目指すものは
冒険者ギルドはここに来るまでに見てきた建物と違って縦にも横にも非常に大きい建物だ。また、テイマーが従えた魔物を預かる為の厩舎(魔物舎?)を含めた敷地はこの街最大の規模を誇っている。
まだリリースから数日しか経っていない上に今日は休日ということもあってギルドは大層賑わっているようだ。同じく新人であろう初期装備たちが並ぶ列の一つにつく。
…………やっぱり戦士系と魔法使いが多いか。並んでいる者の7割がそうで、残りは弓使いと召喚士。そしてテイマーは俺含めて数人といったところか。
何故テイマーが少ないのか?
理由は極めて単純。テイムモンスターの育成と維持にかなりのコストがかかるからだ。モンスターの装備に食費。更に、テイムモンスターの体力がなくなると"死亡状態"となり、復活させる手段は今のところ存在しないとされているが──恐らく復活の見込みはないと考えていいだろう。
これが召喚士であれば多くの問題が改善される。食事を与える必要も無く、死んでもスキルのクールタイムが明ければ再召喚することが可能となる。
では召喚士はテイマーの上位互換なのか?
答えはNOだ。召喚士の召喚出来るモンスターはスキルレベルに依存するが、テイマーは成功さえすればスキルレベルに関係なくどんなモンスターでもテイム出来る。
召喚されたモンスターは成長することはないが、テイムモンスターは進化などの成長の余地が残されている。
と、いった具合に差別化されているのだがモンスターにも勿論個体差が存在しているため、平均的な能力を持った召喚モンスターの方が良い──と。
否!断じて否である!!
テイマーの強みとは経験値を持つモンスターを使役することが出来るという一言に尽きる。経験値とはRPGなどでお馴染みのソレではなく、純粋な戦闘経験のことだ。
β時代、多くのプレイヤーが成長したせいで実入りの少ないゴブリン討伐クエストが放置された結果ゴブリンが大繁殖するという事態に発展した。街道を通る商人を襲い流通が滞る事態となり、大規模な掃討作戦が行われた。改めて多くのプレイヤー達はゲームの作り込み具合におののくこととなった。
で、テイマーに関係あるのはこの後だ。大繁殖の件を受けて多くのプレイヤーが討伐クエストを定期的にこなすようになったのだが、ゴブリンの巣窟であるファース南部の森を中心にやたら強い隻眼のゴブリンが目撃されるようになったのだ。
───そのゴブリンは恐らく、掃討作戦を生き延びた個体なのだろう。
俺の狙いはそういうモンスターだ。強者を従え、自分は後方で指示を出すだけ。これが俺の目指すプレイスタイルだ。
次話から戦闘シーンなど、ゲームっぽくなってくると思います




