#18 訪問
運命の出会いと新たな敵
勇者の朝は早い。
「うーん……あと5分……」
目覚まし時計なんてものはないが、とりあえず枕元の時計を取ろうと手を伸ばした。指先に何かが当たったので、何も考えずに掴もうとした。
「……ん?」
さらさらした髪の毛のようなものが触れる。髪の毛「のような」もの?
パッと目を開けるとそこにはサフィールが心地良そうに寝ている。
「うわぁっ……おぉ……うん」
このまま寝かせておけばこの前のような目には遭わないだろう。絶対に触れるな、気配を消すんだ。そう思った瞬間、眠れる獅子の目が開いた。
「いやあああああっ!」
こうして僕はまた枕を鼻血で真っ赤にして朝を迎えた。一体、これから何個の枕が犠牲になるのだろうか。もういっそのこと枕カバーを赤にしてしまえばいいか。
「サフィールさんどうして起床シーンの時だけ僕のベッドに入って来るんですか!」
「だってそれは歩が……」
「!?」
僕が寝ている時何をしでかしたせいでこうなっているのか答えられるものなら200字以上500字未満で詳しくお答え願いたい。
「勇者様、お嬢様、朝食の用意が整いました」
「すぐ行く」
僕達は王都の東側にある城で寝泊まりすることになった。そこには王に仕えていたメイドが1人留まっていた。ルカというエルフで、サフィールより歳は10歳程度上だろう。
「勇者様、朝食中に申し訳ありませんが、お客様がお見えになる予定でございます」
「ごほっ……お、お客様とは?」
「王都の東門を警備していらっしゃる騎士だそうです。なんでも歩様に『魔物退治』を手伝って頂きたいそうで」
王都の東門って言ったらこの城よりもっと東、《光の大陸》と《闇の大陸》を結ぶ橋の入口じゃないか。そんな重要なところを守っている人が、僕の力を借りたいだって?
「そんなことあるわけn……」
扉が開いた。
「やぁ! 君が勇者様か? 随分若いじゃないか!」
入って来たのは、明らかに同い年っぽい人だ。
「わぁ……同い年っぽい……」
「心の声が漏れてんだよダダ漏れだよ! うーん……ま、俺は自分の歳分からないから、先輩ってことにして頂いて」
「……」
「い、いや待って待って、思考回路停止やめてよね! ちゃんと真面目な話しにここまで来たんだから! 今この瞬間だって門から闇が侵食して来ないとは限らないでしょ!?」
「そ……うだよね」
ルカに席を外すよう言い、朝食中にも関わらず話は始まった。
「お前……いや、アユム、だっけ? 強いんだろうよ、相当」
「そんなことない! プルフラスを倒せた……じゃなくて……追い払えたのは偶然だ」
「偶然んんん? 偶然でこんな傷の付き方はしねぇだろ? お?」
騎士は僕の服の袖をぐいっと捲り、戦った時に出来た切り傷に触れた。
「……った!」
「悪ぃ、つい」
「『悪ぃ、つい』で済んだら警察はいらないんだよ」
「警察……ってなんだ?」
ああ、もう。こんなにイライラするのは久しぶり……いや、異世界では、初めてだ。
「あんた……名前は?」
「俺か? 俺はケイトだ」
ここに来てサフィールが初めて口を開いた。
「ケイトって……」
「?」
「……ふふ……あはははは! ケ、ケイトですって……! ふふふ……お、女の子みたい……」
言われてみれば、そういう見方もある。全然気付かなかった。
「お、俺は男だ! 女じゃねぇ!」
何かがじわじわきているらしいサフィールにも一旦ご退場願うと、急にケイトは真面目な顔になって言った。
「俺が今日こんなところまで勇者を訪ねに来た理由は、他でもない。………………ドラゴンだよ」
「……はい?」
「いや……だから! ………………ドラゴンだよ」
「いや……おうふ……うん」
「もっと良いリアクションしてよ!!!!!」
さて新キャラが2人登場しました18話です。
立て続けに投稿するのは好きではないのですが、忙しくなる前に投稿しておかないとやばいンゴという気持ちにもなります。
でも1番大事なのは質ですよね。
頑張ります!




