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仕事は程々に

あらすじを少し書き換えました。主人公のリアルを絡めて書く予定だったのですが色々考えた結果「あっても無くても変わらんなコレ」となりました。特に影響とかはないので安心してください


鬱々とした気分を抱えながらいつもの宿屋いつもの部屋で起床(ログイン)。ウルフとゴブリンは他の客と近隣の迷惑(面倒はごめんだ)とのことでギルドの魔物舎(有料)に預けている。

リングの代金を含めると報酬の半分が消えてしまった。ゆえに金策が急務であり至上命題といってもいい。今後も配下を増やしていくことは確定事項であるので、何か解決策は無いかとMMORPGの定番─掲示板─で集めた情報によると、土地や家を買って街の領主から許可を得ればテイムモンスターを住まわせることが出来るらしい。ギルドの魔物舎よりデカいモンスター、群れ単位でテイムすることも考えれば避けて通れない。


働けど、我が暮らし楽にならざり。ぢっとスライムを見る。


「…うん、今日も働こうか」


遠い目をするのを辞め、(いつもの位置)に相棒を乗せて宿屋を出る。とりあえず今日はいい感じのモンスターが現れない限りは討伐に専念しよう。



繰り返すこと3日。ひたすらにファースの周囲で敵を狩り続け狩り続け狩り続け……交渉術のお世話になることは当分無いであろうという程度には懐が温まった。冒険者ランクもFからEにランクアップ。配下のスキルレベルは軒並み一つずつ上昇、さらにファース北部の洞窟でコボルトを討伐したことでゴブリン達の武器を一新することが出来た。

その際に棍棒術のスキルレベルが低い方のゴブリンに剣を与えてみた。ゴブリンやコボルトはゴブリンアーチャーのように武器によって種族が変わるのだが、ただのゴブリンに弓を装備させただけでゴブリンアーチャーに変わるわけではない。恐らく弓術スキルの取得が要因となって種族が変化─進化─すると思われる。よって剣術スキルを取得したゴブリンはどういう種族になるのか、また普通のゴブリンとどれだけ違うルートを辿って進化していくのか。仮説の域を出ないが、今から非常に楽しみで仕方ない。


「クエストの達成報告に来ました。それと薬草類の納品もお願いします」


「あ、ゼントーさん。いつもありがとうございます」


常設クエストって、皆すぐにやらなくなってしまうので助かります。と微笑んだ受付嬢さんはすぐに照会と薬草の査定に入る。

常設クエストはその名の通り常に募集がかかっているクエストのことで、ファースでは薬草・毒草の納品がそれに当たる。普通のクエストだと受注せずにモンスターを倒したりしても─それは君たちが勝手に倒しただけ。ギルドが頼んだわけではないので報酬なんかない、というワケだ。

しかもウルフが仲間に加わったことでゴブリン程度が相手なら指示することもないので、その間手持ち無沙汰な自分にとってこのクエストは非常にいい小遣い稼ぎとなっている。


従魔たち(こいつら)の食い扶持を稼がないといけませんから」


頭の上に乗っかっくつろいでいるスライムを目線で示して肩を竦める。


「スライムちゃん、よく食べてますものねぇ……はい、報酬確認お願いします」


「ありがとうございます。…ところで、最近はどうですかね」


カウンターに肘をかけてじぃっと彼女を見つめる。すると彼女は頬を朱に染めて顔を背けるもチラチラとねだるように熱っぽい視線で訴える。

俺はそっと手を伸ばし───頭上に張り付いていたスライムを彼女の前に差し出した。


「あ~~ん、スライムちゃんのプニプニボディ最っ高ー!!!」


奇声を上げながらスライムをむにむにと触り始める受付嬢。彼女も最初はスライムの柔らかさってどんな感じなのだろう?と恐る恐る触れる程度だったのだが、癖になってしまったのか、はたまたギルドの激務のせいなのか。徐々にエスカレートしてこの様だ。ヘッドバッドもかくやの勢いでスライムに顔を擦りつける様はただのデータ(1と0の集まり)とは思えない。


「すーーーーーー…どぅへへへ」


……本当にこれはゲームなのかという疑いが日に日に増していくなぁ。




うら若き乙女が晒してはいけないような緩みきった表情をしているであろうくぐもった声が響くこと少々。


「──お待たせしました。こちらが資料になります」


数分前の事など無かったかのように業務モードに戻った彼女はどこか肌つやが良いように思える。


「あー、その…お仕事頑張るのも程々に」


それでは、とお礼をしてその場から退散。貰った資料をインベントリにしまう。ウエスタンな表の入り口ではなく魔物舎に近い通用口の方へ足を進める。もはや顔馴染みとなった幸の薄そうな細い青年に会釈をしながら舎の奥へ入っていく。

厩舎をそのまま拡大したような造りのこの建物は様々な魔物に対応するため、馬房に当たる部分が魔物の特徴やサイズにある程度合わせて造られている。


(南のゴブリンの目撃情報が増えたのは第2の街"セカン"へプレイヤーが進んだからだろう。森を探索していても角兎の目撃頻度や木の実の採取ポイントなんかも以前とあまり変わっていないので少し狩れば落ち着くはず。ボア・グリズリーの毛皮の値段の下降は装備更新の余りのせいと掲示板でも確認済み。北の洞窟はレア鉱石の発掘──)


配下達の待つ馬房に腰を下ろし受付嬢から受け取った資料─魔物の出没情報や素材の情報、街の動向などをまとめたもの─を掲示板の情報、自分の調査結果や予測と照らし合わせ、真贋を見極めながら精査していく。


「セカン近郊に同族を狩る角兎?」


その報告書に書かれていたのはファースからセカンへ続く街道で同族を角に突き刺しているそれを見つけたというものだ。目撃例はたった一度。角兎は戦闘では額の角を用いて戦うが、撃退または逃走のためだ。縄張り争いにしても相手を殺すまで攻撃するのは考えにくい。そもそも角兎は草食だ。


「─調べてみるか」


そろそろこの街で活動するのも旨みが少ないもとい飽きてきた所だ。プレイヤー同士の取引が盛んに行われていて活気に満ちている商業都市"セカン"。出来れば腹持ちのいい保存食があると嬉しい。切実に。


モンスターのサイズ

スライム:通常は肩や頭に乗れるサイズ(ハンドボール程のサイズ~ゴブリンを覆い尽くす程)

ゴブリン:100cm~120cmほど

ウルフ:全長150cmほど

ウルフ(リーダー):2mほど

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