関連話  作者: 池中織奈


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「ランジネットは私の奥さんで、唯一皇帝と対等な存在なんだよ。」―新米皇妃、頑張ります⑨―

「ランジネットの対応次第で、私の方もどう動くか考えよう」



 ヴィダディは平然とそう口にして、楽しそうな様子を浮かべている。

 ランジネットがどんな行動を起こしても、気にならないのだろう。寧ろそれを後押しするつもりしかないのかもしれない。



「ありがとう。どう動いたらいいか悩むけれど、ヴィダディが背中を押してくれるならやりようが幾らでもありそうだわ」



 例えば夫であるヴィダディが味方でなければ、ランジネットは此処まで穏やかな気持ちでは居られなかっただろう。今はまだ、ランジネットはヴィダディという存在が居なければ動けないほど、帝国内での影響力は少ない。

 まだ何も、成し遂げられていない皇妃なのだから。




(まずは……そうね。情報は正しく社交界に広めてもらう。皇妃である私が不快な目に遭ったというだけでも、色んな方が噂はしそう。とはいえ、やりすぎてはならないから適度に様子は確認してもらうべきね。こういう時、どこまでやったらいいのだろうか。そのあたりが考えてみると難しい)




 皇妃としてやられっぱなしで全て受け入れるという選択肢はない。ただし、ランジネットが情報を広めれば一瞬で広まるだろう。嘘偽りを口にするつもりは一切ないが、幾らランジネットがそうしていたとしてもあることないこと、噂し始める人は少なからずいるだろう。


 そう言う相手が“皇妃のために”なんて勝手な言い分をされても困る。だから許可していないことはされないようにしなければならない。



(考えてみれば私が望むようにするためには、沢山の人達の助けをかりないといけないのよね……。どの範囲まで力を借りていいのかしら)



 ランジネットはまだ、皇妃になったばかりでどこまで行っていいのかも全て手探り状態である。




「帝国に仕えてくれる方々の力を沢山借りなければならないかもしれないけれど、どこまで動いてもらっていいの?」

「どこまでって?」

「私のやりたいようにするなら、沢山、皆さんの力を借りることになるの。私一人だとどうしようもないことが多いから。些細なことでもやってもらわなければならないかもしれない。でも皇族に仕えている方にそんなことをやってもらうのもどうなんだろう? と少し考えてしまったの。どの程度の、何人ぐらいなら私の私用で動かしていいんだろうって」



 ランジネットがそう口にすると、ヴィダディは楽し気にくすくすと笑った。




「ランジネットは私の奥さんで、唯一皇帝と対等な存在なんだよ。だから、どれだけ力をかりたらいいかなんてそもそも考える必要はない」


 そう言ってヴィダディはまっすぐにランジネットの目を見て、続ける。




「だから、ランジネットは幾らでも彼らを使っていいんだ。帝国に仕える者達は、皇族のために動いてくれる存在なんだから。寧ろ新しい皇妃になったランジネットのために動くことを喜ばしく思うだろう。ただ流石に皇妃として民から反感を持たれる行動をやり続けるのは問題だけど、そういう時はちゃんと私が止めるから本当に好きにやってもらっていいんだよ」

「幾らでも動かしていいだなんて……、逆にそう言われると心配になるわ。私は皇妃としてヴィダディの奥さんとしてどうなんだろう? と思われることが嫌だと恐れているのかもしれない。皇妃になったばかりで、お義母様のように周りから慕われる存在になれるのかどうかとか色々考えてはいるの」


 ランジネットは、まだ皇妃になって少ししか経っていないのでそのあたりの采配が上手く出来ない。その点も踏まえて不安に思うことはやっぱり多い。

 それに皇妃として、皇帝と対等であることもとてつもない重圧だ。



 帝国の皇妃になると決めたのはランジネット自身である。それでもこうして自分の立場を実感する場面が来ると、そんな権力を持っていることに恐怖もする。

 嫁ぐ前よりもずっと、権力を手にし、その言葉一つで人の人生が左右される。



「無理に考える必要はないし、そもそも周りがどう思っているかって最後に考えればいいことだ。まずはランジネットが何をしたいか。その意思を優先して構わない。私はランジネットが国に損害を与えるような選択はしないと思っているし、大きな事を起こす時は相談してくれるって分かっているから」




 そんなことを言われたランジネットは、夫が自分に甘すぎることにびっくりしてしまう。ヴィダディは冷たい一面も持ち合わせている。皇帝として何かあった際は冷静に判断していることも知っている。

 周りから冷たいと言われても、何か反論をされたとしても自分の意思で決めて、責任を負う。

 それでも妻や兄弟達などのことはそれはもう大切にしている。




「ありがとう。その期待に応えられるように頑張るわ。まず、どうしたいか纏めたら全部ヴィダディに共有するから」



 ランジネットはそう言って、にっこりと微笑んだ。



(ヴィダディは身内の前では優しい笑みを浮かべるのよね。他ではこんなに笑わないって聞くのに。それでいてどこまでも妻となった私に寄り添ってくれている。それに私のことを信じてもくれているのだから、私もそれに応えられるようにしたいものだわ。一歩ずつでも、少しずつでも皇妃として認められるように全力を尽くす。今はまだ皇帝はお義父様で、皇妃はお義母様な印象の方が強いかもしれない。特に後者はそう。だから少しずつ、私達のことを周りに知らしめさせるのも重要だし……)



 そこまで考え込んで、もう夜が遅いので今日は眠ることにした。

 ――翌日になったらまたどうするか、考えて動こうとそうランジネットは決意する。


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