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#11 月夜

満月の夜の束の間の一休み

「サフィール、ここまでの話は、おk?」


 サフィールに全ての事情を話した。オーウェンの思いを軽々しく人に話すのは良くないと分かっているが、旅の相棒には全てを教えた方がいいと判断した。


「わしの自分勝手な願いではあるが、どうかよろしく頼む。エルフの娘、歩殿をフォローしてやっておくれよ」


「はい! 私もドワーフの族長の立場だったら、歩に縋りたくもなりますよ。私達なりに努力してウェン爺の期待に応えたいと思います!」


「……もうウェン爺でいいよ」


 オーウェンは僕らを部屋に案内してくれた。


「歩殿よ、いつかはここを出て旅に出るのじゃろ? 今の内に道具屋を見ておくことをお勧めするぞ」


 道具屋というのは、RPG系ゲームにも良く出てくる、薬草やら聖水やらを売ってくれる店である。鍛冶屋と並んで良く使われる店の1つだ。

 しかし、今日はもう夜遅いのでとりあえず夜食を取ることにした。いつの間にか、日は暮れ、いつも見ていたよりも1回りも2回りも大きな月が出ていた。


「王都に来たらまずは……これじゃ!」


 はい、カルカイルですね。


「うーん、美味しいです(棒)」


「今絶対(棒)言うたじゃろ! わしの目は誤魔化せんぞ!」


「美味しいいいいい……」


 サフィールは、やっぱりカルカイルが好物のようだ。

 そういえば、とオーウェンが切り出す。


「前に勇者が来た時に、王都に『将棋』を置いて行ったんじゃ! 稀有な形をした『駒』とやらを動かす、アレじゃ! 歩殿、できるか?」


 僕は何かとそつなくこなせる人間だと思う。


「王手」


「な、何!? 今、歩殿、何を……」


「歩! すごいです! ルールはあまり知らないけれど……かっこいいです!」


 僕は、前の勇者がこんなところまでこの世界に影響に及ぼしていたことと、オーウェンのチョロさにびっくりした。

 ちなみに、この宿には風呂もトイレ(らしきもの)も完備されていた。それに、幸い僕達以外に客は居なかったので、オーウェンとサフィールと、3人で楽しく夜を過ごした。


「じゃあ、また明日じゃな、おやすみ」


 問題は、ここからである。


「さささサフィールさん、そろそろ僕達も布団に潜り込み枕に頭を預けて目を閉じましょうか」


「何があった」


 真っ暗な夜がこの世界にも闇を落とす。これから僕が立ち向かっていくことになる様な、そんな闇だ。辺りは王都にも関わらず静まり返っている。今夜は、満月。

百夜(作者)「今夜は、満月」

オーウェン「随分かっこつけた言い方じゃのう」

百夜(作者)「ウェン爺うるさい」

オーウェン「グサッ……」

次回、波乱の朝を迎えます。ある意味で。




この場をお借りしていつも読んで頂いている皆様にお礼を申し上げます。

本当にありがとうございます!


趣味程度にしか連載できないですが、今後とも百夜と歩達の冒険を見届けて頂ければと思います。


宜しければ、評価、感想、ブックマーク等、お気軽によろしくお願いします。

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