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ダンジョンはお好きですか?〜祝福され呪われた俺達は迷宮を彷徨う〜  作者:


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役に立てました?

 坂の先は行き止まり。

 残念だけど、予想は的中した。


 浅層よりも魔素が濃く感じたのも、魔素溜まりが原因だった様子。


 けれど予想していたので、思ったよりも落胆はしていない。


「横穴とかも、なかったよ」


 先に進んでいた静寂さんは、周囲のチェックも済ませていた。


「じゃあ。さっきの場所に戻って、そこで野営をしよう」

「そうね」

「おう」


 冷静に、予定通りに行動する。


「マッピングはしてあるから。残念だったけど、これはこれで探索データとしては有効だよ」


 僕は皆に向けて、書き込んでいたノートを広げて見せた。


「だな。ありがとう」

「ご苦労様です」


 お礼を言ってもらえた事で、少しでも役に立てたんだと実感する。


 嬉しい。


 マッピングした情報は探索者ギルド(組合)に提出して、未登録の情報だったならある程度の情報料が貰える。


 人気がないルートだったし。佐藤くん・木嶋くん・静寂さんがルートを調べていたのに、行き止まりになっている事を知らなかった。


 未登録の可能性は高そうだ。


 浅層だから大した金額にはならないだろうけど、そこは気にしない。

 お金の為じゃないから。


 探索者ギルドに提出しておけば今後、どこかの誰かの為になる。

 無駄足になる事を防げる。


 そうやって、誰かの支えになっていく。


 サポーター冥利に尽きるというものだ。


「行き止まり、か。予想していたけど、クソっ!」


 ドンッ!


 木嶋くんはショックだったのか、腹いせに壁を一発殴りつけた。


 その瞬間。


 殴った衝撃で反応したのだろう。


 突然壁一面に大きな魔法陣が浮かび上がり、全員の身体の前にも小さな魔法陣が浮かび上がった。


「「「えっ?」」」

「トラップだ!」


 直ぐ様、佐藤くんが叫ぶ。


 他の皆は魔法陣に驚いたせいで、身体が硬直している。


 僕は、立花先生に言われた言葉を思い出していた。


(サポーターなら何があっても冷静に、瞬時に判断しろ)


 僕はその言葉の通りに、反射的に、瞬間に、思考を巡らせる。


 時間が、ゆっくりになった様に感じた。


 この魔法陣は、転移の魔法陣。

 本の通りだとしたら。

 発動すれば、ダンジョンのどこかへと飛ばされる。


 やばい。


 いや、焦るな!


 僕等を見守っていた付き添いの担当者がこちらへと走ってきているのを、視界の端に捉えた。

 けれど、距離がある。

 魔法陣の輝きが強くなってきている。

 助けはきっと、間に合わない。


 トラップに反応した佐藤くんが探索出発時に手渡されていた魔石、入口に戻れる緊急避難用のリ・スタート(再出発)の魔石を取り出そうとしていた。

 試験は失敗扱いになるけれど、無事に帰る事を優先した良い判断だと思う。

 だけど、今は無理だ。

 既に発動してしまっている罠の魔法陣の方が、早く発動する。

 それに何より、転移の魔法は重ねがけが出来ない。

 リ・スタート(再出発)の魔石は、砕けるだけだ。


 キャンセル(無効化)するしかない!


 ポケットの中に用意しておいたアイテムを、落ち着いて素早く取り出す。


 常に【強化】をしていたおかげで、ちょっとした行動なら誰よりも早く動ける。


 マジック・キャンセル(魔法無効化)の魔石なら確実に無効化できただろうけど、高価な魔石になるので持っていない。


 僕が取り出したのは、小さい罠解除の魔石を五つ。


 確実に無効化できるという自信はないけれど、罠として起動している魔法陣だから効果はあるはずだ。


 今できる事の中では、これが最善だと思う。


 壁の魔法陣は大きい。

 小さい罠解除の魔石では、効果がない気がする。


 使うなら、小さい魔法陣の方。


 僕は近くにいた佐藤くんとミリアさんの魔法陣に、罠解除の魔石を急いで投げつけた。


 パリィッ。

 パリィッ。


 二人の前にあった魔法陣が砕けた。


 よしっ!

 これで二人は魔法陣の対象から外れただろう。


 直ぐに、木嶋くんの魔法陣にも投げつける。


 パリィッ。


 残るは静寂さん。と、僕。


 静寂さんはチームの斥候役。

 皆より先を進んでいた為に、僕からは少し距離がある。


 当たれっ!


 投げた魔石は―――。


 静寂さんの魔法陣には当たらず、地面へと落下して砕けた。


 距離は合ってた。

 けれど静寂さんは僕に背中を向けていた為、身体の正面にあった魔法陣が僕からは半分も見えていなかった。


 最後の最後で、焦ってしまった。

 魔法陣が解除できた事で、油断してしまった。


 静寂さんに声をかけ、身体をこちらへ向けてもらってから投げれば良かった。


 魔法陣の光が、更に強くなる。

 今にも発動するだろう。


 手にしてる罠解除の魔石は、残り一つ。

 追加で取り出している余裕はもうない。


 僕が助かるか、静寂さんを助けるか。


「静寂さん!こっちを向いて!」


 僕は迷う事なく、叫んでいた。


 静寂さんの身体がこちらを向き、視界に魔法陣という的をしっかりと捉える。

 罠解除の魔石を魔法陣(そこ)へ、力いっぱいに投げつけた。


 パリィッ。


 その音が聞こえると同時に、僕は魔法陣の光に包まれていく。


 音が聞こえた。

 しっかりと確認はできなかったけれど、静寂さんの魔法陣は無事に解除できたと思う。


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