#15 加護
束の間の平穏、束の間の雑談
「歩っ!」
サフィールが駆け寄って来た。
「ウンディーネ……! ひどい怪我……」
怪我の傷口は大きく深い。誰が見ても重傷だと分かるが、血は止まっている。ウンディーネの治癒力がとてつもないものであることを物語っていた。
「大丈夫よサフィール……アユムが……来てくれたから」
ウンディーネはサフィールの手を取ってにこりと笑ってから、泉に舞い戻った。傍に落ちている僕の剣を見る。
「アユムは……多分その剣の加護を受けたのね。その剣にどんな守護霊が宿っているのかは分からないけれど」
「精霊なのに……分からないのか?」
「精霊はこの異世界で生きているけれど、守護霊は生き霊でない限り天界にいるものだから……この世界での生き霊は精霊以外、悪霊しかいないわ」
僕の剣を手に取り、ウンディーネは続けた。
「あなたはこの剣に助けられた。悪霊はあなたのことを助けたりしないはずよ。だからきっと」
「僕は何らかの守護霊に助けられた……」
「勇者様じゃないでしょうか?」
サフィールが唐突に言う。
「先代の勇者様が、剣を通して歩に力を与えてくれているのでは?」
「なるほど、そういう考えも出来るな……」
僕も妙に納得がいった。確かに、先代の勇者に関わった人達と会ったり、剣を手に入れてから物事がすいすい進んでいるな、なんて。
「あ、ゆ、む? 確かに物事がすいすい進んでいるし……これは導かれているパターンじゃね? ……とか思ってますよね? 違いますからね。こういう出来事が起こってる時点で、全然、違いますからね。」
「さすがサフィールさん……良くお分かりで」
前後から同時に頭を叩かれた。
「ったたた……ん?」
背後に微かな気配を感じた。振り向いても誰もいない。気のせいか。
「そろそろ王都に戻りなさい。あっちは今大混乱よ。闇は一旦去っても、街の建物の復旧には時間がかかるんだから」
ウンディーネは、ゆっくり出発しなさい、と言い残し、泉の底へ去っていった。
「じゃあ……行きましょうか」
「ああ。ウェン爺達が待ってる」
僕達はゆっくりと森を抜ける道を行く。2日目にして見慣れた景色となったその森で、また新たな展開が待ち受けていた。
『どこに向かうの?……勇者様……』
ウンディーネが無事で本当に良かった!
活動報告でちょこっと書かせて頂いた用が終わりましたので、今日はもう1話更新します!
最近は物語を考えるのが楽しいです!
ちなみにキャライメージは数人決まっているので登場させられる日が楽しみです!




